1年半かかってフルレストア。“可愛い”初代カローラで行く、故郷の高岡工場
可愛いものが大好きだという「河西さん」。子犬、小動物など、ざっくり言うと、丸くて、小さくて、柔らかいものが可愛いと思う傾向にあると話してくれました。
そんな河西さんの愛車は、1966年に登場した初代カローラ KE10型。実はこのカローラもまた、河西さん的には“可愛い”の部類にはいるのだそうです。
今回は、河西さん×カローラ のお話をお届けします。
――“可愛い”って、良いですよねぇ〜。
ですよねぇ〜。なんだか照れちゃうんですけど、僕は昔から可愛いものが大好きだったんですよ。
――そういえば、ラインのスタンプがハムスターで、とても可愛かったです。
でしょ(笑)?実はあれ、ペットのハムスターなんです。目がクリクリで、コロコロ動いて、モフモフしていて、見ていると微笑ましい気持ちになるというか、愛らしいというか……♡
人によって可愛いの定義は違うと思うんですけど、僕の場合は、丸かったり、小さかったり、柔らかかったりすることに可愛いを感じるみたいです。
――ちなみに、カローラにも可愛いを感じるのですか?
もちろんです!フロントは一見精悍な印象を与えるんですけど、よく見ると丸いライトと、それを囲った丸いメッキのリングが可愛いのがまず1点目。
ボディは角張っているようで、実は若干の丸みを持たせたセミファストバックスタイルというのが2点目。
まん丸のステアリング、まん丸のスピードメーターが3点目。あとは……。
――分かりました!要約すると、丸っこい部分が良いと。
そうそう。あとは、レストアに1年半の月日がかかったから、自分の子供のようで可愛い!という精神的な理由もあります。
――1年半ですか……。フルレストアってことですか?
そうですね。動かないというだけならまだしも、8年くらい雨晒しだったからボディは錆び錆びで、部品取りにする程度のクルマだったんです。だから、本当に一から作り上げたという感じですね。
よく、大変だったでしょう?と言われますが、その作業は苦痛ではなくて楽しい時間でした。
――まさに私が、大変でしたか?って聞くところでした(笑)
あはは(笑)!先に言っておいて良かったです。子供がラジコンをいじってるような、そんな感覚なんですよ。弱そうなところや心配なところに手を加えていって、頼んだのは塗装くらいですねぇ。
――1番時間がかかったのは、どの箇所でしたか?
ボディから塗装を剥がす作業ですね。何度もオールペンしたのか、塗装が塗り重ねられて厚みが出て、ひび割れていたんです。あとは、パテも塗ってあって、突貫工事的な感じでした(笑)。
で、これをワイヤーカップブラシで落としていくんですけど、なかなか根気のいる作業でね〜。
技術を要求されるというよりかは、同じ作業をずっとやっているから飽きてしまうんですよ(笑)。平日は仕事をしているから、4ヶ月かかりました。
――それはなかなか根気のいる作業でしたね……。でも、フルレストアだから、それは工程のほんのちょっとにしかすぎないですよね。
はい。なんせ、エンジン、ミッション、デフ、ブレーキ、キャブレターのオーバーホールなど、色んな箇所に手を加えなくてはいけなかったですから。
あとは、ワイヤーハーネス改造時に、信頼性向上のために新たに元のクルマにはないリレーブロックを追加したりなど、快適に走れるようなこともしていきました。
結構かかっちゃったけど、その分満足のいく仕上がりになったと思っています。
――実際に乗ってみてどうでしたか?
現代のクルマと、乗り味が全く違いましたね。ハンドルが重かったり、ブレーキが効きにくかったりとか、当時の人はみんなこんな感覚を味わっていたんだろうな〜と感慨深い気持ちになりました。
快適性はともかく、やっと乗れるようになったので、2ヶ月弱しか経っていないのにすでに1500Km走ってしまいました(笑)。
――おおっ!かなり走り込んでますね!ちなみに、どこにドライブに行ったのですか?
愛知県豊田市にある、高岡工場へ行ってきました。ここは、カローラの産まれた場所だから、絶対に見せてあげたいと思っていたんです。
――原点回帰ってことですね。
はい。高岡工場はこのカローラを生産するために1966年に建てられました。だから、お前はココから始まったんだよ〜と、一緒にドライブに行きました。
――カローラ、さぞかし嬉しかっただろうなぁ〜。
だと良いんですけどね。免許を取って初めて乗ったのが、3代目カローラでした。親父が乗っていたのもカローラでした。そのあとも、カローラに何台か乗ってきて思うのは、僕はカローラが大好きだということです。
身近な人が乗っていたからなのか、若い頃から慣れ親しんだクルマだったからなのか、カローラは自分の家のクルマになくてはいけない!という感覚なんですよね。
それは、これからもずっとですね。
今度は、奥さんと旅行に行くときにカローラに乗っていきたいと話してくれた河西さん。車庫にはいつもカローラ……♪ 河西さんのカーライフには欠かせない存在ということがすごく伝わってきました。
(文:矢田部明子)
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