私に人生の楽しみを与えてくれたマツダ・ロードスター
初代ロードスターでオープンカーの楽しさを知り、ロードスターやミニ(コンバーチブル)を乗り継ぐ吉架さん。現在は現行型のロードスターを愛車にし、特に女性にオープンカーの魅力を伝えたいという思いで、SNSで情報を発信しています。
―――吉架さんのロードスター(以降、ND)は、ボディカラーはレッド(ソウルレッドクリスタルメタリック)ですがノーズはブラックです。こだわりがあって交換されたんですか
いえ、少し前までボディと同色のノーズを着けていたのですが、飛び出してきた鹿を避けた際に、損傷してしまって。ブラックのノーズを入手できたので装着しました。思いのほか格好良くて気に入り、今に至っています
―――なんとも災難でしたね。それでは最初に、これまでの愛車歴を教えて下さい
初めて購入したのはホンダの(初代)フィットです。一目惚れしたクルマはオールドミニだったのですが、当時はピアノ教室の主宰をしており、生徒さんの送り迎えをするため燃費の良いフィットを選びました。
次に購入したのはマツダ(二代目)ロードスター(以降、NB)です。購入する少し前に、SNSのオフ会メンバーから初代ロードスター(以降、NA)を、お借りする機会があったんです。
それまでロードスターがどのようなクルマか知らなかったのですが、乗った直後からその楽しさに魅了されてしまって……。メンバーがしびれを切らすくらい、長くお借りしてしまいました。NAをお返しする時に、そのメンバーがマツダの販売店を紹介してくれたんです。その場でフィットを下取りに、当時の現行型であるNBを契約する運びとなりました。
NBはホワイトとブラックの二台を乗り継ぎ、特にブラックは下流式のスーパーチャージャーを搭載するなど、色々と手を加えましたね
―――スーパーチャージャー搭載なんて、ずいぶんと本格的なチューニングを施しましたね
ヒルクライムのコーナーからの立ち上がりで、後に発売されたターボモデルに引き離されたのが、驚きとともに悔しくて(笑)。コーナーで追いつき、ストレートで離されるのを何度か繰り返しているうちに、「なんとかしたい!」と思ったのがきっかけです。
このNBは、今までに所有した中で一番、愛着のあるクルマです。けれど大きく手を加えてしまったことで、ロードスター本来の楽しさが失われたことに気付いてしまって……。ちょっとロードスターから離れ、興味のあった(BMW)ミニのJCWコンバーチブルに乗り替えました。
ホワイトとブルー、二台のJCWコンバーチブルのあと、クーパーSのコンバーチブルに乗り替えて、やはりオープンカーが好きだと感じて、その後に現行型ロードスター(以降、ND)へ乗り替えました
―――ミニやクーパーSのオープンとロードスターのオープンとでは、やはり違いますか
違いますね。ミニはとても良くできていますが、やはり既存のクローズドボディをオープンにしたクルマ。専用に設計されたロードスターの方が、オープンカーの魅力がダイレクトに伝わります。
具体的には風の匂い、空を感じながら走る楽しさ、そしてコーナリングの動き、体に感じる一体感などです。
―――はじめてNDに乗られた時の感想はいかがでしたか?
ミニと比較して、駆動方式の違いを感じましたね。あと、かつてシンプルだったロードスターにも色々と機能がつき、またトランクも広くなって、便利なクルマに進化したなと感じました。
―――ここまでNDに乗られ、どこに魅力を感じていますか?
生粋のオープンカーであることに加えて、女性でも運転がしやすく、思い通りに走ることでしょうか。Uターンやバック、すれ違いがしやすく、ワインディングロードやコーナリングでは思い描いた通りのコースを走ってくれます。
―――女性の目線からも、女性にお勧めのクルマなんですね。それでは吉架さんがNDをはじめ、クルマを所有しているからこそ体験できたエピソードを教えて下さい
オーナーズクラブの交流により、仕事や職種、役職と関係の無い方々と知り合えたことでしょうか。沖縄を除く日本全国を自走した際には、いつまでも心に残る美しい景色を、数多く見ることができました。
―――それは日本を一周したということですか?
いえいえ、一周したわけではなく、ちょっとずつ数年かけて全国を訪れました。週末にテレビやネットで気になるスポットやお店を見かけたら、1時間後には準備を終えて出発! 時間が許すのなら、どれほど距離があっても気にしません。
そんな感じで行ってみたいところ、行ってなかったところに訪れていたら、いつの間にか達成していました。ただ沖縄へのフェリーは、鹿児島からでも丸一日かかります。私は船も飛行機も苦手なので、残念ながら未踏のままです。
―――見習いたいフットワークの軽さです。全国を回って印象に残った場所や出来事を教えて下さい
特に印象に残っているのは、長い日数をかけた九州一周ですね。
初日は京都の天橋立を観光。2日目は島根の出雲大社にお参りしてから角島経由で下関を渡り、イカをいただくために佐賀の呼子へ。3日目は生月島へ渡って長崎へ。友人と合流し、雲仙普賢岳、諫早湾、島原をドライブ。
4日目は阿蘇山を観光し、天草で夕陽を見て熊本へ。5日目は鹿児島で枕崎、指宿、長崎鼻を観光したのち、桜島に渡って霧島で宿泊。6日目は宮崎のモアイ像のある日南海岸、鬼の洗濯板を観光し、日没ギリギリに高千穂峡へ。
7日目は本州に戻り、しまなみ街道で四国入り。香川から瀬戸大橋を渡り岡山へ。8日目は和歌山在住のロードスター仲間と合流し、草津まで。9日目は諏訪でロードスターのミーティングに参加し、下呂温泉に宿泊。10日目に仲間と別れ、静岡経由で帰宅。走りっぱなしの10日間でした。
角島、生月島、天草の美しさは今でも忘れられません。いつかまたあの時と同じ景色を、ロードスターで見に行きたいと思っています。
―――素敵な旅ですね。ちなみに日本中を自走したのは全てNDで?
NBの頃からミニ、NDにかけてです。いずれのクルマも好調で、トラブルらしいトラブルはありませんでした
―――二巡目、三巡目達成も、そう遠くはなさそうですね。話は変わりますが、吉架さんのSNSにてロードスター軽井沢ミーティング(以降、軽井沢ミーティング)に触れられていました。最大級のロードスターオーナーイベントとして有名ですが、どれくらい前から参加されていますか?
初参加の年は忘れてしまったのですが、かれこれ10回以上は参加していると思います
―――軽井沢ミーティングでは、どのような出来事が印象に残っていますか?
全国から集まったロードスター(のオーナー)が、すれ違う際にヤエーで挨拶をする。あの瞬間は、何より幸せを感じるひと時です。現在、軽井沢ミーティングへの参加は抽選制ですが、かつては誰でも参加できました。その頃は友人知人との再会も楽しみのひとつでした
―――吉架さんは軽井沢ミーティングでコマ地図ラリーのスタッフをされていますが、どのような経緯でスタッフになられたんですか?
色々なイベントにご一緒させていただいている、ロードスター オーナーズクラブ40’sメンバーの方に誘われ、最初はドライバーとして参加していました。スピードではなく正確さを競うコマ地図ラリーはとても楽しく、ナビゲーターの指示に従ってゴールを目指しました。
後日、軽井沢ミーティングの実行委員でもあり、私の加盟するロードスタークラブWindistのリーダーからスタッフへの誘いがあって、多くの人にコマ地図ラリーの魅力を知ってもらいたかったので、ふたつ返事で了承しました
―――スタッフとして参加されたコマ地図ラリーは、いかがでしたか?
ルートの確認時など、必要最低限の交通費は支給されますが、それ以外は自費で、手当はないんです。コマ地図ラリー当日も、交通費は自費になります。それでも参加していただいた皆さんの笑顔や楽しんでいる様子、「お世話になります」や「ご苦労様です」といったお声がけが何より嬉しく、心の支えになっています
―――やっぱり大きなイベントの裏方は、色々と大変ですね。ちなみに吉架さんがSNSを始めたきっかけは何ですか?
当時はピアノ教室の主宰をしており、PRと活動報告を兼ねてSNS投稿を始めました。
―――普段、どのような内容の投稿をされていますか?
カフェ巡り、ビエンナーレなど美術関連巡り、ピアノ、書道、太極拳の練習などです。自身の趣味などを中心に、出来るだけ楽しいことや誰かのためになるような情報を投稿するようにしています
―――SNS活動を通じて、印象に残った出来事を教えて下さい
私は以前、コマ地図ラリーはスピードを競う競技と誤解していて、またコマ地図の読み方も知りませんでした。
興味はあるけれど参加をためらっている皆さんも、同じではないかと思い、コマ地図ラリーの詳細やコマ地図の読み方、誰もが簡単に参加できる内容であることをSNSで伝えたんです。
2年前までは30台に満たなかったコマ地図ラリーの参加台数は、今年(2023年)は100台以上に増えました。公式サイトへのコマ地図記載など、スタッフの尽力が実った結果ではありますが、私の活動もひとつの要因になったのなら、嬉しいですね
―――努力の成果が形になってあらわれると、嬉しいですよね。それでは最後になりますが、吉架さんにとロードスターとの関係は、どのようなものでしょう
私にとってロードスターは運転の楽しさだけでなく、人生の楽しみ、心豊かな出会いを導いてくれる、まるで体の一部のような存在です。そんなロードスターの楽しさを一人でも多く、特に女性に伝えることができたら素敵だなと考えています。
ロードスターに各地へのドライブ、オーナーズミーティング、コマ地図ラリー等々。アクティブに活動しては得られた楽しさを素直に受け止め、多くの人に伝えるべくSNSに投稿する吉架さん。これからも「楽しそう」と感じたら、すぐに動いて体験し、その時の様子や気持ちを発信していくのでしょう。
【Instagram】
吉架さん
【X(Twitter)】
吉架さん
(文・糸井賢一)
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