雪国には軽自動車がベスト!キャストアクティバは世界を旅してきたカフェオーナーの頼もしい相棒
日本屈指のスノーリゾートで、古くからの温泉街でもある新潟県・越後湯沢。メインストリートの外れに建つ古い一軒家の一階に、THE SPOTというオシャレなカフェがある。カフェのオーナーは清水美那さん。大阪で生まれ育ったが、5年前に越後湯沢に完全に移り住みカフェをオープン。2階はゲストハウスに改装し、ヨガインストラクターも務めるアクティブな女性だ。
清水さんが初めて湯沢に訪れたのは19歳のとき。きっかけはリゾートバイトだった。冬のリゾートバイトと言えば、スキーやスノーボード漬けになりたい人たちが選ぶイメージだ。ところが清水さんはリゾートバイトを始めるまでウィンタースポーツはほぼ未経験だったという。
「高校を卒業して大阪で就職したのですが、なんとなく雪山に行ってみたくなって、だったらアルバイトでもしようかなと思って湯沢にきました。で、せっかく雪山にきたのだからとスノーボードを始めました。他の人たちとは順序が逆ですよね(笑)」
ところが清水さんが働いていたゲレンデはスノーボードが禁止されていたため、隣のICにある上越国際スキー場まで電車を使って一人で通い練習していたそうだ。越後湯沢駅から上越国際スキー場までは電車で約15分。とはいえ、仕事が終わった後に大きな荷物を抱えて往復するのは結構大変だったに違いない。
リゾートバイトで越後湯沢が気に入った清水さんは、生活の主体を大阪から湯沢に移すことを決意。そこでシーズンオフになって仲間が地元に帰った後も越後湯沢に残って運転免許を取得した。そしてそのまま新潟でクルマを購入してしまった。初めての愛車はダイハツ ムーヴだった。
……まだ序盤ではあるが、話を聞いていて清水さんの行動力に驚かされっぱなしだ。思い立ったら考えるより前に即行動。そんな清水さんの性格が伝わってくる。ムーヴは住所の関係で大阪のナンバーだったはずだが、それにしても地元ではなく新潟で買ってしまうとは! でも、後々のメンテナンスや車検のことを考えると正しい選択だったのだろう。
ムーヴを手に入れてからは、電車ではなくクルマに荷物を積んでゲレンデに行けるのですごく楽になったそうだ。大阪の実家に用事があればムーヴで向かう。その道のりは片道約550km。ノンストップで走っても7時間以上かかる。軽自動車でこの距離を走るのは相当大変そうだが……。
「ずばり、若さですね。当時は何も考えず、当たり前のように往復していました。さすがに今はそんな体力はなく、電車を使うことが多くなりましたが(笑)」
そして越後湯沢をホームにしてから清水さんは本格的にスノーボードにのめり込んでいく。スノーボードパークに入るようになり、中でもジブ(レールやボックスといった人工物を使って滑ること)にハマっていった。
テクニックを身に付けると大会に出場し、夏は1人で数ヶ月もニュージーランドにまで滑りに行った。ほかにもアメリカのカリフォルニア、コロラド、ユタなどでスノーボードに打ち込んだ。気付けばスポンサーが付くようにまでなったという。
「世界を旅するようになってから各国にある素敵なカフェに興味を持つようになりました。30歳のとき、カナダのウィスラーに行ってみたいと思い、ワーキングホリデーを利用して向こうのカフェで働きながらスノーボードをしていました。そして『いつか自分でもカフェをやってみたい』と漠然と考えるようになりました」
ちょうどこの頃、ムーヴからワゴンRに乗り換えた。これだけ聞くとよくある買い替えだが、そこはアクティブな清水さんのこと。人とは少し違う選び方をしていた。なんとワゴンRはMT車を選んだのだ。
「16歳で原付免許を取得して初めて買ったのがMTの原付バイクでした。その後は中型免許(普通自動二輪免許)も取ったんですよ。たまたま中古車屋さんに足を運んだ時に店頭でMTのワゴンRを見つけて『軽自動車にMTがあるの!?』とビックリしました。お店の人が『乗ってみる?』というので試乗させてもらったら、機械を自分で操作する楽しさを思い出して、そのまま買っちゃいました(笑)」
越後湯沢の自然の中で3ペダルを操る楽しさを堪能していた頃、夢の実現に向けて人生が少しずつ動き出した。当時はシーズンを通して越後湯沢にいて、リゾートマンションを借りてレストランでアルバイトをしながら暮らしていた。ところがいろいろなことに疲れたのか、レストランのマスターが「店を閉めようと思う」と話すようになった。もちろん最初は驚いたし、マスターを励ましたが、マスターの決意は固かった。
その時、ふと思った。「これはチャンスかもしれない」と。そして清水さんはマスターに相談する。
「どうしてもお店を閉めるなら、私に売ってください」
ウィスラーでワーキングホリデーをしていた時に抱いた、いつか自分でカフェをやりたいという夢。それを実現させるときがきたのだ。店を買い取りたいと言ってきた人は他にも何人かいたようだが、マスターは清水さんに店を譲ることを快諾。購入後、建物をフルリフォームして『THE SPOT』と2階のゲストハウス『館-YAKATA-』をオープンさせた。それが約3年前。2021年のことだ。
その数年前から清水さんには葛藤があった。スノーボードは楽しいが、大会で上位に入ることを考えると若い選手には体力的に敵わなくなってきた。これからどうやって生きていこう。そんなことを考えている時にヨガと出合い、衝撃を受ける。しばらく隣町のスタジオで基礎を学んだ後、インドに旅立ちインストラクターの資格を取得。そして基礎を学んだスタジオでインストラクターの仕事をするようになった。
ちょうどこの時期、乗っていたクルマにも変化があった。操ることを楽しんでいたワゴンRが故障し、もう買い替えないとダメになってしまったのだ。2015年後半から2021年前半の約5年間は、清水さんにとってさまざまなものをリセットする時期だったのだろう。
そんな清水さんが新しく選んだクルマが、ダイハツ キャストアクティバだ。
「買い替えを考えた時期はスズキ ハスラーが人気で、湯沢でも乗っている人がたくさんいました。私も次はSUVっぽいクルマに乗りたいなと思っていたのですが、ハスラーのカクカクしたスタイルがあまり好みではありませんでした。そんな時に目に止まったのがキャストアクティバ。コロンとしたボディがかわいいなと思ったんです。まさに一目惚れでした」
軽ハイトワゴンやスーパーハイトワゴンには、標準仕様の他にカスタム仕様が設定されるのが一般的だ。2015年9月にデビューしたキャストは標準仕様のキャストスタイル、スポーティなキャストスポーツ、そしてクロスオーバースタイルのキャストアクティバがラインナップされた。キャストアクティバはハスラーのライバルであり、大径タイヤで最低地上高を180mmまで高め、アンダーガードやサイドドアモールでアクティブな印象を高めたモデルだ。
「このクルマは室内が意外と広いので、ゲレンデに遊びに行くときもスノーボードやブーツを気兼ねなく放り込めます。カフェで使う食材などを仕入れに行くときも、買ったものが積めなくて困ったことはありません。最低地上高が高いし4WDだから、どれだけ雪が降っても安心。すごく頼もしいです」
清水さんは現在、越後湯沢で母親と一緒に暮らしている。2人なら軽自動車でも困ることはないだろう。これまで3台の軽自動車に乗り継いできたが、ここには雪国ならではの事情もある。
「都市部からスノーボードなどを楽しみにきた人は大通りや、ゲレンデや温泉街などのしっかり除雪された道を走りますよね。でもここで生活していると、観光でいらした方が通らない道や裏路地も通ります。このような道は冬になると両端に除雪した雪が積み上げられて道幅が半分くらいになっていることも珍しくありません。夏なら何の問題もないのに冬は大きなクルマだと苦労するのですよ。そんな場所でも軽自動車ならスイスイ走れます。だから私は軽自動車に乗り続けています」
購入から8年が経過したが、キャストアクティバは現在も絶好調。デザインも気に入っているし、まだ当分は乗り続けるつもりだという。20代の頃に比べると回数は減ったが、このクルマで母親と一緒に大阪まで走ることもある。
リゾートバイトをきっかけにスノーボードを始め、世界を旅するようになった。カフェとゲストハウスをオープンさせたことで越後湯沢に根付いた暮らしになったが、現在でも年に数回はインドにヨガの勉強に行っている。根っからのトラベラー気質の清水さんだからこそ、日本にいても思い立った時に自由に移動できるクルマが欠かせない。キャストアクティバはそんな清水さんの暮らしを支えてくれる、頼もしい相棒になっているに違いない。
(取材・文/高橋 満<BRIDGE MAN> 撮影/柳田由人 編集/vehiclenaviMAGAZINE編集部)
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