親父が乗っていたS800。自分が父親になって、息子を乗せてみて
金がかかるクルマですよ……と笑いながら話してくれた「田中さん」が乗るのは、クルマ好きなら誰もが知っているであろう伝説のスポーツカーS800。
30歳の頃に購入したそのクルマは、愛車になって今年で25年を迎えたとのこと。25年という歳月を共にすれば、アクシデントや楽しかったこと、悲しかったことなど、色々な思いがクルマに詰まっていると話してくれました。
今回は、田中さん×S800 のお話をお届けします。
――1番お金がかかったことは何ですか?
すごいね! 初めて話すのに、包み隠さず聞くじゃん(笑)。もう、そんなにストレートに聞かれたら、正直に話しますよ……(笑)。
旧車に乗っていらっしゃる方は大抵そうだと思うのですが、部品が無いやら何やらで故障する度にお金がかかるんです。
その中でも1番かかったのは、オフセット衝突してしまった時ですね。信号のない交差点でハイラックスとぶつかってしまったんですけど、右側がぐしゃっといっちゃいまして……。
だけど、運良く? エンジンやフレームなどの中身は無事で、何とか修理できるということでお願いしたら……。
――お願いしたら!?
250万円かかってしまいました。
――??!!。普通にクルマが買えますね
そうなんです。とはいっても、保険で賄えたんですけどね。
だけど、翌年に保険会社から連絡があって、お金がかかるクルマだから今年で契約を打ち切りますとの連絡がありました。あれはショックだったなぁ〜。
――噂には聞いていましたが、そんなことって実際にあるんですね。そもそも、なぜS800に乗ろうと思ったのですか?
おっ! やっと取材らしくなってきましたね(笑)!
S800は、僕が小学校2年生の時に、親父が乗っていたんです。
色々な場所にドライブに連れて行ってもらったり、友達のお父さんが当時主流だったセダンに乗っているなか、俺の親父はオープンカーに乗ってるんだぞ! どうだ! すごいだろ? って自慢のクルマだったんですよ。
そういうのもあって、大人になったら乗りたいクルマだなと子供の頃から思っていたんです。
――お父様はクルマ好きだったのですね
はい。家には、数台のクルマがいつも車庫にありました。夏になるとオープンにして乗るS800、普段使いのケンメリ、雪が積もる冬はジープ。僕は、そういう風に季節によってクルマを乗り換える親父が好きでした。
あと、2人の秘密もありました。
――秘密?
はい。親父のS800は、3個1だったんですよ。
――3個1?
そうです。事故車2台、クーペ1台を二束三文で買ってきて、3台をバラして1台にしているんです。
それを証拠に、見た目は後期S800だったんですけど、中身はチェーン駆動でしたから。お袋は多分それを知らないんです。1台だけだと思ってる(笑)。
――男同士の秘密ってやつですね
あはは(笑)!そうですね。親父に連れられて、バラバラだったところを見るのがとても楽しかったんですよ。
だって、なかなかそんなのを見る機会なんてないじゃないですか? この前見た時はフレームだったのに、次はエンジンが載せてあって、ボディが出来てって感じで進化していくんです。そういう思い出も、S800が好きな理由の1つかな。
――だから、大人になってお父様のS800に乗っているんですね
いえ。親父の乗っていたS800じゃないんです。親父は俺が20歳の時に事故で亡くなって車庫にあったS800を引き継ごうと思ったんですけど、お袋が自動車検査証を捨てちゃったんですよ。だから乗れなくなっちゃって。
――理由を話せば何とかなりそうですけど、ダメだったんですか?
僕もそう思って、北海道の陸運局に相談に行ったんです。そしたら、ナンバーが分かる写真があれば良いよ!って言ってもらえたんですけど……
――まさか……
写真撮ってなかった……。
――心中お察し致します
ありがとうございます。まぁでも、電気的な不具合も多くて動かなかったし、しょうがなかったのかなと自分を納得させています。
その後どうしても乗りたくて、専門店に行って全く同じS800を購入しました。こうして、助手席に座っているだけから運転する側になった訳ですが、10,000回転も回るし、100km /hで巡行可能だし、何の不自由もありません。
イライラした時とか、何か乗りたいなと思った時にハンドルを握るのですが、触媒も無く消音器が付いているだけのS800のコーンという抜けるような音を聞くとスカッとしますよ。
エンジンを回しすぎてガスケットが抜けたこともあったけどね(笑)。
――1番心に残っている思い出はなんですか?
娘と旧車イベントに参加して、賞を獲ったことですね。僕がS800、娘がN360に乗って行ったんですけど、あれが1番嬉しかったです。娘と獲れるなんて、ある意味集大成でした。
それは娘との思い出で、S800は息子に譲ろうと思っています。
と、嬉しそうな声で話してくれました。父から息子へ、そしてまたその息子へ。親子3代にわたってS800という思い出の詰まったクルマは走り続けていくのです。
(文:矢田部明子)
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