【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】13年乗り続けてきた愛車のスープラが迎えた転機、パワーアップをきっかけにタイムアタックの道へ一直線
プロドライバーでありスープラオーナーでもある織戸学選手がデザインを手がけた『リドックス』のフルエアロをまとい、鍛造ホイールの定番ボルクレーシングTE37にワイドタイヤを組み合わせるなど、見た目からはっきりと走りのオーラが現れているJZA80スープラ。
『TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018』のオーナーズミーティングエリアに集まったスープラ軍団のなかでも、ひときわ目立つ1台だった。
オーナーのみやけんさんは、富士スピードウェイでシリーズ開催されているJAF公認タイムアタック『FISCOスペシャルステージトライアル』通称FSSTにこのスープラで参加している本格派だ。
エントリーしているのはNS-6という3501cc以上の排気量(ターボは排気量×1.7倍で計算)のクルマ向けの最上位クラス。そしてこのFSSTの最大の特徴は、参加車両にJAF国内競技車両規則第3編スピードB車両に該当する保安基準に適合したナンバー付き車両のみがエントリーが許される点。つまり、みやけんさんのJZA80スープラはタイムアタック競技参戦マシンでありながら公道走行も可能な車検対応車両となっているのだ。
「昔から絶対スープラに乗りたい!というようなクルマ好きだったわけじゃなくて、当時知り合いが乗っていたR33GT-Rに乗せてもらったら、とにかく速くて加速に驚いたんです。だから自分が乗るクルマにもこの加速が欲しい!と思ったのがきっかけでした」
最初に候補に考えたのもR33だったが、GT-Rは高価だったため断念。FD3Sもエンジンにトラブルを抱えやすいという評判を聞いて、残ったのが中古で値段も手が出ないほどではなく、速くて頑丈なエンジンを積んだスープラだったという。
「社会人1年目からいままで18年間乗り続けている、人生で1台目のクルマです。平成10年式の2年落ちの中古を260万円で買いました。グレードはRZ-Sです。当時は消去法で選んだ1台でしたけど、動きがマイルドで乗りやすくていいクルマですし、なにより外見がいま見ても全然古さを感じさせないところが好きですね」
しかし、みやけんさんが現在のようにタイムアタック、カスタマイズの世界に足を踏み入れたのは、スープラを購入してから10年以上経った2013年のことだった。
「タービン交換しているスープラが載っている雑誌を見て、自分のスープラもパワーを上げたらどうなるんだろう?と思って、初めてチューニングショップに相談したのがはじまりですね。あと、単純にエンジンルームも大きなタービンが装着されているとカッコよく見えるじゃないですか」
選んだタービンキットはHKSのTO4Zで、ノーマルの280psから約650psへと大幅なパワーアップを果たしている。「結構大きいタービンですけど、大排気量のおかげで低回転域でもトルクがあるので街乗りも全然苦労しなくて済んでいます」
タイムアタックシーズン中には月に2回ほどの頻度でサーキットを走るが、その際にもセーフティーローダーは使わず自走でサーキットまで往復するという。
タイムアタックに必要な295幅のSタイヤを前後に履くために、フロントフェンダーは強度の高い鉄板を使ったフェンダーをワンオフし、その上にオーバーフェンダーを貼り付けている。タイヤハウスの空気を抜くダクトや、エンジンルームの排熱ダクトを設けて機能性も重視しているのも特徴だ。
また、このキレイに仕上がった外装からは想像できないが、実は数えきれないほどのクラッシュを経験していて、そのたびに直して乗り続けているという。
「精密鈑金と鈑金塗装で働く友人がそれぞれいて、スープラを維持できているのは彼らのおかげでもあります」
最近の目標は国内屈指のチューニングカーによるタイムアタックイベント『Attack』への出場が目標というみやけんさん。ここまでサーキットに夢中になり、レベルアップしながらタイムアタックに取り組むことができるのも、マシンのカスタマイズやメンテナンスを依頼しているチューニングショップを選んだおかげだという。
「サーキットを走り始めた当時からGPSや走行データのロガーをとってくれて、他の上手い人と自分の走りでタイムや走行ライン、操作がどう違っているのかを教えてくれたんです。それが次にサーキットに行くときはここの走りを変えよう、という目標になりました。そこでクルマに足りないものがあれば、チューニングをステップアップする、という感じで前進してきました」
「まだエンジン本体はノーマルなので、もっとタイムを縮めたいと思うと、これからチューニングしていきたいのはそこですね。今はまだ街乗りで快適なようにエアコンも残していますが、排気量を増やしてパワーを上げると熱対策が厳しいかもしれません」
このまま行けば、このスープラもいずれ車検を切ってサーキット専用車となるかも知れない。しかし、だからといってみやけんさんのスープラに対する愛情が途切れるわけではなく、今後も長年連れ添った相棒のスープラと二人三脚でタイムアタックの目標をひとつずつクリアしていくことだろう。
(テキスト:長谷川実路 / 写真:平野 陽)
[ガズー編集部]
「TGRF2018 @富士スピードウェイ」の記事
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