【NISMO FESTIVAL 2018】ワンオーナー所有で22年!心躍るパフォーマンスを楽しみ続けるNISMO 400R
日本全国のニスモカーオーナーや、ニスモファンに向けた感謝祭として、今年で21回目の開催を迎えた『ニスモフェスティバル』。その会場で見つけたのが、99台のみの限定で発売された幻のコンプリートカー『NISMO 400R』だ。
400RはスカイラインGT-R(BCNR33)をベースとして、細部に至るまでニスモによるカスタマイズが施されたスペシャルモデル。搭載されるエンジンは、ベースとなる2.6LのRB26DETTに対し、この400Rでは2.8L化されたRB-X GT2を搭載。もちろんノーマルで280psに留められた最高出力は、その名の通り400psまで引き上げられている。その他機関系や駆動系、ボディに至るまで専用パーツをふんだんに装着され、まさに市販車としては最強のR33GT-Rなのである。
そんな400Rの中でもこのクルマはシリアルナンバー033番というR33GT-Rベースとしては運命的な数字が与えられている。ちなみにアナウンス上は99台限定とされていたが、実際に売れた台数はわずか50台程度だという。今でこそ1000万円オーバーの車両も珍しくないが、この400Rが発売された1996年当時では1200万円の車両価格はなかなか手が出せるものではなかったのだとか。
オーナーさんはこの400Rを新車で購入し、以来そのパフォーマンスを満喫するように走り回っていたという。
「このクルマを買う前はJZA80スープラで湾岸とかを走っていたんですよ。でもGT-Rって速いんですよね。R32にもR33にも勝てなくて、周囲もGT-Rに乗り換えて行くなかで『自分も乗り換えなきゃ』って思っていた時にこの400Rの発売を知ったんです。通常のGT-Rでもオプションとかを選んでいくとかなりな高額になるし、エンジンやその他を後からカスタマイズしていくことを考えれば、ノーマルで400psといわれている400Rの方が手っ取り早かったんですよ」
今でこそ落ち着いているものの、400R購入時の20年前はイケイケだったというオーナーさん。当時乗っていたスープラもタービン交換などを行い最高出力を600psにまで引き上げていた。そんな嗜好をノーマルでも満たしてくれて、しかもディーラー保証もあるという400Rは、安心してアクセルを踏めるマシンとしてまさに理想の存在だったのだ。
しかも、公称値で400psといわれていたパワーは実測で500ps近くまで出ていたというから、嬉しい誤算だったことは言うまでもない。
もちろんコレクションカーではなく、実際に走らせてパフォーマンスを楽しんできただけに、現在の走行距離は20万kmをオーバーしたところ。とはいってもボディの艶から各部のコンディションは新車当時の状態をキープしていて、その愛情の深さが現れている。
エンジンは過酷に使われ続けていたため、当初搭載されていたオリジナルは残念ながらブローしてしまったというが、2機目のエンジンはニスモ大森ファクトリーで製作してもらったBR-X GT2エンジン同等のスペックを搭載。そのエンジンは使い倒すにはもったいないということでストックされていて、現在はノーマルのRB26DETTをベースに400Rと同様の仕様で組みあげたエンジンを搭載しているそうだ。
その他のパーツも基本的には400Rのオリジナルを重視しつつ、実際に走らせるために各部をリニューアル。特に足まわりは何セットか試した結果、現在はHKS製の車高調に落ち着いている。またシートも運転席にはホールド性の高いバケットシートが組まれている。さらに、ボディは飛び石などでボロボロになってしまうため、定期的にリペアを行っているというから筋金入りだ。
こうして美しく保たれた400Rは、当時のように湾岸を走りまわる日々から、コンディション維持のためにガレージにおさめられ、休日のドライブを楽しむマシンへと変化している。
購入から22年。多くの思い出を共にしてきた400Rは現在、娘さんが免許を取得して乗りたいと言いはじめている。大切にしてきた愛車を娘さんが興味を示していることを嬉しく思う反面、譲り渡すには少々心苦しさも…。
まだまだ愛車としてその性能を楽しみ続けたいというのがオーナーの本心であり、長年乗り続けていてもまだまだ心を踊らせ続けてくれる稀有な魅力を持ったマシンなのである。
(テキスト:渡辺大輔 / 写真:平野 陽)
[ガズー編集部]
「NISMO FESTIVAL 2018 @富士スピードウェイ」の記事
【愛車紹介】スカイラインGT-R
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