【連載全16話】第14話 日産パルサーGTI-R…日本生まれのホットハッチ特集

2020年9月の発売以来、トヨタの高性能ハッチバック「GRヤリス」が人気を集めています。そこで今回は、クルマ好きの記憶に残る日本生まれの“ホットハッチ”16車種をピックアップ。週替わりで紹介します。

日産パルサーGTI-R

グループAで競われていたWRC(世界ラリー選手権)参戦を前提に開発された最強グレードのパルサー。1990年に登場した4代目の3ドアハッチバックに設定された。

巨大な空冷式インタークーラーをおさめるため、エアインテーク付きのバルジが大きく盛り上がり、エア抜きのルーバーが開けられたボンネットの下には、4連スロットルなどで最高出力230PSにまでチューンされたDOHC 16バルブ2リッターターボエンジンを搭載。駆動方式は日産自慢のアテーサと呼ばれるフルタイム4WDで、リアにビスカス式LSDも備わっていた。

標準仕様でもエアコンやオーディオはオプションだったが、さらにパワーウィンドウなどの快適装備を外して軽量化し、リアに機械式LSDを備え、クロスレシオの5段MTがオプション設定された競技用のベース仕様もカタログモデルとして存在。ベース仕様にバケットシートやロールバーなどを装着して、そのままラリーに参戦可能なGTI-R NISMOも限定販売された。

全長4m未満、車重1220kg(標準車)というコンパクトな車体に230PSとあって、馬力あたりの重量はスカイラインGT-R(BNR32)の約5.1kgに迫る約5.3kgを実現。自動車専門誌の加速テストでは0-400mが14秒台前半、0-100km/hは6秒そこそこというクラス最速のタイムを記録した。とはいえ暴れ馬というわけではなく、操縦性はいかなる状況でも安定していると評された。だが、いざラリーに出場すると、熱害をはじめさまざまな問題が続出。「ラリーの日産」の復興を目指してワークス参戦したWRCでも苦戦が続き、結果を残すことはできなかった。

[ガズー編集部]

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