『クルマは最高のトモダチ』愛機ハチロク『赤パン』でトレーニング。「美しく走る」ために必要なこと…山田弘樹連載コラム
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みなさんに試乗記事を提供する仕事をしているだけに、やっぱり運転はうまくありたいもの。それを磨き続けるための相棒としても、維持費とランニングコストが掛からないハチロクは最高のトモダチです。そして今年は、楽しいからひとつハードルを上げて、美しく走れるようになりたい!と思います。
新年、遅ればせながら、明けましておめでとうございます!
今年も「クルマは最高のトモダチ」を、よろしくお願いします。
さてこの原稿を書いている現時点では、1都3県に2回目の緊急事態宣言が発令されました。そして改めて昨年初めの、第1回目の頃を思い返すと、様々な記憶が甦ります。
ボクもフリーランスですから、当然「仕事どうなっちゃうんだろう?」という不安に駆られました。また実生活では、マスク不足やトイレットペーパーの買い占めなんて事態も起きましたよね。
ただその一方で今回は、「最初のときよりも緊張感がなくなっている」なんて話も聞きます。
となると2回目となる今回は、どうしていけばいいんだろう?
そこには様々な意見があると思いますが、ボクなりにまず必要なのは「冷静さ」を持つだと思っています。
自分の体調を可能な限り良好に管理して、色々な情報を得ながらも、それに振り回されず平常の生活を保つこと。色々と不安だけれどまず慌てずに、今何が必要なのかを冷静に考えることが、第一歩だと思っています。
これって、スポーツドライビングにも通じるところがたくさんあります。
速く走りたい!クルマを上手に操りたい!!
こうした高い目標を達成するには、まず冷静なことが大切なんです。もっとわかりやすく言うと、運転しているときに慌てないこと。
まるで修行僧のように、冷静な気持ちでサーキットを走ったら、楽しくもなんともないんじゃない?と思うかもしれませんが、そこまで行ければ大したもの(笑)。
どれだけ冷静になろうと頑張っても、サーキットのような特別な環境で走れば普段より気分は確実に昂揚しますし、同時にクルマを壊したくないから緊張もするものです。
だから可能な限り気持ちをリラックスさせて、集中して走る。そうすると発見も多いし、タイムアップや技術力アップにつながります。
なんて偉そうなことを言ってますが、ボクたちアマチュアには、それが一番難しいんですよね~(笑)。
というわけでようやく本題ですが、ボクも年末に愛機・赤パンでトレーニングしてきました!場所はおらがホームサーキット、「筑波コース1000」。
というのもコース1000でスポーツ走行があるときは、タイミングが合えばハチロク仲間で集まって、スポーツ走行を楽しんでいるんです。
現場では気軽に声を掛けてくださいね!
そして今回は、大先輩の自動車ライターである大谷 達也さんと、スポーツ誌のカメラマンでありハチロク・マニアの橋口 真くんが一緒でした。
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普段はスーパーカーや超高級車のインプレッションをしている自動車ライターの大谷達也先輩(左。なんでこのポーズかは不明w)も、「ドライビングを磨きたい!」と一念発起して、去年からレビンに乗り始めました。このレビンはハチロクながらもリーズナブルに楽しめる一台なので、機会を見てこのコラムで紹介しますね!
さてさて今回のボクのテーマは、「美しく走る!」ことでした。
もちろんタイムも大切なのですが、とにかく自分の雑な運転を直したかった。
そんなとき、ハチロクは最高のトレーニングマシンになってくれます。ABSがないからブレーキングで突っ込み過ぎれば、タイヤがロックしてピャー!ッと白煙。特に赤パンはトルクフルな5.5Gエンジンということもあって、アクセルオンが雑だと簡単に横滑りします。
これを一本目はなるべく丁寧に乗って、どこまでタイムが出せるか確認です。
しかし、ただバカ丁寧に走るのはだめ。きちんとアタックした上で、自分の雑な部分を矯正しないといけません。
それがね~。オッサンには、結構ハードです(笑)。コース1000は一周の距離が1,039mと短いので、20分の走行枠だと20周以上は連続周回が可能。そこをずーっと集中して走ればオッサン疲れるし、途中から飽きてきます。
だからある程度の基準タイムが出たら(トランスポンダーを借りれば、PーLAPがなくてもタイムが確認できます)、インターバルを置いてクルマと頭をクーリングします。そして再びクリア状況を確認できたら、アタック!
こうして出たタイムは、43秒550がベストでした。
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朝早く来ないとピットはアッという間に埋まってしまうのですが(笑)、駐車場にシートを敷いて、ピクニック気分を楽しむのも乙なもの。青空の下でお弁当を食べながら、走りについてあれこれ仲間と話す時間は、なんとも言えず贅沢でプライスレス!(笑)。
さらに今回は、もうひとつやりたいことがありました。
それは車高調整!前々から赤パンのオーバーステア過ぎる挙動が気になっていて、丁寧に乗ってもその傾向は変わらなかったので、次の走行までにフロントの車高を上げてみたのです。
こういうときも、ハチロクはグッドです。基本的にフロントでしか車高が調整できないから(リアはスプリングとダンパーが別体式)、セッティングの方向性がとてもシンプル。これが前後車高調整可能なサスペンションだったりすると、どちらを上下させればいいのか迷うし、アライメントの調整もさらに複雑になります。
選択肢が少ないことが、アマチュアにとってはちょうどいいこともあるんですよね。積極的に色々試しては、走る。ハチロクだと、それがバランスよくできます。
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ボクはどちらかというとクルマいじりが苦手な方なのですが(汗)、ハチロクはシンプルだからならなんとかなる(笑)。自分でセッティングを変えて、その変化が走りに現れると、最高に楽しいですよ。筑波コース1000は走行枠が沢山あるから、こうした時間が余裕をもって取れるのもいい。
ジャッキで上げて、馬掛けて、タイヤを外して。スプリングシートからアッパーマウントまでの長さを測ったら、リングを緩めて、車高を上げて。
こういうのしばらくやってなかったけど、やっぱ楽しいなぁ!
なんて喜んでいたら、右側の車高調リングは緩んでいたし、左側の全長調整式ネジは、硬くて外れなかった。普段からもっとマメに見てやらないとですね。
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ちなみに足まわりはSPIRIT PERFORMANCE製のフルタップ式車高調(減衰力20段調整式)で、スプリングは街乗りも考えてF:6kg-mm、R:5.5kg-mmをチョイス。ローターはカッコイイから!という理由でPFC製ミドルフォーミュラ用を付けたけれど、ミニサーキットならφ278mmはいらないかも(笑)。これはもう、完全に自己満足の世界です。
全長調整で車高を上げることはできなかったので、とりあえずプリロードを掛けながら車高を両側4ターンほどアップ。そして走った2回目の走行は……。
ターンインの動きが前よりも安定して、断然運転しやすくなりました。クルマが安定すると操作も滑らかになって、タイムも赤パンでは初めての42秒台(42秒994)に突入!
これは嬉しかった。試したことが成果に表れたときの気分は、ほんと最高!
タイヤは2シーズン履き続けたADVAN NEOVA AD08R(サイズは195/50R15)だから、新品にしたら41秒台狙えちゃうか!?
……いやいやいや。思わずそうしたくなる気持ちもわかるけど、今回はテーマが違うでしょ。大切なのは、前の自分からどれだけ成長したか?です。
レースのような環境に身を置くと、こうしたステップを、凝縮して一気に体験することができます。いや、むしろそれをやらないと、勝てないわけです。でも、色々とお金が掛かります(苦笑)。
対して自分で走る場合は、こうしたプロセスをマイペースに楽しむことができる。ただ誰に強制されるわけでもないですから、走らないとどんどん間隔が空いて、腕前は錆びていく。ドライビングは筋トレと同じですねぇ……。
そんなときは、テーマをもって走ると節約もできるし、長続きもすると思います。
ボクの場合は「美しく走ること」と、「前の自分に勝つこと」。
というわけで2021年も可能な限り、マイペースに走り続けようと思います。
本年も、よろしくお願い致します!
(写真:橋口 真、テキスト:山田弘樹)

自動車雑誌の編集に携わり、2007年よりフリーランスに転身。LOTUS CUPや、スーパー耐久にもスポット参戦するなど、走れるモータージャーナリスト。自称「プロのクルマ好き」として、普段の原稿で書けない本音を綴るコラム。
[ガズー編集部]
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