サクラ色の軽EVにひと目惚れ。和テイストを活かして、自分好みで楽しむカスタムカーライフ

  • GAZOO愛車取材会の会場である福井大学 文京キャンパスで取材した日産・サクラ(B6AW型)

    日産・サクラ(B6AW型)



クルマへの憧れが芽生えたのは中学生の頃。キッカケは、人気テレビドラマ『西部警察』だった。劇中で疾走するスカイラインやフェアレディZの姿に心を奪われた少年は、いつか自分もあんなクルマを手に入れたいと夢見ていたという。
とはいえ、実際に手にした初めての愛車は、そんな夢とは少し違う軽自動車、ダイハツ・ミラターボであった。

「学生時代、コツコツと貯めたお金で20歳の時に手に入れたミラターボは、その当時“走れる軽”として人気を集めていました。ターボ付きというスペシャル感も背中を押してくれましたね。ワクワクして、いろんな場所にドライブに出かけました」

多くの想い出が詰まった1台ではあったが、家業を継ぐことになったオーナーの『とも猿』さんは、仕事が忙しくなったことでミラターボに乗る機会が次第に減っていき、やがて手放すことに。しばらくは仕事用の営業車で日常を過ごしていた。

結婚して家族が増えると、クルマに求める役割も変わってくる。
子供が大きくなってきた30代の頃に選んだのは、当時人気を集めていたトヨタのエスティマ エミーナ。流線型で卵のようなフォルムが目を惹くミニバンで、その目新しさに魅かれた。予算を少しオーバーしながらも思い切って購入した1台だった。

このエスティマ エミーナをきっかけに、カスタマイズの楽しさに目覚めたとも猿さん。ミニバンを扱っているクルマ雑誌『スタイルワゴン』を読み、イベントに参加してみたいという思いが膨らんでいった。
オーナーズクラブにも入り、イベントで見かけた個性豊かなカスタムカーの数々に触発され、自分のエスティマもローダウンして、エアロパーツを装着。次第にクルマを通じて、ひととの繋がりや表現の楽しさを知るようになったという。

その後に手にしたのが、日産・デイズ ハイウェイスター。妻から『これが最後のクルマよ』とクギを刺されたというが、マイホームの新築を機に状況は一変。EV充電設備が備えられたことで、以前からとても興味があったという電気自動車への乗り換えを決意した。

初めは日産リーフを検討していたが、ディーラーの担当者さんから“軽のEV”として登場予定のサクラ(B6AW型)の話を聞き、その登場を待つことに。そして注文。オプション装備を満載したこともあって、納車まで約8ヵ月を要した。

「サクラとの出会いは衝撃でしたね。試乗した瞬間、今までのガソリン車とは明らかに違う世界が広がっていました。アクセルを踏んだ瞬間にスッと前に出る感覚。そのレスポンスの良さには本当に驚きました」と振り返る。

そしてもうひとつ、購入の決め手になったのが先進的なデザインだ。リヤの一文字LEDテールや、和の要素が感じられる細部の意匠が心に響いた。

「ビビっときましたね。伝統的な水引をイメージした純正オプションホイールの造形にも惹かれました。今は別のホイールを履いていますが、あのデザインは今でもお気に入りです」

ボディカラーは迷わずにブロッサムピンク/ブラックの2トーンを選択。いわばサクラのイメージカラーともいえる色だが、現在はラインアップから外れてしまった希少色である。男性が乗るにはちょっと目立ちすぎるようにも思えるが、奥様の後押しもあり全会一致で選んだカラーだ。
「私はハデ好きなので、最初からこの色にしようと決めていました。かなり気に入っていますよ」

職場への通勤にも、日常の足としても活躍しているこのサクラ。富山県のディーラーの知人を訪ねて片道150kmの長距離を走った際も、1時間程度の充電で往復が可能だった。今では充電ステーションも充実し、東京へのロングドライブも視野に入るという。普段の電費は約9km/kWhで、職場が近いこともあり5日に1度ほどの充電で済むのも助かっているそうだ。

その足元には、ミシュランのe・PRIMACYを装着。ちょっと高価ではあったが、そのメリットは大きいと判断して導入。
「静粛性が抜群で、このタイヤを履いたらザラついた路面でも不快な音がほとんどしなくなりました」。転がり抵抗が低いため電費にも貢献し、摩耗が少なく長く使えることも決め手となったそうだ。

もちろんEVならではの不安もなくはない。「できれば航続距離はもう少し伸びてほしいですよね」と語るが、それを補って余りあるメリットがサクラにはあるという。

「とても静かだし、加速も気持ち良い。そして何より、ランニングコストが抑えられます。一度、軽EVの良さを味わってしまったら、もうガソリン車には戻れません」

そんなとも猿さんは、カスタマイズにも余念がない。とりわけお気に入りなのが“桜ホイール”。東京オートサロンで履いているショーカーを見て一目惚れし、全国のタイヤショップを探しまわってようやく1セットだけ出てきたものを入手した。
サクラの花びらをモチーフにしたデザインや色合いはピンクのボディとベストマッチしており、信号待ちでは道行く人の視線を集めることもしばしば。奥様からも『とても似合っている』と、お墨付きをもらったそうだ。

その他にも、ディーラーオプションの桜をモチーフとしたステッカーや、インテリアにさりげなく桜を感じるアイテムをセンスよく取り入れている。納車と同時に色指定のフロアマットを用意し、ダッシュボードマットやドリンクホルダーもこだわりの桜仕様へとカスタマイズされた。

「マイナーチェンジした際に、桜柄の入ったラバーマットの純正オプションが追加されたんです。もちろんこれも取り寄せました」という入れ込みよう。ただでさえ個性的なサクラを、さらに華やかに演出しているのだ。ちなみに車内に置かれたかわいいクマのぬいぐるみは、
日産のオンラインショップで手に入れた日産90周年記念の限定品。

オプションもフル装備で、その中でも感動したのが「プロパイロット パーキング」だそう。ボタンひとつで正確に駐車してくれる機能に『本当に賢い!』と驚いた。今では車庫入れが苦手な奥様が活用することが多いという。
また「前車に自動追従してくれるプロパイロットも装備されています。これはとても便利で遠出には欠かせませんね。楽に移動ができて、安心感もあります」と、先進のエンジニアリングが満載のサクラに乗るメリットを実感されているご様子であった。

サクラを通じて、クルマを介したひととのつながりも広がった。
YouTubeで見かけた他県オーナーの『SAKURA』ステッカーに惹かれて連絡を取ったところ、快く送っていただけたという。後日、その方に『SAKURA』ロゴ入りのナンバーフレームも作ってもらったそうだ。オーナーズクラブが近隣にないため入会をしていないというが、最近では街中でサクラを見かける機会も増えてきたそうだから、サクラを通じての出会いがますます広がることも期待できそうだ。

サクラの世界観を尊重し、その足元を飾るホイールをはじめ、さり気なく桜吹雪を増やしてきたとも猿さん。クルマの個性を上手く引き出すコーディネイトは、さすがといったところだが、ご自身としてはまだまだ満足されていない様子。
「もうちょっと自分好みにイジりたいですね」
そう語るその目は、まるで中学生の頃、西部警察に心を奪われた少年のようにキラキラと輝いていた。

サクラは、ただの通勤車ではない。こだわりがちりばめられた愛車は、新たな楽しみを広げてくれる人生のパートナーとなっているのだ。

(文: 石川大輔 / 撮影: 平野 陽)

※許可を得て取材を行っています
取材場所: 福井大学 文京キャンパス(福井県福井市文京3-9-1)

[GAZOO編集部]

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