大学生が見つけた30万円の名車、日産 スカイラインHR31前期型
お金が無い……。でも、何とか旧車に乗りたい。そう思った20歳の「こーへーさん」が手に入れたのは、30万円のHR31スカイライン。
なぜ安かったのかというと、こーへーさんの購入した個体が4ドアで、あまり人気が無かったからだと笑いながら話してくれました。それでも、自分の中ではパンチの効いた、イカしたクルマだということで… 今回は、こーへーさん×HR31スカイラインのお話をお届けします。
――人気がないとのことでしたが、こーへーさん的にカッコいいと思ったポイントはどこですか?
……。
――あれ……まさかですけど、無いとかではないですよね?
いや、愛ならあります(笑)。R31スカイラインって、ハードトップ、セダン、ワゴン、2ドアクーペがラインアップにあるんですけど、僕のはBピラーの無い4ドアピラーレス ハードトップなんです。
2ドアクーペは若い人が乗っていそうなスポーティーな感じなんですが、僕のは田舎でお爺ちゃんが乗っているような見た目なんです。むしろ、いい意味で、それまでのスカイラインっぽくない、そこが魅力のクルマだと思っています。
――よし!取材を続行しましょう(笑)。ぶっちゃけ、最初はどう思ったのですか?
このクルマを知ったのは大学生になったばかりの頃で、YouTubeで見たことがキッカケでした。旧車が何台か連なって走っている動画が上がっていたんですけど、その中の1台にR31スカイラインがいたんです。
「このクルマ、なんだっけ?見たことない。なんか、ちょっと得体の知れないクルマだな」というのが第一印象でした。多分スカイラインだろう、と調べてみると、7代目にあたるHR31スカイラインだということが分かりました。
もっと調べていくと、人気車種でもなかったみたいで、中古車でとても安く売られていたんです。確かに、2ドアクーペはミニカーで遊んだ記憶があって知っていたけど、これは知らなかったもんなぁって思いましたね。
――購入しようと思ったのは、やっぱり値段が決め手ですか?
はい。当時の僕は、とにかく旧車に乗りたかったんです。周りにも同い年で旧車好きの子がいたから、免許も無いのに皆で旧車イベントに行って、ネットで見たことのない装備が付いていると「あれ珍しいね。オーナーさんに話を聞いてみようよ」ってイベント会場を練り歩いていました(笑)。
そのくらい夢中になっていたから、絶対に乗りたかったんです。だけど、もうすでに旧車ブームがじわりじわりきていて、メジャーな車種には金銭的に全く手が出なかったんですよ。そんな時にHR31スカイラインを発見したものだから、これに決めた!ってなりました。
――ぶっちゃけ聞きますが、何円で購入したのですか?
車両整備なしで、本体価格30万円で愛車として迎え入れました。乗り出しは44万円だったんですけど、色々自分でやるからと、とりあえず入札した感じですね(笑)。
一度、掲載が取り消されてしまって、買っておけば良かったと後悔した個体だったから数ヵ月後に再掲載されたときは、大急ぎで購入しました。
――おお!運がいいですね!
はい。あとは、お金が無いと正直に話すと、お店の人が分かったと仰ってくれて、色々なわがままを聞いてくださったんです。
例えば、車両整備をしないと渡さないというお店もあるし、高速代を払ってくれたら無料で積載車で運んであげるよと言ってくれたんです。まぁ…そのお金すらなくて、仮ナンバーを取って、下道で2時間くらいかけて帰ってきましたが……。そのあと、車検のお金が貯まるまで3ヶ月間家で寝かせて、それから乗り始めました。
――何はともあれ、納車してどうでしたか?
胸がドキドキするくらい、すごく嬉しかったです。改めてじっくり見ると、カッコいいなと思う箇所があって、自分が気付いていなかっただけなんだな〜とも感じました。
――どこですか?
ハードトップでBピラーが無いから、すごく開放感があるんですよ。今だと安全面からもこういう攻めたデザインは出来ないだろうから、昭和のクルマならではだな、と気に入りました。
出来るだけ当時の雰囲気のまま乗りたかったので、純正のカセットデッキに戻して、バックカメラも取り外しました。結局、Rにシフトを入れることもなく、エンブレム横に貼ってあったカメラをバリッと……(笑)。
――あはは(笑)!男らしい!!ちなみに、乗る前と乗った後で、旧車に対するイメージが変わったなどありますか?
何とかなるんだなと思いました。例えば、僕の旧車繋がりの友達って、X(旧Twitter)がほとんどなんですよ。同級生に、クルマ好きはいても旧車好きはいなかったりするんですけど、X(旧Twitter)にならいるみたいな(笑)。
だから、免許を取る前に一緒に旧車イベントに行く友達が出来たんです。
そして、アドバイスしてくださる先輩とも沢山繋がることができます。みんカラなどのブログでマメに更新される方もいるので、何かしら修理方法が載っているんです。そう思うと心強いでしょ?だから、現代のクルマとは一味違う楽しさを、色々な人に堪能して欲しいです。
気付けば乗り始めて4年も経っていたと語ってくれた こーへーさん。最近は、20代の旧車乗りも増え、さらに旧車界隈が面白くなってきたと話してくれました。こーへーさんの話を聞いていると、やり方によっては誰でも楽しめるという旧車ライフに挑戦してみたくなります。
(文:矢田部明子)
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