多趣味なオーナーが選んだ最高の「道具」。トヨタ・クレスタ スーパールーセント(GX51)
「良い道具」とは何でしょうか。
基準は人それぞれですが、心から気に入ってずっと使い続けられる道具こそ「良い道具」といえるのだと思います。
そして、良い道具を使っている人は、道具そのものと向き合っている人が多い印象です。道具に使い勝手だけを要求するのではなく、パフォーマンスを発揮してくれるよう手入れを欠かしません。
今回は、愛車のトヨタ・クレスタを「愛用の道具」と呼ぶオーナー、小鶴巡人さん(29歳)に、クレスタとのカーライフについてお聞きしました。
ーーまずは、愛車のことをご紹介ください。
愛車は、1982年式のトヨタ・クレスタ スーパールーセントです。2016年の10月から乗り始めて8年になります。現在の走行距離は15万キロを突破しました。
ーー1982年式で、しかも10年近く乗っているとは思えない美しさです…!
「古い=ボロい」と感じさせたくなくて、塗装が剥げやすい部分やサビの出やすい部分をこまめにリペアしています。リアフェンダーやリアのアーチなど継ぎ目のあるパネルは腐食しやすく、2回ほどリペアしました。
ーーこまごまとした修理の積み重ねによって美しさを維持しているのですね
昨年、足回りとブッシュ類を交換しました。
純正の足回りは手に入らなかったので、KYBの「NEW SR」というモデルを選択しています。KYBの足回りは全体的に水色のカラーリングですが、リアのみ艶消しの黒で塗装しました。フロントは隠れるんですけど、リアはもろに見えてしまうんですよね。
せっかく純正の雰囲気をキープしているので、リアだけ水色が浮いてしまわないように。もちろん、製品のロゴが記載されたシール部分はきちんと残して塗装したので、モデル名が一目で分かります。
ーーできるだけ純正の雰囲気を大切にするというこだわりを感じますが、社外品はどのくらい使っていますか?
必要な場合や純正部品が手に入らない場合は、もちろん社外品を使用します。ETCやドライブレコーダーなど必要なものは取り付けますし、代替品があって基本的に色が派手でない限りは、プラグコードや足回りなどの社外品も使います。
また、オプションが何一つ付いていない個体だったので、純正オプション品をオークションサイトなどで探して購入し、修理の必要があれば直しながら取り付けています。
ーー他にはこだわっているところはありますか?
純正オプションのクルーズコンピュータですね。電子工作が趣味なので、試行錯誤して取り付けました。
まず、クルーズコンピュータ一式をオークションで落札。販売時からオプションとして取り付けてある車以外にはハーネスがなかったので、必要な信号を得るための分岐ハーネスを自作し、正常に作動するような状態にメンテナンスして取り付けてあります。このクルーズコンピュータは入手にも苦労しました。正しく作動するように取り付けることができて、本当にうれしかったです。
また、同じく純正オプションの電子チューナーも入手し、スイッチ類の交換と音が出なくなる症状の修理を行いました。
ーーそこまでやるのはすごいですね! ところで、小鶴さんは何歳の頃にクルマが好きになったのでしょうか?
小さい頃にトミカで遊んでいた記憶があるので、「男の子の遊び」として好きになったと思うんですが、当時は自覚もありません(笑)。ただ、小学校の図画工作でコルク板のメッセージボードを作っていて、それがセダンの形をしているんですよね。子ども心に「セダン」という形が好きだったのかもしれません。
ーー好みがセダンに特化しているのは、ご両親が乗っていたクルマがきっかけだったとか?
おそらくセダンが好きなのは、私の祖父が2003年まで乗っていたホンダ・アコードインスパイアの影響だと思います。乗せてもらうことが多かったですし、クルマの写真も残っています。グレードはAX-iだったかな…。懐かしいですね。
ーーおじい様の愛車が原点だったのですね。それからクレスタまではどんなつながりが?
クルマが好きというよりは「セダンの形が好き」という感じで、タクシーや教習車でおなじみの商用セダン、トヨタ・コンフォートが好きになりました。そのつながりで、110系クラウン(前期型)の存在を知ったんです。
ーー110系クラウン、武骨さとエレガントさを兼ね備えていてかっこいいです
ボクシーなデザインが魅力的ですよね。この時代のセダンはかっこいいと思い、同じ時代のセダンに興味が湧いて調べ始めたんです。
ーーそこからクレスタの存在を知ったわけですか?
クレスタの存在を知ったのは大学時代でした。スタイリングに一目惚れでしたね。50系クレスタの角目4灯式ライト、フェンダーミラー、直線を基調としたデザインすべてが、私の好みに刺さりました。
そこからフルノーマルの個体を探しながら運転免許を取得しました。
中古車サイトで探していたところ、5速MTと4速ATのフルノーマルの個体が出てきたんです。本当はMTのモデルが欲しかったのですが、予算の都合と自宅の前は坂道が多かったことから、4速ATのモデルを選びました。
ーーそれが今の愛車ですね
はい、そうです。このクレスタが初めての愛車なんですよ。父の知り合いの整備士にお願いして、整備・納車してもらいました。熊本から自宅まで自走で来てもらったんですよ。
納車日のことは明確に覚えていて、2016年10月20日の午後。その日は平日だったので、仕事を半日休んで出迎えました。地元の海水浴場の駐車場まで初ドライブしました。
ーー自走で納車って珍しい気がします。しかも、熊本からの距離だと500キロはありますよね。トラブルなく走ってくることができたことは、抜群のコンディションだという証明にもなるのでは?
現代のクルマと同じように…とまではいかずとも、普段使いできるということですからね。趣味のクルマである前に「道具」として、長距離もトラブルなく走れるコンディションを確認できました。
ーークレスタを手に入れて変化したことや、印象的なエピソードがあれば教えていただけますか?
遠出をする機会が増えました。関東へもたびたび行くようになりましたね。
私は「ウマ娘 プリティーダービー」のファンなのですが、キャラクターのモデルになっている引退馬に会いに行ったことがあります。友人たちを乗せて行ったのですが、クレスタのエアコンがしっかり効いて快適な旅でした。
それと、出先で必ずといっていいほど二度見されますね(笑)。これだけ見られるのであれば、古くて汚いクルマの印象を持たれたくないなあと思い、綺麗さをキープするように心がけています。
ーー変化といえば、小鶴さんのSNSを拝見しているとすごく多趣味ですよね。小説の執筆や管楽器の演奏など数多くの趣味をお持ちですが、他の趣味と愛車とのつながりってありますか?
もともと写真を撮るのが好きで、岩国航空基地のイベントに行ったりとかしています。クレスタで遠出することが増えてから、写真を撮る機会もグンと増えました。
それと、小説を書くのが好きで同人誌を制作しているのですが、クレスタとのカーライフを綴った同人誌も制作してコミックマーケットで頒布しています。
ーー同人誌まで制作してしまうなんてすごい!小鶴さんのライフスタイルに溶け込んでいますね。この先、クレスタとどんな風に過ごしていきたいですか?
特別に気を遣うことなく、普通に乗るつもりです。ただ、古いクルマなので当然、気になる点はあります。コツコツと直して不安な部分を潰していきたいですね。
消耗部品の交換は車検のタイミングで行っていますが、この先ディーラーで修理できなくなることを想定して、ディーラー以外の主治医も見つけておきたいと考えています。
ーー小鶴さんにとって、クレスタはどんな存在なのでしょうか。
愛用の「道具」ですね。愛車は「パートナー」や「相棒」という言い方もあるので「道具」と表現することで誤解されるかもしれませんが、私にとっては移動手段としての「道具」であり、やりたいことを実現するための、選択肢の一つになってくれている気がします。
ーー素敵です。では、愛車にメッセージを伝えるとしたらどんなことを伝えたいと思いますか?
「これからもよろしく。どうしても乗れない期間ができたりするけど拗ねないでね」でしょうか。
数多くの趣味を持つ小鶴さんのライフスタイルに溶け込む愛車、クレスタ。これからもアクティブな小鶴さんとともに、さまざまな土地へ出かけて行くのでしょう。もしかすると、皆さんの街でも見かけることがあるかもしれません。
なお、小鶴さんのSNSアカウントは、クレスタとのカーライフはもちろん写真、音楽など、さまざまな趣味の話題を発信しています。ぜひ覗いてみてくださいね。
【Instagram】
zhuravlik_kcさん
【X】
Zhuravlik_KCさん
<取材・文 野鶴美和>
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