マニュアルミッションの操る楽しみを重視! スイフトRSが実現してくれた充実カーライフ

  • GAZOO愛車取材会の会場である福井大学 文京キャンパスで取材したスズキ・スイフト RS(ZC83S型)

    スズキ・スイフト RS(ZC83S型)


AT車やCVT車が主流となり、マニュアルミッションを選択できるクルマが少なくなってきている昨今だが、まだまだマニュアル車を好んでいるユーザーは老若男女問わず存在しているというのも事実。
ここでご紹介する『けんのすけ』さんもそのひとりで『スポーツカーに興味はないけれど、マニュアル車で運転を楽しみたい』という向きだ。
そんなけんのすけさんが相棒に選んだクルマは5速MT仕様のスズキスイフトであった。

それまでのけんのすけさんにとって、クルマは『乗れればなんでも良いかな』くらいの存在だったという。そんなファジーな感覚が『好き』へと変わったのは、運転免許を取得し、友人が乗っていたマニュアル仕様のプリメーラに乗せてもらったことがキッカケだったという。

「運転免許を取得後、二十歳の頃に最初に乗ったのは、親が購入してきたミラージュでした。同時期に、友人が乗っていたセダンのマニュアル車、プリメーラに乗せてもらう機会があったんです。マニュアル車を運転する楽しさと、セダンの室内空間の広さに驚いてからクルマに興味を持つようになりました。そんな経緯もあって、マニュアル車で軽快に走りたいという意向もあって、車重が軽いCR-Xに乗り換えたんです」

CR-Xを運転することで、マニュアル車の運転の楽しさにどんどんハマっていったけんのすけさんだったが、自身に大きなインパクトを与えてくれた友人のプリメーラへの憧れが残っていたのだという。そしてやはり『憧れのプリメーラに乗りたい』と、1995年にAT車のプリメーラを購入する流れに。

しかしながら、体に染み付いたマニュアル車の楽しさが忘れられなかった。そうして、プリメーラと同じく、セダンでマニュアル車のブルーバードに乗り替えることにしたそうだ。ところが、ブルーバードはミッションに不具合が出てしまい、急遽乗り換えが必要になったのだという。そこで購入したのが、1998年式の2代目プリメーラのマニュアル車である。

  • 「GAZOO愛車広場 出張撮影会 in 長浜市」での一コマ

「ブルーバードから乗り換えなければいけないとなった時、やっぱりもう一度、好きだったプリメーラのマニュアル車にしようと思って購入しました。カスタマイズはせずに、普通に乗っているだけでも十分楽しかったですね! そしてそのプリメーラで、以前、滋賀県で開催された『愛車広場 出張撮影会』にも参加できたのは良い思い出です」

「ただ、このプリメーラも年数が経つにつれ、維持費がかさんできてしまい、残念ながら車検のタイミングで新しいクルマを探すことにしました。私の希望はプリメーラのようなマニュアル車のセダンが第一条件。しかし現行車でマニュアルセダンはほとんどないため、それならば『マニュアル車』であることを条件にして、セダンだけでなくハッチバックにも視野を広げることにしたんです」

ちなみに、けんのすけさんはマニュアル車へのこだわりがあるいっぽうでスポーツカーに興味があるわけではなく“2リッターくらいまでのコンパクトな車格”というのが希望条件だったそうだ。そうなると、ハッチバックを含めても選択肢は必然的に狭まってくる。

「“今時のマニュアル車で普通のクルマ”を探していったんですが、例えばデミオの試乗では自分にとっての楽さは見出せず、ヤリスは乗っている人が多いなと思いまして。そこで候補にあがったのが、スイフトだったんです。私がお世話になっているクルマ屋さんがスズキの取次店だったこともあって、スイフトを買うことに決めました。さらにクルーズコントロール機能つきのマニュアルモデルがあることを知り、どうせならばとハイグレードな『RS』グレードを条件に、クルマ屋さんでオークションを通して探してもらったのが、このスイフトです」

ちなみにスイフトスポーツも選択肢にはあったそうだが、ハイオク仕様ということや、5穴ホイールであること等々、そして維持費や予算の面で断念したそうだ。

こうして5年ほど前に購入したのが、2017年式のスズキ・スイフト RS(ZC83S型)。もちろんマニュアル車で、走行距離が5000kmという極上中古車だった。ボディカラーをシルバーにしたのは、その前のプリメーラもシルバーで馴染みのある色だったこと、さらに小傷も目立ちにくいということからのセレクトだったそう。また、RSグレード特有のグリル下の赤いラインにも、密かに惹かれていたのだとか。

けんのすけさんがこれまで乗ってきたクルマで、年式が最も新しかったのが1998年式のプリメーラ。それに対してスイフトは2017年式ということもあり、約20年もタイムリープした技術の進歩には衝撃を受けたという。

「まずボタン式のエンジンスタートキーに驚き、シートヒーターやハンドルでのオーディオ操作、音声ナビなど、今まで乗ってきたクルマにはなかった装備にとても感動しましたね。実際に運転してみても軽快で気持ち良く走る。ワインディングを走る時も、クルマを自分で操っている感覚があるのでとても楽しいですよ! ただ、わざわざ購入条件に入れたクルーズコントロール機能はほとんど使っていません。作動中はただジーッとしているだけになってしまうので…」

どうやらマニュアル操作で走ることを楽しみにしているけんのすけさんにとって、運転を楽にしてくれるオートクルーズ機能は必要なかったご様子。そんなエピソードからも、氏が本当にマニュアル車好きなのが伺える。

そして、さらにマニュアル車へのこだわりが垣間見えたのが、この取材時に持参してくれた愛読雑誌の数々だ。タイトルを見て貰えば一目瞭然だが、スイフトに関するものと、マニュアル車を特集したものばかりだからだ。

「やっぱりマニュアル車が好きなので、こだわってそういった関連本を集めています。このスイフトもマニュアル車だから希少価値があって良いなという目線で雑誌を見ています」
けんのすけさんのように、スポーツカー以外でもマニュアル車を愛する人がまだまだ存在するのだと改めて感じさせていただいた。

「通勤や買い物、家族でのドライブなど、普段使いが多い僕が愛車に求めているのは、街乗りやドライブでストレスを感じずに、運転している感があって楽しいという点です。このスイフトはその要望をすべて満たしてくれているんですよね」

そんなけんのすけさんのスイフトは、この5年間で約5万kmを走破。年1万kmというまずまずのペースで、相棒として活躍中だ。また、今のところカスタマイズは特にせず、純正のままで乗り続けているそうだ。

「アルミホイールはこの純正が気に入っているのでこのままでOK。マフラーは機会があれば一度は変えてみたいんですけど“スイフト”用となると、選べるものがとても少ないんです。“スイフトスポーツ”であれば人気車種となるので、多くのメーカーから色々とリリースされているんですけどね」と苦笑い。

そして今後については、まだ他のスイフトオーナーとほとんど交流がないという現状を打破したいとの想いがあるそうだ。

「スイフトって、スイフトスポーツに乗っている人はとても多いんですけど、私のようなスイフトのオーナーはそれに比べると少ないんですよ。けれど、やっぱりスイフト仲間は欲しいですよね~!」。そう笑顔で話してくださった。

『スポーツモデルではないクルマで、セダンかハッチバックの現行マニュアル車』という、選択肢が少ない条件下。そんな中でも、自身にとって運転が楽しいと思えるスイフトに出会えたことは、けんのすけさんにとって、とても幸運だったのではないだろうか。

これからも是非スイフト仲間を増やしていって、マニュアルカーライフを存分に楽しんでいってくださいね!

(文: 西本尚恵 / 撮影: 清水良太郎)

※許可を得て取材を行っています
取材場所: 福井大学 文京キャンパス(福井県福井市文京3-9-1)

[GAZOO編集部]

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