トヨタ カローラGTは18年間いつも傍に居てくれた「スーツを着たアスリート」
今回お話を伺ったのは、1989年式のカローラGT(AE92)とのカーライフを18年間楽しんでこられたというNeumeierさん。
物心つく前から大のクルマ好きで、幼少期はクルマの名前を読むためにアルファベットを覚えるほどだったとのこと。
そして、1992年にトヨタ博物館で開催された特別展やカローラの書籍を介し、憧れがより一層深まっていきました。
実は23年前、最初の愛車としてカローラ(TE71)を迎え入れるも、維持する難しさに直面し、1度手放すことになったそうです。
でも過去に手放したことのあるカローラに再び乗ろうと決めたのは数年後、そこにはどんな思いがあったのでしょうか。
今回は、カローラ×Neumeierさんのお話です。
――初めての愛車は世代違いのカローラ(TE71)だったんですね
そうなんですが、アルバイトが難しい学生の立場で維持することが困難で、結局高専時代の同級生に譲っちゃったんですよね。好きなクルマを手に入れることは大事なんだけど、好きなだけじゃ乗れないということを学びました。
――その後はどんなクルマに乗られたのでしょうか?
カローラを譲った同級生から紹介してもらったスバル・ヴィヴィオに乗り、カーライフを楽しんでいましたね。そんな中、別の同級生から「ヤフオクにカローラが出品されているよ」って教えてもらったんです。
それが今のカローラなんですが、走行距離が4万km足らずで、平成元年式のMTのカローラGTが手の届く価格で出品されていて、本当に驚きましたよ。
――それが今のカローラとの出会いだったんですね。カローラに再び乗ろうと思われたのは何故だったんですか?
今でも最初に購入したカローラのことを思い出すんですが、まるで添い遂げられなかった初恋の相手みたいな感じで、胸を締め付けられるような思いになることがあったんですよね。今度こそちゃんと乗りたいっていう思いが強くて。
あとは、元々カローラが大好きだったっていうのも1つの理由だと思います。私は物心つく前からクルマが好きだったらしく、両親は惜しみなく協力してくれていたんですよね。
それで、トヨタ博物館に連れて行ってくれた時、初代カローラが展示されているのを見て、小さな大衆車なのに堂々とした姿に感銘を受けたんです。そこから一気に好きになったのが最初のきっかけだったのかもしれないです。
――その後もカローラへの熱は冷めず、という感じだったんでしょうか?
そうですね。その後中学生になり、小田部家正さんが書かれた「カローラ物語」を擦り切れるほど読んだのですが、歴代のカローラが大衆車でありながら、時代毎のニーズを明確に形にしてきた存在だったことを学んだんです。
「むしろ、一点集中型のメジャーな名車よりも凄いんじゃないか?」って思い始め“大衆車カローラ”という存在がさらに好きになったんですよ。
――正に魅了されたという感じで、再びカローラのオーナーになったのは必然だったという事ですね。
「いつかカローラに乗りたい」という気持ちは、幼少期からずっと変わらなかったんだと思います。
――現在も乗られているカローラ(AE92)を初めて運転した時はどんな印象でしたか?
ベースが端正な大衆セダンなので、真面目そうなんですが、走りは軽快で、高回転でグッとパワーが湧き上がってきて運動神経抜群なんです。運転していると自然と笑顔になってしまうくらいワクワクしていたのを覚えています。
コーナリングもFFなのに、どこまでも曲がっていくような錯覚に陥るくらいよく曲がってくれて、操縦するのが楽しいと心から思いましたね。
――Neumeierさんが1番気に入っているカローラGTのポイントってどこなのでしょうか?
この時代のカローラは、日本から世界中に輸出していたので、高い平均点を取れるように基本の作りがしっかりしていたんですよ。さらに「GT」というグレードなのに、外装の差別化は最小限で地味なんです。
4A-GEという高性能エンジンを積みながら能力をひけらかさず、内に秘めた情熱はオーナーや一部の人にしか分からない。そういう点がカローラGTの一番の魅力だと思っています。
言うなれば「スーツを着たアスリート」という感じでしょうか。
――今までで1番印象的なカローラとの思い出はありますか?
そうですね…。そういえば数年前、カローラの抹消登録証を頼りにこのカローラの初代のオーナーさんのご自宅付近に走りに行ったことがありました。このクルマは元気だよって間接的でも良いから伝えたかったんですよ。
――初代オーナーさんにお会いできたんですか!?
さすがに、アポなしでご自宅まで伺うのは迷惑だと思ったので、ふらっとご近所を見に行った程度だったんですが、その時にこのカローラをじっと見ている人たちがいたんです。もしかすると、当時のカローラを知っていた人たちだったのかもしれないと思って…。
いきなり怪しい人から声をかけられるのも気持ち悪いだろうと思い、お声がけするのは止めたんですが、もし初代オーナーさんにお会いできる機会があるのなら「素敵なクルマを大切にしてくださり、譲っていただきありがとうございます」と伝えたいです。
――大切に乗られてきた初代オーナーさんの意思を尊重されていてすごく素敵ですね。ところで、Neumeierさんがカローラに乗っていて幸せを感じる瞬間ってどういう時なんでしょう?
やっぱり、カローラは走らせている時が楽しいですね。長距離ツーリングが大好きなんですが、一方で、じっとカローラを眺めながら休憩するのも大好きなんです(笑)。乗っていても楽しいし、眺めているだけでも楽しませてくれる存在なんですよ。
あと、幼いころ実家にあったEP71スターレットの車内で流れていたREBECCAのカセットを自分のカローラでも運転しながら聞くと、グッと童心に返りワクワクします。
「RASPBERRY DREAM」のイントロを聴きながら、高速道路の加速車線を2速全開で駆け抜けるとき、きっと私は満面の笑みを浮かべているんだろうなと思います(笑)。
――今のNeumeierさんにとってカローラってどんな存在になったんでしょうか?
相棒とか彼女とかっていうほど対等な存在でもないですし……。強いて言うなら、私に元気をくれる歳の離れた友人という感じですかね。
思い返すと、学生時代から就職し結婚した現在まで、ずっとカローラに見守られながらカーライフを楽しませてもらった気がするんです。
仮にもっと状態が良く、希少な仕様のAE92が出てきたとしても、私はもう欲しいとは思わない気がするんですよね。
というのは、カローラが好きである以上に、今乗っているカローラに対する愛着が上回っているからなんだと思います。
初代オーナーの近所へ行ってみた帰り道、カローラを里帰りさせられた喜びと同時に、後ろめたさもあったというNeumeierさん。
理由を聞くと「クルマを買ってから10万km走らせたし、ドアをぶつけちゃったりして、それが申し訳なくて……」と話します。
ただ、18年間Neumeierさんがクルマの鍵にずっと付けている“ストラップ”。それは購入当時既に付いていたものであり、初代オーナーから引き継ぎ、今でも大切に付けているそうです。
この先、たとえ初代オーナーとばったり遭ったとしても、思いが染みるこのストラップがあれば、一瞬で意気投合できるのではないかと感じられました。
(文:秦 悠陽)
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