令和の時代に昭和の名車を!“宝物”の愛車、日産 ブルーバードが繋いでくれた縁と絆
若いころから数々のクルマを乗り継いできた菊地英樹さん。昔懐かしいクルマに乗りたいという思いから5年前に手に入れたというのが日産 ブルーバード。
かれこれ50年以上前に製造されたかつての名車は購入当時、あちこち傷んでいたということでしたが、いろいろとメンテナンスをしていくうちに愛着が湧き、さらにこのクルマがキッカケとなってクルマ仲間が増えて充実したカーライフを過ごしているようです。
そんな、菊地英樹さん×ブルーバードのお話です。
――菊地さんは現在、ブルーバード(1971年式)を所有されていますが、これまでにはどんなクルマに乗ってこられましたか?
今はベンツのAクラスとの2台持ちですが、フェアレディZの30にはじまり、クレスタにプレジデント、あとはベンツのW220のロリンザー仕様にフォード マスタング、スカイラインクーペのV35と……いろいろですね。
――本当にいろいろなクルマに乗ってきてますね。もともとクルマはお好きだったんですか?
ハイ。その都度乗りたいなってクルマを手に入れてきた感じですね。
――そんないろいろなクルマに乗ってきた中で、ブルーバードを手に入れた理由とは?
ブルーバードはかれこれ5年前くらいですかね。そろそろ落ち着いてきたので旧車というか、僕が高校生のころに走っていたような古いクルマに乗りたいなと思って、そうしたクルマを探し始めたんです。
最初は「またフェアレディZがいいな」なんて思っていたんですが、予算よりも高値だったし、オークションで見つけたダルマセリカも気になったので現物の確認に行ったら直すところが結構あって……。
それでたまたま入った中古車屋さんでこのブルーバードを見つけたんですね。それで気に入って買ったって感じです。
――不思議な縁を感じる購入エピソードですね
クルマ自体は最初からブルーバードに絞っていたわけではないけれど、昔ならではの箱型の形のクルマで好きだったから、これもアリだなって。
――ブルーバードを買われたのは初めてだと思いますが、当初はどんなイメージがありましたか?
箱型のクルマなので好みだなって思ったのが第一印象ですし、あとこの個体自体がちょっとカスタムされていたんですね。それもカッコよくてアリかなって思いました。試乗して、あれこれ見て問題なさそうだったので購入した感じです。
もっとも、エンジンの調子は旧車ならではの感じで特別いいわけではなかったので、結果的には2年くらいかけてあちこち手を入れて仕上げていった感じです(笑)。
――そうして手に入れたブルーバードですが、最初に運転してみてどんな感想を抱きましたか?
旧車ならではですが……「ガソリン臭いな」って(苦笑)。あとはハンドルが重いなーって。今まで乗ってきたクルマがそんなに古いわけではなかったから、なかなかない感じだったのは覚えています。
――このクルマを手に入れた当時の反響はどうでしたか?
「お金掛かるでしょ?」とか、「壊れないの?」みたいなネガティブな意見が多かったですね。当時はまだイベントとかに参加する前だったからかな?
ただ、スーパーとかに停めていると「昔乗っていたんだよね」と話しかけてくる人は結構いましたね。
――2年かけていろいろと手を入れられたということですが、このクルマでお出かけすることは増えましたか?
よく乗るようにはなりましたね。千葉の富津とかに好きな海鮮モノを食べにドライブに行くとかは増えましたね。
あと、このクルマに乗り出してからは僕と同じような旧車に乗っている方とSNSで繋がって、年に1回浜松で開催されている510の集まりに参加するとか、そういうことが増えました。
――いわゆる旧車イベントに参加されたということですが、もともとオフ会とかには参加していたんですか?
いえ、このクルマを買ってからですね。それまではそういうイベントは無縁でした。
――今まで経験がないことなので、初めて参加するときは緊張したのかなとも思いますが……?
いえ、クルマが好きという共通点があるから、きっと大丈夫だろうなって思っていました。カスタムを頑張っている人もいるだろうから、僕もカスタムをしたいって思いがあったので情報交換できたらいいなっていうスタンスでした。
――では、旧車イベントに参加されてけっこう刺激を受けることも多かったのでは?
多かったですね。まだ買ったばかりで特にいじっていなかったから、色々見せてもらって。「古いクルマだけれど、快適に乗りたいな」っていう方向でのカスタムとか、汚れている部分をキレイにしたいなって願望が芽生えてきましたね。
――交友関係の幅は広がりましたか?
SNSで知り合った人がほとんど来ていた感じだったので、その会場では初めましてなんだけど、どの車に乗っている人かはもう知っているみたいな感じでしたね。ちょっと不思議ですけど(笑)。
でもそこから知り合った人から「ダットサン会」っていうオーナーの集まりを紹介してもらって加入しました。
それからは首都圏で行われるイベントがあると、よく行くようになりました。大きな駐車場を借りて、参加された方たちのクルマがズラーッと並んだ様子を見ながら椅子に座って眺めたり、周りの参加者とクルマ談義したりしてゆったり過ごすのが楽しいですね。
――いろいろと学びがあるんですね。このクルマを買ってからはホントに刺激が多い感じですか?
もともとクルマが好きだったし、若い頃はちょっとヤンチャしていたから(笑)仲間との集まりというのはあったけれど、大人になってからこういう集まりに参加することはほとんどなかったです。
でもブルーバードを買ってからまたそういう集まりに行くようになって刺激は増えましたね。僕も今年で60歳になるけれど、歳を取ってからそういうコミュニティに参加するのもいいかなって思っています。
――では、菊地さんの思う旧車の魅力というのはどんなところにありますか?
やっぱり「手がかかる」ことではないでしょうか。
歳を取ってくると体と同じで動かさないとダメだし、乗らないといけないし、手を入れてあげないとダメだし……、そうやって維持していく上でいろいろいじっていくうちに愛着が湧くかなって。
あとは旧車って工業遺産みたいな面もあると僕は思っているので、それをキレイに残していきたいという思いもあります。
――クルマを買う時ってなるべく壊れてほしくないなと考えるし、旧車だと故障がつきものだから、時に所有するのが嫌になっちゃうこともあるかなと思いますが……?
さすがにファーストカーでこういうクルマを所有しているという人はあまりいないと思うのですが、大事なのは覚悟を持って接することができるかどうかだと思います。
ダットサン会の会長の言葉を借りると「(旧車を)所有して2年はリハビリ期間みたいなものだよ」という感じです(笑)。
――その2年を過ぎると、楽しく乗れるということででしょうか?
そうですね。あとは部品の調達とメカニックですよね。ブルーバードは比較的手に入る部品が多いクルマですし、僕の自宅近くには旧車をメインに扱っているメカニックのお店があるのでそこにお願いして直してもらっています。そういう環境も整っているなら楽しく乗れると思います。
――所有されて5年が経つということで、特にお気に入りのところは?
好きなのはこのクルマ全体ですよね。僕はイベントとかに行くと敢えてクルマから少し離れたところに座っているんですが、集まったギャラリーがけっこう注目してくれてみてくれるんですよ(笑)。
コンソールをワンオフで作ったりして、旧車の佇まいを保ちながら今風のいいところを取り入れるというコンセプトでやっているので全体的に仕上がっているかなって思います。
イベントで見てくれた人から「このブルーバードが一番カッコイイ!」って言われたいなってちょっと思いもあるのでね(笑)。
――今後、このクルマでのご予定はありますか?
フロントフェンダーとかドア4枚、ボンネットをオールペンしたいなって思っていますね。ちょっとだけ錆があるのでどうしても気になるから、イベントがいったん落ち着く6月ごろにやろうかなって。
あとは今後もイベントに出たいなって。身体の動くうちはいつまでもね。
――では、このブルーバードは菊地さんにとってどんな存在ですか?
なんだろうな……「宝物」かな。いつまでも大事にしていきたいし、このクルマによって出会えた人もいるし繋がれたからというのもあるし。
何より令和の時代に50年前の昭和のクルマをキレイに仕上げて乗るというのが何より楽しいんだよね。
菊地英樹さんにとっては不思議な縁で愛車として迎え入れることになったブルーバードでしたが、2年がかりでメンテナンスを済ませて万全の状態に仕上げた後は文字通り楽しいことだらけのカーライフになっていったのがよくわかります。
旧車好きなオトナたちが集まってのクルマ談義はきっとディープな話もたくさん聞けることでしょう。令和の時代に昭和の名車を接点として、人と人との縁が繋いでいくというのがなんとも素敵ですね!
【Instagram】
菊地英樹さん
(文:福嶌弘)
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