【連載全14話】第12話ヴァルトブルク353・・・2サイクルエンジンのクルマ特集

現在のクルマのパワーユニットは実にさまざま。一方で絶滅危惧種となっている2サイクルエンジンのクルマを今回はピックアップ。日本やドイツで親しまれた小排気量車を中心に、週替わりで紹介します。

ヴァルトブルク353

この連載で先に紹介したトラバントよりひとまわり大きい、全長4m超の4ドアセダンを基本とする旧東ドイツ産の小型車。最初のモデルである311の誕生は1956年で、別体式フレームを持つシャシーに1950年代前半のアメリカ車を小型化したようなボディーを架装。中身はトラバントと同様、旧西ドイツのDKWに倣ったFFサルーンだった。

10年を経て、さすがに古さが目立つようになったボディーを衣替えしたのが、1966年に登場した353。サイドウィンドウに曲面ガラスを採用し、異形2灯ヘッドライトを備えた姿は大幅にモダナイズされたが、一皮むけば相変わらずセパレートフレームを持ち、前輪を駆動する水冷2ストローク3気筒992ccエンジンは混合給油式という旧態依然たる構造のままだった。

1975年には内外装の細部をフェイスリフトし、前輪ディスクブレーキを導入した353Wが登場した。1985年には再びマイナーチェンジを実施して353Sとなり、上級グレードには5段MTを採用。こうした具合に改良・変更を加えつつ、低価格を武器にイギリスなど西側諸国にも「ナイト」の名で輸出された。基本的には30年前の設計のままつくり続けられたが、1989年のベルリンの壁崩壊によってトラバントと同様に存在意義が消滅。やはりトラバントと同じくフォルクスワーゲン製の1.3リッター直4 SOHCエンジンに換装されたモデルが少数つくられた後、1991年に、35年にわたる歴史に幕を閉じた。

[GAZOO編集部]

【連載全14話】2サイクルエンジンのクルマ

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