良いクルマとは、一体どんなクルマだろう?答えは、トヨタ・カリーナ1400デラックスの中に
“旧車”と呼ばれるクルマが好きだという「TBさん」。そう話すTBさんは、クルマ関係の仕事に就かれていて、“新車”と呼ばれる最新鋭の装備が付いたクルマに触れることが多いのだそうです。
確かに快適なのは新車だということですが、自分には古いクルマの方が合っていると答えてくれました。果たして、その理由とは?
今回は、TBさん×カリーナ1400デラックスのお話をお届けします。
――古いクルマの良さって何だと思いますか?
デザインが人と被らない、レトロでかっこいい、構造がシンプルなので好き勝手いじれるというのが、まず好きですね。
最近のクルマは電子制御が入っていたりとかで、なかなか自分でいじれなくなっちゃってますからね。自分で修理したり、チューニングやカスタムをして性能を上げていくのって楽しいじゃないですか。
――カリーナにも、そういうことをしているのですか?
修理はちょこちょこしているんですけど、チューニングやカスタムといった類はしていません。
というのも、カリーナはワンオーナーで車庫保管されていたので、すごく綺麗なんですよ。なので、なるべくオリジナルをキープしようかなと。余計なことはせずに、ヘタっている部品を交換していくという感じですね。
カリーナが街を走っていた、昭和48年を再現するような感じにしています。チューニングしていたのは、18歳の時に購入した僕と同い年のスズキ アルトです。
――ということは、何年式のクルマになるのですか?
92年式です。購入したときは18年前のクルマだったので、旧車とまではいかなくても、古い部類には入りますかね。
――なぜ愛車にしようと思ったのですか?
走るのが好きだったんですよ。自動車部に入ってサーキットでタイムアタックをしたり氷上などを走ったりと、大学時代はそういうことをして楽しんでいたんです。
だから、いろいろな仕様にいじりやすいアルトを選びました。あとは、バブルの頃に登場したクルマなんですけど、その当時って楽しいクルマが多いイメージがあったんですよね。
とか言っていますけど、1番の決め手は“お財布に優しい価格”なことです(笑)。
――それは1番大事ですよ!
でしょ?ちなみに、当時平均20万円くらいで売っていたんですけど、僕は6万円で購入しまして。
――もしかして、壊れていたとかですか?
そうそう。mixiで探して、壊れているので売ります〜という個体だったんですよ。
で、どんなもんかと見に行ったら、オーナーさん曰く「新しいオルタネーターに交換したけど直らない」と言うわけです。それで症状を見せてもらったら、何とかいけそうな感じがしたので購入しました。
――どこが悪かったのですか?
配線が断線していただけだったんです。テスターで測ったら数値が0だったので、あぁこれだな〜と。繋ぎなおしたらすぐ走るようになりましたよ。
今思えばテスターや工具は自動車部にあったから、そういうのをしやすい環境でもありましたね。
――なるほど。ところで、カリーナを選んだ理由を聞いていませんでした。教えてください。
ガンガン走るのはアルトで堪能したので、ゆったりと乗れるクルマが欲しかったんです。
セリカとかソアラよりも、カリーナやクラウンみたいな感じが良いなって。う〜ん。渋いおじさんが乗ってそうなクルマって言ったら、イメージしやすいかなぁ?(笑)。
あとは、当時スポーツカーと呼ばれていたクルマを購入したとしても、現代のスポーツカーと比べるとたかが知れているから、速さは求めないって感じですかね。
――う〜ん。1個腑に落ちないのが、ゆったり乗れる新型車もありますよね?新型車という選択肢は、全く無かったのですか?
ありませんでした。僕は自動車関係の仕事に就いていて新型車に触れる機会が多いからこそ思うのですが、旧車って新型車にはない魅力が沢山あるんですよ。
例えば、ハンドルを切っても思ったように曲がらないから想像以上に回さないといけないし、重ステだし、ブレーキブースター付いていないし。要は不便なんです。
――それが魅力ってことですか?
そうです。雑に運転するとロールして走らなかったり、ドライバーの腕が直で反映されるから、運転技術が磨かれるんです。今のクルマには絶対にないじゃないですか。
新しいクルマは性能は確実に上がってるから、移動手段としてみたときは間違いなくその方が良いですよね。
だけど、クルマを自分の相棒としてみたり、趣味としてみたり、所有する喜びを感じるといった観点としてみたときに、旧車の方が優っていると思うんです。
僕が旧車に乗る理由はそういうことなんです。
カリーナに乗っていると、長く世の中に出ていた分、「このクルマに乗っていたんだ」と話しかけられることが多く、それが嬉しいと話してくれたTBさん。
新型車であれ旧車であれクルマを選ぶ理由は人それぞれですが、TBさんにとっては“不便”であることがご自身の感性にしっくりきているようです。
(文:矢田部明子)
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