イジる楽しさ、釣りも長距離ドライブも全部満たしてくれるCR-Z

  • GAZOO愛車取材会の会場で道の駅 あきた港 ポートタワーセリオン イベント広場で取材した2014年式のホンダ・CR-Z (ZF2)

    ホンダ・CR-Z (ZF2)

2014年式のホンダCR-Z α(ZF2)に乗る泉澤ちるさんのカーライフは『ホームセンター×カー用品店×100円ショップ×釣り』で成り立っていると言う。なぜなら、それらを駆使することによって愛車との生活を楽しめているからということだ。
一体どういうことなのか詳しくお話を伺っていくと、そこにはちるさんらしい 独自のカーライフが広がっていた。
“クルマの楽しみ方は、人それぞれ"。ちるさんは、それを具現化している。

「ホームセンターや100均、カー用品店を物色するのが好きなんです。それで、クルマの修理やカスタムに使えそうな物があったら買って帰って、いろいろ試してみるんですよ」
例えば、カー用品店で見つけた1000円ちょっとの軽トラ用マッドフラップは、素材の硬さを確認し、切ったり貼ったりすればいけそうだと目星をつけたのだという。予想は何とか?的中し、案外いけたとフフンと笑った。
「装着してみたら車高や車体の大きさは変わっていないのに横幅が出てドッシリした見た目になりました。少しラリーカーっぽくなって、結構いけたと思っているんですけどね〜」

というのも、ちるさんのカスタムコンセプトは“ラリーカーっぽい見た目”。車内でいくと、バケットシートや4点式ベルトを装着し、ダイソーで発見したカーボン調のリメイクシートを各所に貼っているところだという。違和感なく馴染んでいるし、車内がレーシーな雰囲気になったと職人の顔付きをしていた。
そして、なんといっても1番の力作はカーナビ下のスイッチボックスだ。
「題して“魔改造”です! ホームセンターに売っていたそれっぽいトグルスイッチを、内装に穴を開けてそれっぽい感じで配置しました。そのあとダイソーに行って、それっぽいプラ板とカーボン調のリメイクシートを手に入れて、切って貼って完成です」
日頃の店舗巡りと物色の賜物で「そういえばアレが使えそうだ」と閃くのだという。そしてそんな時は、ほとんど足が地につかないような早歩きをしながら、店から店へと飛び回るのだという。

さて、ちるさんがラリーカーにこだわるのは、今から20年以上前の小学生の頃に、ゲームセンターにあったアーケードゲームに夢中になったのがキッカケだという。
画面の中にはカストロールカラーの丸目4灯セリカをはじめとするマシンたちがブォンブォンと音を立てながら走っていて、それがすごくカッコよく見えたと懐かしそうに目を細めた。100円玉を握りしめ、お小遣いが貯まれば足繁く通ったのだそうだ。
そこからラリーが好きになってインプレッサやランエボなどに興味を持ち始め、今でもいつかは愛車にしたいクルマだと話してくれた。本当は、免許を取ってすぐにでも乗りたいと思っていたそうだが、自分のお財布事情的に購入したのはテリオスキッドとパジェロミニ。それでも、オフロードなどの悪路を走れるこのクルマたちは、泥臭く、ラリーに通ずるものがあったという。

そんなちるさんが、なぜCR-Zを愛車として選んだのかというと、釣り竿を折り畳まずに積めるからだ。
「本格的に釣りに狂い始めたのは、大人になって給料をもらうようになった10年前でした。スプーンやミノーなどを使って“ヤマメちゃん"を釣るのにハマってしまいましてね。その時に使うのが1.5mの釣り竿なんです。半分に短くできるけど、車内にそのまま積めちゃうほうが便利なんですよね。でも、楽に積むとなるとある程度広さがないといけないんです。そして、他にも餌やタオル、魚を入れておくバケツを積むから荷物が多くなっちゃうんですよね」

お腹の縞模様と、ヒレが淡いオレンジ色をしているのが特徴の“ヤマメちゃん"は、小さい個体の方がその模様が綺麗に出るという。シーズンが到来すると、スマホの写真フォルダがヤマメちゃんだらけになるそうで、その時ののめり込み方は、周りから見ると気味が悪いかもしれないと笑っていた。現に、シーズン真っ只中の撮影時も、荷室は釣り道具で一杯だった。この“好きな物でぎゅうぎゅう状態”を見るのが良いのだという。

  • GAZOO愛車取材会の会場で道の駅 あきた港 ポートタワーセリオン イベント広場で取材した2014年式のホンダ・CR-Z (ZF2)

    ホンダ・CR-Z (ZF2)

嬉々として説明してくれるちるさんの趣味に大活躍のCR-Zだが、実はこれが2台目だとのこと。1台目は不運な事故にあい、走行不能となってしまったらしい。
「いろいろ手を加えていただけに、かなりショックでしたね…でも“プラスに捉えればまた自分でCR-Zをイジれる”と気持ちを切り替えました」
1台目の白い個体から2台目の黒い個体に移植したものは、リヤウイングやリアバンパー、バケットシートなどだ。それらをすべて黒に塗りなおして取り付けたのだという。なかなか骨の折れる作業だったそうだが、思いがけず良かったこともあったとのこと。
中古で購入した黒い個体は、バンパーを装着するためのステーが曲がっていたため、ハンマーで修正してリアバンパーを取り付けなければいけなかったのだという。修繕前は、何とか付いているけど少しズレているのは明らかだったと話してくれた。ところが、自力で修正してみると、爪が一発で引っかかり、リアフェンダーのプレスラインと1mmもズレていなかったという。チリの隙間もなく、清々しいくらいピッタリだったと満足していた。
「これは、自分でやるからこそ味わえる楽しさだと思うんですよ。最初は『金がない!自分でやるか!』という感じだったんですけど、やっていくうちに、アレもやろうコレもやろうってなっちゃって、今ではオイル交換やFRPを使ってパーツ修復などもできるようになりました」

最初は『アンダーLEDくらい設置できたらいいな』とチャレンジしてみたところ、意外に簡単に取り付けることができたため“味をしめた"という。次に取り掛かったのはドラレコで、無理かもしれないなと思いながらも説明書を片手にやってみると、これまた上手くいったそうだ。これならタワーバー取り付けもいけるのでは? バック駐車のときに割ってしまったリヤディフューザーの補修もできるかも? と手を付けた段階で事件は起こったのだという。

「秋田が僕を邪魔したんですよ」
どういうことか詳しく聞いてみると、それは秋田の寒さが関係しているという。
割れたリヤディフューザーの内側にグラスファイバーを貼って樹脂で硬めたあと、表面にパテを塗って硬化を待っていたものの、一向に固まらなかったのだ。寒すぎるのはわかっていたから硬化剤を2倍入れたのに…と呟くちるさんは、何ともいえない顔をしていた。
「待てども待てども固まらないから、春に何とかしようと思った矢先に、数日だけ暖かくなった日があったんです。おかげ様で固まったんですけど、もうそういう気分じゃなくなったし、そもそも寒すぎてやる気が起きなくなってしまいました(笑)」

上手くいくこともあるそうだが、こういう失敗もあるのだという。最近でいくと、冬用のホイールをメルカリで購入したものの、PCDを間違えてしまうというケアレスミスもあったとのことだ。
「思えば、昔からモノを作ることが好きだったんですよ。7年前の正月にテリオスキッドのマフラーに穴が空いて『元旦早々何でこんなことしないといけないんだ!』と思いつつ、クルマの下に潜ったのが、めんどくさくもあり、楽しかったんですね」

そんな手塩にかけて育てたクルマで、どこかへ行くのも好きだという。長距離ドライブが好きで白い個体のときは4万2000kmは走っていたそうで、それに比べればコロナの影響もあり遠出ができず現在の愛車は年間2万6000kmしか走っていないと残念そうだったが、一般的にはじゅうぶん走っている方だろう。
今後は、30万kmを越えることが目標だというが、ただ走行距離を伸ばすということではなく、好きな場所に行って、好きな時間を過ごしながら走ることを主としていると話してくれた。

「直して楽しい、走って楽しい、目的地で楽しい。こんな面白いものって、他にないですよ! カスタムや修理方法は何通りもあって、行きたい場所も沢山ある。きっと、まだまだいろんな楽しみ方がありそうです」
冒頭に記したとおり、ちるさんは“らしい"カーライフを送っている。次はどんな楽しみ方を発見するのだろうか? きっと、今日も愛車を眺めながらワクワクしているに違いない。

取材協力:道の駅 あきた港 ポートタワーセリオン イベント広場(秋田県秋田市土崎港西1-9-1)
(⽂: 矢田部明子 撮影: 堤 晋一)
[GAZOO編集部]