必要なモノはすべて詰め込める!! NV200バネットは見た目は仕事グルマだけど走りも楽しめる最高の相棒
知る人ぞ知るアウトドアの達人「おそとまん」の愛車は、ビジネスユースに特化した小型貨物車に分類される日産NV200バネット。
普通乗用車と比べて税制面が優遇される代わりに車検が1年毎になるなど手間がかかるとは言え、その飾り気のない質実剛健さに価値を見いだし自家用車として活用する人も少なくない。
おそとまんもそんな1人でNV200バネットに遊びと仕事道具を目いっぱい詰め込んでフル活用している。
ちなみに同車は1970年代から連綿と続くシリーズの5代目に該当し、かつてはバネットセレナやバネットラルゴといった派生車種も生み出してきた名門ブランド。
日産の商用車ラインナップの中では1BOXモデルのキャラバンに次ぐ立ち位置で、兄貴分のキャラバンに比べてボディはひとまわり小さく扱い易いサイズが特徴。
また、当の5代目からは世界戦略車として車名にNV200の文字が追加され、欧米はもとより東南アジアやアフリカなどグローバルに販売。同時にバンモデルだけでなくタクシー仕様もラインナップされ、ニューヨークのイエローキャブに採用された際に話題となったのも記憶に新しいところ。
日産みずから銘打つ「高機動ビジネスバン」のキャッチコピーは伊達では無いのだ。
そんなおそとまんは茨城県の「かすみがうらドッグ&MTBパーク」なる屋外の複合型施設において、MTB(マウンテンバイク)のレクチャーやマウンテンバイクコースの維持管理を生業にしている。
今から3年ほど前、同施設の起ち上げから関与することになったタイミングで必要不可欠なクルマも新調。従来とは異なるMTBとアウトドアが主体のワーク&ライフスタイルに照らし合わせた結果、おそとまん的に導き出した理想の愛車像がミドルサイズのライトバンボディを持つNV200バネットだったという。
ほど良いボディサイズに見合わぬ積載性を誇る車体は、持って生まれた商用車としてのタフさと相まって最高の相棒に成り得たのだ。
NV200の購入にあたっては4WDとマニュアルミッションを兼ね備えたグレードが存在しなかったため、悩みに悩んで操る喜びが得られるであろう後者をチョイス(残念ながら現在マニュアルミッション搭載車は廃止)。
エンジン回転数に合わせながら5速ミッションを自在に操ることで、商用車でありながら街乗りからワインディングまで思い通りの小気味よい走りを堪能できるという。
エクステリアを自分好みにするにあたり、唯一困った点として、「NV200のホイールを装着するハブが特殊(PCD114.3/4H)だったこと。アフターマーケットのホイールで合致する製品がほとんど存在せず、いま履いているDAYTONAホイールを見付けた時は思わずガッツポーズが出ましたよ。14インチのスチール製だけどクルマの雰囲気にマッチしていてお気に入りです」と苦心した過去も。
加えてシートはバケットタイプ(助手席は奥さま仕様で両サイドのバケット感は控え目)に換装し、メーターパネル上部には後付けのタコメーターも設置してエンジン回転数もしっかりと把握。セカンドシートも取り外して広大なスペースを誇るラゲッジは、バスフィッシングやキャンプ、そしてMTBなどをフル搭載して遊びの基地と化している。
そして、バイキング・カヤック社製のボートを積むためには、ルーフラックにカヌー及びカヤック用キャリアを装着して運用。ボートを横倒しで積載するのは空力的にどうなの!? と思いきや「リアゲートの開閉に支障を来さないためなんですよ」とノウハウも伝授していただいた。
おそとまんに改めて相棒の美点を挙げてもらうと、「ラゲッジスペースにはサイズや形状も関係なく積み込めるし、汚れ物も気にしないで済むのはアウトドア遊びにおける大きなアドバンテージですね」とのこと。
なるほど商用車の内装はむき出しの鉄板やビニール素材が多いので、飾りっ気こそないけれどシンプルゆえに清掃も楽ちんという訳だ。
また、「車内がだだっ広いので車中泊はもちろん、ワーキングスペースとしても有効活用してます。アウトドアが主体とは言え、いろいろと雑務も任されてまして……」と昼夜を問わず車内スペースを有効活用している。
さて、そんな趣味のアウトドアスポーツを常日頃から全開でエンジョイしている自由人、おそとまんの半生を紐解いてみよう。
幼少期から凝り性だったというおそとまん少年は同世代の友達とラジコンや釣り、TVゲームといった遊びに熱中。
将来を見据えた大学在学中はバスフィッシングの一大ムーブメントが巷を賑わせており、漠然と船舶に興味を持ち合わせていたこともあってバスプロへの道を志願。
勢い余ってバス釣りの聖地とされていた霞ヶ浦のある茨城県に移住し、同時にボートメーカーへ就職するとサラリーマンとして働く傍らバスプロ大会を行脚するライフスタイルを続けていた。
ところがバスプロとしての芽も出ないまま三十路をむかえようとしていた頃、大きな後ろ盾にもなっていたボートメーカーがまさかの倒産。バスプロとして資金難に陥るばかりか、いきなり日常生活でも困窮する羽目に。
しかし、そんなことでは微塵もへこたれないのがおそとまんの真骨頂とばかりに、バスプロ大会の賞金で一攫千金を手にする夢はスッパリと諦め、釣り仲間でもあった友人とモノ作りに特化した新会社を設立したという。
10年近く続けたバス釣りで得たノウハウを活かして開発した釣りのリール専用潤滑オイルは、ライバル不在のニッチな商品ということもあり発売と同時に大ヒット!!
この成功を元に今度はラジコン向けに開発した潤滑オイルが大手模型メーカーのプロチームに採用されてチームスタッフとして世界を転戦。
まさに波瀾万丈を地で行く人生を送ってきているが、まだまだ終わらない。
40歳を過ぎた頃、ふとしたキッカケでMTBを購入すると「どうせなら本格的に楽しんでみたい」とプロMTBライダー高橋大喜選手のスクールを受講したことをきっかけに、みるみる実力がアップ!
わずか3年ほどでBIGジャンプのスキルも獲得するなど、オジサンマウンテンバイカーの星とも言える存在にまで成長を遂げた。
そして、ここでまたもや急転直下!! 趣味としてドップリとMTBにハマった生活を送っていると、かすみがうらの地にMTBコースを新設したいとの話が舞い込んだのだ。
バス釣りのために移住してきたものの「今では家庭も築いたし、第二の故郷として骨も埋める覚悟」と思っていた矢先、ここは一世一代のチャンスとばかりに諸手を挙げて現在の職に就くことになる。
「将来的には講習会に参加してくれている皆を連れて、僕のお師匠さんである高橋大喜選手と一緒にカナダを走りに行きたいですね」とコロナ禍明けを見越した計画も水面下で着々と進行中だという。
バスプロで一旗揚げることを目指していた二十代、その頃のようなハングリーさは微塵も残っていないとはいうが、相変わらずバスフィッシングは趣味の一環として続けているおそとまん。
「最近はもっぱらカヤックでのんびり水面(みなも)に浮かびつつ、まったりと時が過ぎゆくのが癒しなんですよ~」と目を三角にしていたバスプロ当時を懐かしむかのような発言も。
とは言え、凝り性なのは相変わらずで、NVの車内に設置されたホルダーにはあらゆるシチュエーションに対応できるよう複数本のロッドを常時スタンバイさせている。
ここまで紹介してきた「かすみがうらドッグ&MTBパーク」は、ドッグランとオートキャンプ場を併設した上にMTBコースも融合させた国内では希少で魅力的な施設。
週末や祝日を中心におそとまん自身が主催するMTBの講習会やキャンプの体験会も実施されている。
そしておそとまんは野望はある野望をいただいている。それは筑波山を中心にかすみがうら市、つくば市、石岡市、土浦市を股にかけたMTBで駆け巡れる巨大なバイクパークの構想。
「行政にも協力を得た上で、カナダのウィスラーを彷彿させる一大リゾートエリアを茨城の地で実現させたいんです」と鼻息も荒い。
荒唐無稽な話に聞こえるかもしれないが、生来のやると決めたことに一直線な性格と、MTBに乗り始めて5年という短期間でコース運営とインストラクターまで手がけるおそとまんのことだから、あながち夢物語では終わらないのかもしれない。
「最近オフの日は気分転換も兼ねて近所の筑波山に走りに行くんですよ、MTBじゃなくてクルマの相棒とね。1600ccで100馬力ちょっとの非力なクルマだけど、コーナー毎に最適なギアをチョイスしながらエンジンぶん回して走っていると無の境地に達せるというか……。仕事の疲れや悩みも吹き飛ぶんですよね!! 助手席の嫁さんはふてくされてますけど(笑)」
商用車の利点を自家用に転嫁させ、尚かつ遊びのベース基地として昇華させたおそとまん。これからも相棒NV200バネットと夢に向かって走り続るのだろう。
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