シャア専用オーリスのパーツを流用移植!初代ガンプラ直撃世代が作った『赤い彗星シャア専用86』
2013年にトヨタが発表して大きな話題を呼んだ『シャア専用オーリス』。『機動戦士ガンダム』に登場する赤い彗星シャアの愛機をモチーフにしたデザインを各所にちりばめ、ガンダム世代をはじめ、多くのファンの注目を集めた1台だ。
そして、そんなシャア専用オーリスに採用されたセンターアンテナをルーフに装着した真紅の86(ZN6)に乗っているのが冲中慎也さん(47才)。
「ガンダムはファーストの世代よりはちょっと後、小学生のころに再放送で見てから興味を持ちました。ガンプラ世代としてはど真ん中でしたね」と冲中さん。シャア専用オーリスが発表された当時も「86で発売されていたら多分買っていた」というほどの思い入れがあり、特徴的なアンテナをはじめ、シャア専用オーリス用として現在手に入る部品はほとんど付けているというこだわりようだ。
そんな冲中さんのカーライフのはじまりは、大学時代に購入した日産・プリメーラまで遡る。
「クルマに興味を持ち始めたのはいつだったか忘れるくらい昔のことなんですが、小さいころから地上波でやっていたル・マンやパリダカ、F1といったレース中継を見て、それに憧れるようになっていましたね。初代P10型プリメーラを購入したのはJTCC(全日本ツーリングカー選手権)の星野一義選手が乗るカルソニックブルーのプリメーラに憧れたからです」
社会人になり2台目の愛車として手に入れたのはRX-7(FC3S型)。
「もともと大学時代の友人が乗っていたクルマで、手放すという話を聞いて買うことにしたんですが、学生時代に乗ってたころとは見違えるほどにボロボロになっていて(笑)。車高を戻したり、割れていたバンパーやフェンダーも交換して外装だけはキレイに直して乗っていました」
5年くらい乗り続けると車体のヤレが気になり次のクルマを探し始めたものの、冲中さんが購入したのは、またもやFC3Sだったという。
「次の愛車を探している間、ふと『今まで乗ってきたFC3Sはボロボロで、本当の良さをまだ分かっていないんじゃないか?』と思うことがあったんです。そこで探し始めると、広島県のマツダオートザムで中古車として売られていた程度のいい1台に出会うことができました。GTリミテッドで、サンルーフも付いているボディカラーは白の平成元年式でしたね。完全にノーマルな状態のボディでパーツを少しずつ足していって10年間ほど乗りました」
車高調、マフラーに始まり、純正エアロのオプションを加え、さらに理想のカタチに仕上げていったというFC3Sにはこだわりが強く、その当時はなるべく走行距離を伸ばさないように日常の足としてローバーのミニを所有する2台持ちの時期もあったほどだという。
「できることなら生涯乗り続けたい」と思うほどだったというFC3Sだったが、10年間乗ったあたりでエンジンブローを機に別れを決意。それと同時に、これまで歩んできたカーライフを振り返ったとき、現行のスポーツカーに乗った経験がないことが、次の愛車を選ぶ大きな理由になったという。
「当時、新車で買いたいと思って検討した選択肢は初代の86かフェアレディZのZ34のどちらか、という感じでした。両方ディーラーで試乗したんですが、Zは街乗りが大変そうなのと、新車の見積もりも予算オーバーで。そこで86の新車を選ぼうかと思ったんですが、のちにいろいろカスタムを加えることを考えると、状態のいい中古車があればそれでいいかもと思ったんです」
それが、冲中さんにとって1台目の86となる、走行距離1万キロでTRD製のオプションエアロをフル装備した前期型の86だった。
念願の現行スポーツカーを手に入れた冲中さんは、昔から雑誌で目にする有名人として憧れだった谷口信輝選手が所属していた神戸トヨペットのエリア86御影店へ訪れるようになり、実際に谷口選手と会うこともできたという。またFC3S時代にお世話になっていたマツダ787Bドライバーの片山義美選手が主催する走行会イベントに参加して、サーキットを走る経験もできたそうだ。
しかし、この当時の冲中さんの86は、ボディカラーこそ赤かったものの、シャア専用仕様のカスタムをはじめたのは現在の後期型86に乗り換えてからだったという。
「最初に後期型を見たときはダクトの形状が好きじゃなくて『前期のままでいいな』と思っていたんですが、TRDエアロが装着された後期モデルを見たら『これは良いな』と。しかも、後期の86に試乗したら『自分の86はどこかが壊れてるのか?』って思うくらい乗り味が良かったんです。
ディーラーに前期型を下取りして後期型に乗り換える見積もりを出してもらったら、TRD後期エアロに加えて、もとの前期型に装着されているパーツを移植する内容で予算内の金額を提示してくれたので、乗り換えました。それが5年前ですね」
ボディカラーは前期時代と同じ赤色をチョイスし、以前から温めていたシャア専用オーリスのパーツを移植した『シャア専用86』仕様へのカスタムも同時にスタートさせたという。
室内ではエンジンスタートボタン、車検証入れからリモコンキーまでオーリス用のものを手に入れ使っている。いっぽうで「シャアの声でしゃべるナビも装備されていたみたいなんですが、さすがにそれはディーラーに頼んでも手に入らず、オークションで探しているんですがまだ見つからないですね」と冲中さん。
ちなみにシャア専用オーリスに使われている『ジオニックトヨタ』という名称は、ガンダムに登場する代表的なシャア搭乗機であるザクIIやゲルググを開発・生産したメーカーであるジオニック社と、トヨタをミックスした架空のブランド。ボディに貼られているステッカーも、ディーラーオプションとして用意されたデカールセットを用いた公式流用だという。
ただ、あいにくの出来事だったのが取材前日の移動中、ボンネットに落下物の被害を受けて、フロントに装着していたエンブレムが紛失!! 86のフロントにぴったりだったサイズのオーリスのリヤ用エンブレムは予備を所有していなかったため、撮影時にはちょっとサイズの大きなオーリスのフロント用エンブレムを仮装着しての参加となってしまったのだ。
しかし取材後、冲中さんから届いたメールには、傷ついてしまったボンネットをチャージスピード製に交換するとともに「もう手に入らないオーリスオリジナルの『ジオニックトヨタ』エンブレムを諦め、イチからエンブレムを成形して自作する方向でカスタムを進めています」という前向きな知らせが届いた。
そして、しばらくして届いた写真がこちら。楕円にカットした塩ビ板に、ステッカー屋さんに依頼して制作したエンブレムのステッカーと保護シールを貼ったという完成版のクオリティに脱帽! これならまた何かあっても量産できそう!?
「ついでにナンバープレートを隠す化粧プレートも作ってみました」と、逆境をバネにさらなる進化を遂げたようだ。
その心意気は、まさに自分の86を素材にカスタムを加えていく1/1スケールのガンプラの制作過程を生で見ているよう。沖中さんが作る世界に1台だけの『ジオニックトヨタ』仕様86は、まだまだ進化を遂げていきそうだ。
取材協力:大蔵海岸公園
(⽂: 長谷川実路/ 撮影: 稲田浩章)
[GAZOO編集部]
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