【連載全18話】第17話 DKWモンツァ & シボレー・モンザ & オペル・モンザ & フェラーリ・モンツァSP1/SP2…なぜか車名がかぶってる!“同名異車”のクルマ特集

世界でこれまで販売されてきたクルマを見ると、同じ名前のモデルがちらほら……。今回の特集では、そんな「メーカー・ブランドは違えど名前が同じクルマ」をピックアップ。週替わりで紹介します。

DKWモンツァ & シボレー・モンザ & オペル・モンザ & フェラーリ・モンツァSP1/SP2

イタリア北部にある都市モンツァまたはモンザ(monza)。ここには1922年にオープンした、世界で3番目に古い常設レーシングコースがある。F1イタリアGPをはじめビッグイベントの舞台となるスピードの聖地であることから、昔からスポーティーなモデルの車名やグレード名に使われてきた。

古くは1930年代からアルファ・ロメオ、戦後はフェラーリのレーシングマシンに使われていたが、ロードカーが名乗った初期の例がDKWモンツァである。DKWは今日のアウディのルーツのひとつとなるメーカーで、戦前から1960年代にかけて2ストロークエンジンで前輪を駆動する小型車をつくっていた。

1956年に登場したモンツァは、軽量で空力特性に優れたFRP製クーペボディーに水冷2ストローク3気筒900ccエンジンを積んだスポーツカー。同車がモンツァサーキットで国際速度記録を樹立したことにちなんで命名された。1958年までつくられたが、生産台数は70~80台から230~240台まで諸説ある。

1960年に登場したリアエンジンのコンパクトカーであるコルベアのグレード名やミドシップのコンセプトカーにモンザを使ってきたのがシボレー。1974年にリリースしたスポーティーコンパクトには、その名を“本名”として冠した。これは、フェラーリ365GTC/4によく似たサイドビューを持つテールゲート付きの2+2クーペで、翌1975年には2ドアのノッチバッククーペ、1978年には3ドアワゴンを追加設定。エンジンは2.3リッター直4から5.7リッターV8まで数種類が用意されていた。鳴り物入りでデビューしたもののセールスは期待されたほどではなく、1980年に生産終了、一代限りで終わった。

ゼネラルモーターズ傘下だった、シボレーの分家ともいえるドイツのオペルから1978年に登場したモンザは高級パーソナルカー。同社の最上級セダンだったセネターのシャシーに、シボレー版よりもひとまわり大きなフル4シーターの3ドアハッチバッククーペボディーを架装。エンジンは2.8リッター/3リッター直6で、後に2リッター/2.2リッター直4も追加された。1986年に生産終了し、こちらも一代でその名が消滅した。

前述したように、1950年代に750モンツァや860モンツァなどレーシングスポーツにその名を使っていたフェラーリ。限定モデルとはいえ初めてその名を冠したロードカーが、2018年にデビューしたモンツァSP1/SP2だ。ウインドスクリーンもないバルケッタで、写真のSP1はシングルシーター、SP2は2シーターとなる。カーボンファイバー製の車体のフロントにおさまる自然吸気のV12エンジンは、最高出力810PS、最大トルク718N・mを発生。0-100km/h加速2.9秒、0-200km/h加速7.9秒という、とてつもないパフォーマンスを発揮するとうたわれた。

[ガズー編集部]

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