2024 WRC 第1戦 ラリー・モンテカルロ レポート

  • 17号車(セバスチャン・オジエ、ヴァンサン・ランデ)

目次

1.スケジュール
2.チーム&ドライバーズ / コ・ドライバーズ
3.ランキング
マニュファクチャラーズランキング
ドライバーズランキング
4.レース 結果&レポート
・第1戦 ラリー・モンテカルロ 結果 レポート
・第2戦 ラリー・スウェーデン 結果 レポート
・第3戦 サファリ・ラリー・ケニア 結果 レポート
・第4戦 クロアチア・ラリー 結果 レポート
5.WRCとは

第1戦 ラリー・モンテカルロ レポート

2024/1/25-1/28、WRC最長の歴史を誇るラリー・モンテカルロ。2024年シーズンの第1戦としモナコとフランスで開催され、ヒョンデ・シェル・モービス・WRTのティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ(11号車)が総合優勝した。
TOYOTA GAZOO Racing WRTのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ(17号車)は、最後まで激闘を続け総合2位となり、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン(33号車)が総合3位で、勝田貴元/アーロン・ジョンストン(18号車)が総合7位でフィニッシュした。
なお、WRCデビュー戦となるGR YARIS Rally2は、WRC2カテゴリーで参戦したStéphane Lefebvre/Andy Malfoy(27号車)が総合13位、Jan Solans/Rodrigo Sanjuan (29号車) が総合14位となり、Sami Pajari/Enni Mälkönen (23号車)は、総合12位を収めた。

DAY1
フランス南部の山岳地帯で2本のナイトステージが行われ、エバンスが総合1位に、オジエが総合3位に、勝田が総合6位につけ、TOYOTA GAZOO Racing WRT全車が競技初日を走破した。
刻々と変化する路面コンディションにいかにうまく対応できるかが勝負の鍵となるこのラリー、当日は気温が例年よりもやや高かったため雪や氷は少なく、ターマックの路面は概ねドライコンディションの状態であった。
なお、セレモニアルスタートの直前には、新旧世界王者のカッレ・ロバンペラとセバスチャン・オジエによって、彼らの名を冠したGR YARIS「WRCドライバー監修特別仕様車」が公開された。

DAY2
サービスパークを中心にギャップ周辺の山岳地帯で3本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行する合計6本 距離105.72kmとなるこの日のステージ、戦いの舞台が昨日よりも北側のエリアに移動したこともあり、ターマックのステージは凍結していたり雪が残っているセクションが多く、さらに、一部のコーナーではインカット走行により路肩から掻き出された泥や砂利が路面に広がり、非常に滑りやすくトリッキーなコンディションでの戦いになった。
エバンスは、ミスを回避しながらも全てのステージで2、3番手タイムを刻み、首位の座をキープ。オジエは、地元である山岳ステージで本領を発揮し総合2位に順位を上げた。また勝田は、SS3の凍結したコーナーでコースオフし5分近くタイムロスした。

DAY3
ギャップのサービスパークの西側エリアで、3本のステージをミッドデイサービスを挟み各2回走行。合計6本 距離120.40kmとなるステージは4日間で最長。前日に続き天気は良く路面は基本的にドライコンディションであったが、引き続き湿っているセクションも多く、早朝は霜やアイスに覆われた路面もあった。
オジエは、トリッキーなコンディションの中、SS10、SS12でベストタイムを刻み、続くSS13も制し総合2位を死守、勝田はこの日ペースが向上、3、4番手のタイムを5回記録するなどし、総合7位まで順位を挽回した。

DAY4
最終日となる日曜日、ギャップのサービスパークを出発した後、SS15として今大会3回目となる「ラ・ブレオル/セロネ」、続いてSS16「ディーニュ=レ=バン/ショドン=ノラント」、有名なチュリニ峠を含むSS17「ラ・ボレーヌ=ベジュビー/コル・デ・チュリニ」を走行する合計3本距離52.12kmのステージが行なわれた。
この日も路面は全体的にはドライコンディションながら、濡れているところもあり、ところどころに凍結区間や霜で覆われている区間もあった。
オジエは、オープニングのSS15と、最終のSS17でセカンドベストタイムを記録するなどし、最後まで全力を尽くしたが逆転には至らず、総合2位でラリーを終えた。
エバンスは、日曜日単独でのポイント獲得に集中し、SS16では2番手タイムを記録。結果、総合順位は3位と変わらずも、日曜日単独では2番手となった。
勝田は、パワーステージとなった最終のSS17で3番手タイムを刻むなどし、ラリー・モンテカルロをいい形で締めくくった。

≪豊田 章男 (TGR-WRT会長)≫
8回目のシーズンスタートはTOYOTA GAZOO Racing WRTにとって新たな一歩となりました。
9年前、私は皆さまの前でWRC再参戦を宣言しました。そのときの言葉は「お客様が“日常使う道”を舞台に“日常使う市販車”をベースとしたクルマで争われるラリーは、ヒトとクルマを鍛え上げるためには最適な舞台。もっといいクルマをつくるため、多くの方々に笑顔になっていただくため、WRCの道に再び戻らせていただきたい。」

今回、7シーズンを経て、“お客様に笑顔になっていただくクルマ”を、さらに2つ提供させていただくことができました。
ひとつはチャンピオンエディションの2台、「セバスチャン・オジェEdition」と「カッレ・ロバンペラEdition」です。単なる記念モデルではありません。二人のチャンピオンが開発に入り込み、彼らの求める味を実現したモデルです。

カッレのクルマは私も大好きなドーナツ味も楽しめるとのこと。私も一度、試食してみたいと思っています。セブのクルマには、なぜか“MORIZOモード”がついています。開発中にセブが行き着いた味付けが、私の味付けと同じだったので、セブの計らいでチャンピオンのクルマに私の名前も乗せてもらえることとなりました。セブありがとう。

もうひとつは「Rally2」です。初の実戦となるモンテカルロで、4組のお客様が乗ってくださいました。実力が示されていない未知数のクルマで、さっそく挑戦いただいた4組のチームの皆さまに心から感謝いたします。

日本の第1号車の納車先は“普通のクルマ好きおじさん”です。まだ納車はされておりませんが、モリゾウも先ず乗ってみて、改善点がないかなど試してみたいと思います。その後、そのクルマは、国内のカスタマーに貸し出して全日本ラリーに参戦してもらう予定です。Rally2をWRCや全日本ラリー間に合わせるため、フィンランドのメンバー達は大変な努力をしてくれていると聞いています。まずはデビュー戦モンテカルロで4台すべてが完走できて安心しました。クルマそのものも、サポート体制も、これから改善させ続けていかなければ、お客様に選ばれるクルマにはなっていきません。今回がスタートです。チームの皆さん、よろしくお願いします。

TOYOTA GAZOO Racingにとって、WRCはただ勝てばいいというものではありません。「もっといいクルマをつくるため、多くの方々に笑顔になっていただくため」の参戦です。これまでの85回の喜びや悔しさが、今回も“お客様の乗るクルマ”に結びつきました。本当に大きな一歩です。その一歩を優勝で飾ることはできませんでしたが、3台のRally1と4台のRally2の走りを、確実に次のラリーに繋げ、2024シーズンも最高の1年にできるよう、チーム全員で努力を続けていきましょう。ヤリ-マティ、今年もよろしく頼みます!

MORIZO on the Road