33年で22台を乗り継ぐ、「いろいろなクルマに乗り、たくさんの人と出会うのが楽しい!」
車を買い替えるタイミングというのはオーナーによってさまざまだけれど、wakkunさんの場合は「欲しいと思えるクルマに出会ったときと、知人から『このクルマを買わないか』などの話が舞い込んできたとき、あとは故障や事故による修理代が車両購入価格を上回った時が乗り換えのタイミングですね」とのこと。
また、免許を持っている以上はいろいろなクルマに乗ってみたいという思いも強く「最初はそれほど興味がないクルマだったとしても、縁があって出会ったクルマなので、そのクルマの良いところなどを知って好きになりたい」と考えているそうだ。
その結果、運転免許を取得してから乗り継いできたクルマは、33年間でなんと22台に達するという。そして、そんな愛車遍歴によってさまざまな人との出会いが生まれ『人生が変わった』と語ってくれた。
物心がついた頃からミニカーに囲まれて育ち、仕事で日産のディーラーに出入りしていた父の影響で、日産車が大好きになったというwakkunさん。保育園年長時には、人気テレビドラマだった『大都会PARTⅢ』をリアルタイムで視聴するうちにカーチェイスで活躍する黒い覆面パトカーの230型セドリック/グロリアに興味を持ち、その後に続いた『西部警察』では、マシンXやスーパーZといった花形車には目もくれず、ひたすらクラッシュされまくるセドリック系の車両に興味シンシンだったという。
やがて成人を迎えて運転免許を取得すると、母親が所有していたランサーワゴンを乗り回すようになり、運転する楽しさを知ったwakkunさん。
自身で初めて購入したのはトヨタ・スターレットSi(EP71)で、2台目はスプリンターセダンSE(AE91)となるが、2台とも事故で廃車に。3台目に初の日産車となるパルサーミラノX1χ(カイ)を迎え入れたという。この時点で、少し独特な(!?)クルマ選びの片鱗が感じられるが、その勢いはさらに加速していくことになる。
「免許を取りたての頃に、隣に住んでいた方が新車でジェミニを購入して毎週のように自ら整備しては楽しんでいる姿に憧れていたんです」と、次のクルマの候補に挙がった4台目の愛車は3代目いすゞ・ジェミニ(JT191S)だ。
すでに新車の生産が終了していたため中古を探していたところ、中古車販売店にあったジェミニ イルムシャー(JT190)に試乗してみたら思った以上に軽快に走る1.6リッターのDOHCエンジンに惚れ、その場で購入を決めたという。
そして、このジェミニ イルムシャーとの出会いこそが、その後のwakkunさんのカーライフに大きな影響を与えた1台となった。
「ジェミニオーナーズクラブの『フロントロウGコネクション』に入会して、全国のいろいろな場所に行っては全国のジェミニオーナーと交流を深めていました。人と交流することで愛車がもっと楽しくなるという相乗効果で、まさにジェミニは自分の人生を変えてくれたと言っても過言じゃないですね。ちなみに現在もクラブに在籍中です」
ジェミニでのカーライフを謳歌するうちに初代ジェミニにも乗りたくなり、1984年式のZZ/R(PF60型)を追加購入。その後、当時憧れていた3代目ジェミニ イルムシャー(JT191F)を知人から譲ってもらえる話しが持ち上がり、2台のジェミニを手放して乗り換えたという。
さらに、たまたま通った中古車販売店でジェミニ イルムシャーR(JT191S)を見つけて一目惚れし、前車をアッサリ手放して乗り換えたというからその潔さには驚かされる。
「イルムシャーRは、純正のスポーツキット『typeC』のサスや強化クラッチ、強化エンジンマウントなど、充実装備がてんこ盛りでした。1.6リッターDOHCターボの圧倒的なパワーにフルタイム4WDでキビキビとした走りが楽しくて、ますますジェミニにハマっていきましたね!」
そして、その頃になるとジェミニライフは日本国内に留まらず、オーストラリアやアメリカのいすゞクラブとも交流を持つようになり、さらに充実していったという。
「パーツを譲ったり、海外のオーナーさんとのやりとりも楽しかったです。SNSで自分がジェミニの前で“ドヤ顔”ポーズをしてアップしたら、アメリカの仲間が真似してアップしたんです。それから、海外のメンバーが“doya-kao”ポーズでSNSにどんどんアップしてくれて面白かったです(笑)」
そんなジェミニ漬けのカーライフに転機が訪れたのは、ジェミニ イルムシャーR(JT191S)に乗って1年半が過ぎたある日の夜。
またしても、たまたま通りがかった中古車店にて、幼少時にたまらなく憧れていた黒の230型セドリックセダンを発見!! 悩んだ末に購入を決意し、イルムシャーRと合わせ2台を所有することになったという。
「SUツインキャブレターを搭載した2000GXで、エアコンも装備のベンチコラムMT車。パワーも充分にあって満足度の高い1台でした」
その後、イルムシャーRが追突されて廃車となってしまったため自動的にセドリックがメインカーに昇格し、今度はセドリック/グロリアだけのオーナーズミーティングをwakkunさんが企画・主催するに至ったという。
「会場となった愛知県岡崎市に、歴代セド/グロだけで200台近く集まり、我ながら驚きました」と、ミーティングは大成功。その後、セドリックも様々なトラブルを抱えて約2年で手離す事になるのだが、その間にも同じ230型セドリックのハードトップや、超レアな最終型ジェミニ イルムシャーR(JT191S)を所有していたそうだ。
その後、ジェミニ ZZ ハンドリングbyロータスやワゴンR RR(MC21S)を乗り継ぎ、13台目の愛車となったダイハツ・アトレーワゴン(S220G)は、奥さまと出会うキッカケとなった大切な1台だという。
「アトレーのクラブに所属して何度か関西でのオフ会をしていたんですが、告知するたびに女子メンバーのひとりから『私、福岡なので関西は遠くて行けません』とコメントが入るんです。『だったら北九州の門司あたりでオフ会をやりましょか!?』と、その女子メンバーに提案してみたんですよ。実はその前日に広島で原爆平和記念式典があり、前年(2006年)に逝去した被爆者だった父の名前が記された名簿が納められるので、絶対行くと決めていたので、広島に行くなら門司まで足を伸ばしてオフ会をしようと思いついたんです」
もちろん女子メンバーは喜んで門司でのオフ会に参加。その女子こそ現在の奥さまで、2024年で結婚12年目を迎えるそうだ。
「愛車はもちろんですが『父が取り持ってくれた縁だったのかな』と、改めて感じます」
その後もwakkunさんの愛車遍歴はまだまだ続き、ミニカトッポ、ムーヴエアロダウンカスタムXX、ムーヴラテ、バモスなどハイペースで車歴を重ねていく。
知人から譲り受けたジェミニNAVi5(JT150)は、リッター21kmという低燃費で調子よく乗っていたものの、このクルマの最大の特徴とも言えるNAVi5のトラブルに見舞われてしまい、修理しようにも補修部品が見つからないため現在も修理工場に預けたままだという。
そして、2023年のゴールデンウィークに原付バイクを運転中に事故に遭い、3ヵ月間の入院を余儀なくされてしまったのをキッカケに、22台目の愛車として購入したのがこのスバル・R1(RJ1)だ。
「家族からバイク禁止令が出たので、入院中はスマホに穴が開くほどずーっとクルマ探していました。条件としては、ミラやアルトよりも全高が高くて、ムーヴやワゴンRよりは低いというクルマです。そこで『そういえばスバルにR1とR2っていう軽自動車があったな~』と思い出し、乗車するのは自分ひとりか、もしくは夫婦だけなので、よりコンパクトなR1に決めました。また、足踏み式パーキングブレーキだと治療中の左足に負荷がかかるので、幸いにもハンドレバータイプだったのも購入を決めるポイントとなりましたね。入院中だったので電話と書類の郵送だけで契約し、入院中に愛媛県から福岡まで来ていただいて納車されました」
なんと、wakkunさんは退院したその日からR1を乗り回し、購入後に奥さまへ事後報告。当然『はぁ?!』と、呆れられたそうだ。
「R1のお気に入りポイントは、自発光式の指針です。エンジンスタートでメーターの針が発光し、0からMAXの位置まで瞬時に展開されるオープニングディスプレイ表示がカッコいいんですよ。平均燃費もリッター約20kmと良くて、街乗りならNAでも満足に走ってくれます」
取材時はR1が納車後4ヶ月ほどだったが、自身が使いやすいよう徐々にモディファイも進めているという。
「純正ルームミラーはサンバイザーの手前に装備されていて、大柄な自分にはミラーがかなり手前位置にくることになり圧迫感が感じていました。そこで、福岡のR1/R2専門店『
オートクルーズ』さんでトヨタ・アクア純正ミラーを市販の移設キットでフロントウィンドウ上部へ移動してもらいました。また、社外フットレストを追加したことで運転中も左足の置き場ができて楽になりました」
R1を満喫しまくっているwakkunさんは、撮影時も「R1って意外と広いな~! 今ハヤリの車中泊もイケるんちゃう?!」と、ノリノリだった(笑)。
今でもクルマのイベントがあれば、積極的に参加したりギャラリーで観に行ったりしているそうで、取材時の1週間前には福岡県朝倉市にて開催された『いすゞスバルプラスミーティング2023』にスタッフとして参加。SNSのみでの交流だった広島のジェミニオーナーがwakkunさんのジェミニ イルムシャーRを見てみたいというので『いすゞ・エルフ』のレンタカーに愛車を載せて持ち込んだという。
「福岡にはR1/R2のオーナーも多くて、10数台が集まりました!」と、もう1台の愛車であるR1のオーナーさんとの交流も深まり、充実した1日だったという。
『クルマが好きな人との交流が大好き』というwakkunさんは、きっと好奇心がとても強いのだと思う。
いろいろなクルマに乗ってみたい、SNSなどで知り合った人と直接会って話がしたい、愛車に対するこだわりや愛車の自慢を聞きたいという思いが、数々の愛車遍歴やオーナーズクラブなどの活動につながっているのだ。
取材会当日も、他のオーナーさんとの交流を積極的に楽しんでいる姿が印象的だった。
たくさんの仲間、そして素敵な奥さまと出会う“縁”をも取り持ってくれた歴代の愛車たち。
「今は仕事とリハビリの毎日ですが、これからもいろいろなクルマに乗ってみたいですね!」そう話すwakkunさんの愛車歴は、想い出とともにこれからも増えていくことだろう。
取材協力:虹の松原森林浴の森公園(佐賀県唐津市浜玉町浜崎)
(文: 櫛橋哲子 / 撮影: 平野 陽)
[GAZOO編集部]
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