結局、このクルマに戻ってきてしまう……。売っては買って、7台目となるスープラ70
スープラ70以外のクルマに乗りたいと思って売ったはずなのに、結局乗りたくなって買ってしまう……と話してくれた「鵜飼さん」。
小学校の頃、隣の家の駐車場にスポーツカーが停まっていたそうで、そこからそういったクルマに興味と憧れを抱くようになったのだそうです。そんな鵜飼さんが魅力に取り憑かれているのは、スープラ70。
今回は、鵜飼 さん×スープラ70のお話をお届けします。
――今乗っているスープラ70は、何台目になるのですか?
現在所持しているのは3台で、普段使い用が5台目、部品取り用が6台目だから、1番最近手に入れた保存用のスープラで7台目になります!
――7台目!?
そうなんです。僕自身も、こんなにスープラに乗ると思っていなかったです(笑)。
――乗り替える理由って、故障で維持が難しくなったとか、そういうパターンですか?
違うんですよ……。スープラ70が欲しいなと購入するでしょ?でも、乗っていくうちに、やっぱり違うクルマも運転してみたいと売却するんです。売却する時はね、何度も乗ってきたんだしもう充分だろうと思うわけですよ。
ところが、時間が経つとな~んか恋しくなって、気付いたらまた愛車になっているんです。だから、売っては買って売っては買ってでココまできました(笑)。
それで、最近気付いたんです。どうせこうなるんだから売るのはやめよう!なんなら保存用にもう1台持っとこう!みたいな。
――この保存用って、普段使い用のスープラ70が乗れなくなってしまったとき用に保管しているんですか?
いえ、これにも乗っているんです。ただ、走行距離も5万kmしか走ってないし、希少車両だから綺麗な状態を維持したくて、年に2、3回しか乗っていません。
自分でもただのバカだと思うんですよ(笑)。それしか乗らないなら、ナンバーを切っちゃった方が、税金や車検代などを払わなくていいわけでしょ?
だけど、それだとふと乗りたくなった時に乗れないから。雨が降りそうじゃないから今日は車庫から出してみようかとか、ちょっとした贅沢を味わいたいんです。これくらいは許されるのかなって。
――素敵なちょっとした贅沢ですね♪保存用は希少車両と仰っていたんですけど、普段使い用と保存用はどう違うんですか?
普段使い用が“JZA70 1992年式”、保存用が“MA70 1988年式”というやつで、スペックや仕様が微妙に違うんです。
“JZA70 1992年式”は、最後の方に登場した後期モデルで、2500ccのツインターボエンジンを搭載しています。エンジン型式は“1JZ-GTE”で、これがなかなか良い味を出していてね~。パワーや加速はもちろんのこと、エンジン音を聞いているとワクワクさせてくれるんです。
で、僕が希少価値が高いと言っていたのが“MA70 1988年式”のスープラ!発売当時のキャッチコピーは“TOYOTA 3000GT”で、世界で通用する本格スポーツカーを目指したクルマと言われていました。
3000ccのシングルターボエンジン、最高出力は240馬力、最高速度は232km/hで、ターボAというレース用車両の土台になった車両でもあったんですよ。
――ターボA!なんか響きがかっこいいです!
当時、僕も同じことを思っていました(笑)。そのターボAという車両に改造すると、ホモロゲーションが取れてレースに参加出来るという感じなんです。
270馬力でパワーアップしていたり、ビルシュタインの車高調などが入っていて、かなりスポーツカーっぽい仕上がりだったと思います。500台限定だったというのも、良いんだよなぁ……。
――限定っていう響きが良いんですよね~。あっ、今年は絶対にバレンタイン仕様のGODIVAのチョコゲットしなくちゃ。
もしかして、誰かにあげるんですか♡?
――いや、自分で食べますけど。それが何か?
!?……。なんか、ごめんなさい……。
――コホン(咳払い)。気を取り直しまして、普段使い用と保存用とで乗り味は違うんですか?
う~ん。この2台を比べると、大して変わらないかなというのが僕の印象ですね。社会人になって初めて購入した、ナローボディのスープラとは全然違うなと思いましたけどね。
――どう違ったんですか?
2000ccのツインターボエンジンを搭載していたんですけど、エンジン性能からくる違いというよりは、ボディサイズによる違いから生じる乗り味の差を感じましたね。
それを如実に感じるのはコーナリング時で、今乗っている2台のワイドボディの方が安定感があるんです。
――なるほど。鵜飼さんは、ナローボディとワイドボディだと、どっちが好きですか?
僕はワイドボディの方が好きかなぁ~。上から見るとコーラの瓶のようなグラマラスなボディをしていて、カッコイイんですよ。
――ちなみに、他に気に入っているところはありますか?
2台とも最上級グレードなので、シートが本革でラグジュアリーな感じがするところ、デジタルメーターが付いているところが気に入っています。
今はデジタルメーターって普通ですけど、この当時はちょうど流行り始めた頃だったんですよ。だから、これ付きのクルマに乗っていることが、ちょっとしたステータスになるというかね。
その時に出たスポーツカーって、ソアラとかスカイラインがあるんだけど、どれも高級感があって採算度外視で造られているように感じました。話していて気付いたけど、こういうのを思い出すためにスープラ70に乗っているのかもしれません。
――と、いいますと?
若い頃の楽しかったこと、バブルで日本が元気だった時代のことを思い出して、懐かしんでいるんですよ。簡単に言うと、スープラ70に乗るとタイムスリップするんです。ナローボディのスープラ70に乗っていたあの頃に。
そのために何度もスープラ70を買い戻したのかと、取材中に腑に落ちたように話してくれた鵜飼さん。その様子だと、もう手放すことはないでしょう。仮にもし手放したとしたら、また買い戻すことになりそうです。
(文:矢田部明子)
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