【連載全12話】第5話 ランチア・ベータHPE…スタイリッシュな3ドアのシューティングブレーク/スポーツワゴン
流麗なスタイルでありながら、趣味を楽しむための実用性も兼ね備えるシューティングブレークとスポーツワゴン。今回は、なかでも個性派として知られる3ドアモデルをピックアップし、週替わりで紹介します。
ランチア・ベータHPE
高性能で高品質ではあったが、凝った設計で高コスト体質だったことから経営が悪化し、1969年にフィアット傘下に入った名門ランチア。1972年に新生ランチアの第1弾として登場したベータは、フィアット流のオーソドックスな設計の中型ファストバックサルーンだった。
サルーンのシャシーを短縮して2ドアクーペボディーを載せたベータ クーペと、それをタルガトップ化したスパイダーに続いて、1975年に加えられたのがHPEである。サルーンと共通の2540mmのホイールベースに載るボディーは、クーペのルーフをテールまで延ばしたようなスタイリッシュな3ドアワゴン。HPEとはHigh Performance Estateの略で、つまりは高性能ワゴンと自ら名乗っていた。
パワートレインはいわゆるジアコーザ式FFで、横置きされたエンジンはフィアット製のシングルキャブ仕様の1.6リッター/2リッター直4 DOHC。後者は最高出力115PSを発生し、5段MT(3段ATもあり)を介しての最高速度は188km/hと公表された。
1981年にマイナーチェンジを実施。車名からベータが消えてランチアH.P.エグゼクティブと名乗るようになり、2リッターエンジンはインジェクション化された。さらに1983年には2リッターのスーパーチャージド仕様も追加されたが、1984年に生産終了した。
[ガズー編集部]