【連載全12話】第8話 ホンダ・アコード エアロデッキ…スタイリッシュな3ドアのシューティングブレーク/スポーツワゴン
流麗なスタイルでありながら、趣味を楽しむための実用性も兼ね備えるシューティングブレークとスポーツワゴン。今回は、なかでも個性派として知られる3ドアモデルをピックアップし、週替わりで紹介します。
ホンダ・アコード エアロデッキ
1985年に登場した3代目アコードに、従来の3ドアハッチバックに代わって設定されたモデル。エアロデッキという呼称には、空力(Aero)に優れ、堂々とクルーズする帆船の甲板(Deck)を思わせる超ロングルーフの先進スタイルを持つ、「ハッチバックの概念を一新するスポーティーでスタイリッシュなクルマ」という意味を込めた、とホンダは語っていた。
3代目の“ワンダーシビック”のハッチバックで導入したロングルーフの思想をさらに発展させたボディーは、リトラクタブルライトを備えた低いボンネットや徹底したフラッシュサーフェス化などによってCd(空気抵抗係数)=0.34、Cl(揚力係数)=0.04という世界トップレベルの空力性能を達成。それでいながら大人5人がゆったり座れる居住空間と十分な荷室を備えていた。ルーフ後端にまわり込んだ部分までガラス製の、ガルウイング型と称するテールゲートも新鮮だった。
パワーユニットは2リッター直4 DOHC 16バルブと同1.8リッター直4 DOHC 16バルブ、1.8リッター直4 SOHC 12バルブの3種類。いずれも5段MTまたは4段ATとの組み合わせとなるが、160PSを生み出す2リッターDOHCの5段MT仕様は、社内テスト値で0-400m加速15.78秒という俊足を誇った。サスペンションにはFF量産車としては世界初となる4輪ダブルウイッシュボーンを採用。優れた操縦性と走行安定性を実現していた。
総じて個性的なデザインの意欲作だったが、そもそもこのクラスの3ドアハッチバックを求める絶対的な需要が多くなかったこともあって、セールスはセダンに遠く及ばなかった。そしてこのエアロデッキが、国内のアコードシリーズにラインナップされた最後の3ドアモデルとなった。
[ガズー編集部]