角田裕毅、鮮烈F1デビュー!今後、末長く応援したい選手であることを確信した…安東弘樹連載コラム

  • 写真提供 : 本田技研工業株式会社

2021年3月29日(日)、アルファタウリHONDAの角田裕毅選手がF1デビューを果たしました。日本人ドライバーがF1の舞台で闘うのは7年ぶりです。

結果は御存知の方も多いと思いますが、見事と言って良い9位入賞!

予選はQ1を何と2位で通過したものの、Q2で13位となりQ3には進出できませんでしたが、本番のレースで、見事なオーバーテイクショーを演じ、9位でフィニッシュ、2ポイントを獲得しました。アルファタウリの同僚、ピエールガスリー選手が不運にもリタイヤとなってしまいましたのでチームに貴重なポイントをもたらしたことになります。

それにしても圧巻だったのは、元世界チャンピオンのセバスチャン・ベッテル、フェルナンド・アロンソ、キミ・ライコネンの3選手をオーバーテイクしたときのドライビングでした。

派手さはないものの、クリーン・且つ美しい抜き方で、YOU TUBEで英語圏の中継の様々な実況を聴いたのですが、殆どの実況アナウンサーが「ブリリアント!」「ビューティフル!」と叫んでおり、何故か私がにんまりしてしまったことを白状しておきます(笑)。

私はスポーツを観るとき、ナショナリズムに左右されず、個人を応援し、その高い技術を堪能するタイプだと思っていたのですが、がっつり「日本人」角田裕毅選手を応援している自分に気付き、思わず笑ってしまいました。

それも、我々を感動させてくれる高い技術も持ち合わせている「日本人」ですから、自然と応援にも力が入りますし、長く応援できる選手であることを確信させてくれたのです。

こんなに嬉しいことはありません。

そして第一戦バーレーンGPの後、所属チーム「スクーデリア・アルファタウリ」の公式YOUTUBEチャンネルで、レース当日の角田選手の密着動画が公開されており、それを観たのですが、角田選手の人柄が良く分かりました。

驚いたのが、その内容で、まさに「密着」。
着替えのシーンでは下着まで、しっかり映っています…(笑)

マネージャーと思われる男性が角田選手をホテルに迎えに行き、サーキットに入ります。
まだリラックスしている時間ではスタッフと見事なボールさばきでサッカーに興じている場面などが公開されており、デビュー戦前後の時間を共に過ごしたような錯覚に陥るほどの濃密な内容で、角田選手がチームに愛されていることがよく伝わってきました。
それにしてもレースの瞬間以外は常に笑顔で、屈託がなく、パドックで私服を着て歩いている姿は、小柄なこともあって、子どもがパドックに入り込んでしまったような様子で、動画を観ながら私からでてきた正直な言葉は「可愛いな」です(笑)。

ただ、チームスタッフとのブリーフィングや指示を出すときなどは、屈託ない表情が消え戦う男の顔になるところには感服しました。

レース時もF1ではルーキーで、しかも最年少ドライバーであるにも関わらず、自分より遅いマシンが前に溜まっているときには、「ひどい渋滞だ!みんなどいてくれ!」と叫ぶなど、これまでの日本人ドライバーと比べて中々のハートを持っていることがわかります。

しかしレース直後には無線で、素直に、少し遅れてしまった自分のスタート時のミスを謝罪していましたので、精神的にも、とてもバランスの取れたアスリートだというも伝わってきました。

かくして鮮烈なデビュー戦は無事に、いや見事に結果を出し、本人も「楽しめた」と語っている様に我々、F1ファンに大きな夢を授けてくれたのではないでしょうか。

漁るように確認した海外メディアの論評も上々で、総じて「見事なデビューレースだった」という記事がほどんどでした。

そして海外メディアに対しての応対も流石で、発音はネイティブ並みとまではいかないものの、英語で流暢にインタビューにも応え、時々笑いを取ることも忘れずに、ここはF2や、その下のカテゴリーから海外で活動していたことで既に慣れているというのも大きいでしょう。

蛇足ですが、角田選手、小学校は出身地、神奈川県相模原市にあるLCA国際小学校という学校に通い卒業しているのですが、この小学校、基本的に英語で普段の会話もする、いわばインターナショナルスクールに近い小学校で、そこでの経験も英語の習得はもちろん、今の物怖じしない大胆な性格の醸成に影響しているかもしれません。

更にちなみに、角田選手がレース中に発するFで始まるような単語を駆使する汚い言葉のほどんどは、「我々が教えてしまった」とF2時代に所属していた「カーリン・モータースポーツ」の代表が「告白」しています(笑)。

TBSの社員時代から有料で契約していた「フジテレビNEXT」を介して生でテレビ観戦していた私と長男を大興奮させ、これからのF1観戦を、より楽しめるようにしてくれた角田選手に心からのお礼を申し上げたいですし、これからも応援していくことを勝手に宣言させていただきます!

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そして、このコラムを書いているのが第二戦、エミリア・ロマーニャGP(イタリア)の翌日なのですが、角田選手は残念ながら2戦連続の入賞とはいかず、12位でした(13位でフィニッシュ。後に他選手のペナルティがあり12位が最終順位)。
予選Q1の序盤でクラッシュしてしまったため、最後尾からのスタートとなりましたが、様々なアクシデントが起こる中10位まで順位を上げて、ここから怒涛のオーバーテイクショーが観られるか!と期待に胸が膨らむ中、大きな事故が起こってしまいます。

メルセデスのボッタス選手とウイリアムズのラッセル選手が接触し2台ともクラッシュ。大量の破片がコース上に散乱したため、レースは赤旗が出て中断。そこからレース再開した直後、濡れた路面にスリップしスピンしてしまった角田選手は15位まで大きく順位を落とし、そこから13位まで挽回した所でレースは終わってしまいました。

またリアルタイムで観戦していた私と長男が大きなため息をついたのは言うまでもありません…。

しかし、コースの場所によって雨が降ったりやんだりする難しいコンディションのレースで、最後尾から10位まで順位を上げ、更に自分のミスで落とした順位を、キチっと再び上げてきた角田選手の非凡さは2つのレースを観て十分に伝わってきました。

本人も「悔しいが、様々なことを学べた」と冷静に話しています。当然ですが、角田選手は雨の中、決勝でF1マシンを操ったのは初めてで、「その特性も今回で理解できたと」コメントしており、スピンの後、冷静にオーバーテイクをしていることからも、前向きな言葉に説得力がありました。

ちなみに優勝は同じHONDAパワーユニット、レッドブルのマックス・フェルスタッペン選手で、今年の選手権は久しぶりにメルセデス1強ではない面白い戦いが楽しめそうです。

それから角田選手のF1デビューについて、第一戦の直後に書かなかったのは単なる「ビギナーズ・ラック」ではないことを確信してから書きたかったのと、自分が興奮状態にあったので、そこも落ち着いてから書いた方が良いのではないかという判断もあったからです。

第二戦が終わって角田選手が獲得したのは2ポイント。まだ始まったばかりですが、今、ランキングは20人中、9位。

ここから、どんなレースを見せてくれるのか。日本人選手だから、だけではなく純粋に一人の突出したルーキーの今後の活躍が楽しみです。

モータースポーツは、やはり面白い!
角田選手のお陰で、再確認できたことが何より嬉しかった春の夜でした。

[画像提供 : 本田技研工業株式会社]

安東 弘樹

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