シルビアに呪われている!?僕と愛車の猟奇的な関係
子供の頃から憧れたクルマではあったものの、実際に所持すると呪われているんじゃないか……と思うくらいシルビアに振り回されているという「一三@S13さん」。
若干疲れたような? 諦めたような? 声でそう話しているのに、「シルビアは絶対に手放しません。ここまできたんだから」と言うのが、一三@S13さんの面白いところ。
今回は、一三@S13さん×シルビア のお話をお届けします。
――大丈夫ですか? 呪われているとか聞きましたけど……。
そうなんです。本当に、そう思う時がふとあるんですよ。こう、なんというか……。維持するうえで神経を使うから、すり減っていく感じがするんですよね……。
――ええええ! もう売りませんか!? そっちの方が良い気がするんですけど
何言ってるんですか!
ここまできたら、なんとか頑張るしかないんです!
手放したら絶対に後悔するから、なんとか頑張りたいんです。
――ダメだ……。本格的に呪われている気がしてきた……。ちなみに、何が大変なのですか?
何が大変かと言われると、実はそんなに手がかかるということはないんですよ。むしろ、状態はすこぶる良いです。
前オーナーさんが車庫保管していたから、ボディは錆どころか板金補修歴もなし。下回りも錆は無く綺麗ですし、パネルなども塗り直したことが1度もないんです。
なんでも、新車で購入してから34年間、雨の日に乗ったことがなかったそうなんです。走行距離も4万kmで、本当に特別な日と、バッテリーが上がらないように少し動かすというくらいで保持してきたと仰っていました。
そのくらい箱入り娘で走ってきたから、すごく綺麗なんです。
――じゃあ、何で神経がすり減るんですか? 部品がなくて心配とか?
いえ。部品取り用にシルビアを購入しているので、その心配はありませんね。
――で、では何故……。何故そんなにも、神経がすり減るんですか?
すごく綺麗な状態なので、大事にしすぎて維持している自分自身がストレスを抱えているあたり、呪われているなぁと(笑)。
購入した当初は水洗い洗車もしていたんですけど、手が入らないところに水が入ってしまって錆びちゃうんじゃないか?とかいう心配をし始めたんですよね。
だから今は1年に車庫から2回出せば良い方で、エンジンを2週間に1回かけて、前後に動かすくらいです。幼稚園の頃から欲しかったクルマだから、思いが強すぎるのかもしれません。
――幼稚園の頃からですか。
はい。何でかは全く分からないんですけど(笑)、横から見たときに、セダンっぽい形のクルマが好きだったんです。
当然車種によって、バンパー、ホイールベースの長さなどが違うわけですが、1番バランスが良いと思ったのがS13のシルビアで、それからずっとS13一筋なんです。
面白いのは、シルビアが好きなんじゃ無くて、S13のシルビアが好きというこだわりがあったことです。
僕が小学生だった1999年に7代目が登場したんですけど、新聞の折り込みのチラシにシルビアの広告が入っていたんです。生意気にもチラシを見て「みんなは新しい方がカッコいいと言っているけど、俺的にはS13だな〜」とか思っていました(笑)。
――あはは(笑)!ませてますね。というか、すごくこだわりが強かったんですね。
そうなんです。ちなみに、ボディーカラーも、この緑じゃないとダメだったんですよ。またしても何故かは分からないんですけど……。緑が好きなあまりに、小学生の頃は絵の具の緑を特注していましたからね(笑)。
絵の具って12色展開だったんですけど、美術系のクラブに入ってた子は24〜40色くらいの絵の具を持っていたんです。で、そういう子の緑はちょっと違って、黒っぽい緑だとか、明るい緑とか色合いが微妙に違うんです。
だから僕も、緑だけは“こだわりの緑”を買っていました。
――何となく分かってきました。一三@S13さんが呪われている理由(笑)。
実は、もっとあってね。グレードがK’sであることとGパッケージじゃないとダメだったんです。
――何故ですか?
まずK’sが良かったのは、ターボが付いているからです。当時シルビアは走りにこだわった人が乗るというか……、僕の中ではスポーツカーというイメージだったので、より加速が楽しめるというのが重要だったんですよね。
ただ、実際に乗ってみると、全然スポーツカーじゃなかったので拍子抜けしましたけど(笑)。
Gパッケージが良かったのは、サンルーフ、フロントウインドウディスプレイがセットになっているのがこれだったからです。
実は、フロントウインドウディスプレイが初めてついたのがS13のシルビアだったんですよ。だから、S13といえば!みたいな部分かなと思ったんです。
――なるほど、納得しました。思い通りの個体になんて、なかなか出会えないですもの。それは大事にしますよね!
でしょ!! 実は、18歳のときにシルビアを購入しているんですよ。その時は理想の色ではなかったから、遂にという気持ちがあるんです。
最初のシルビアの時ですら嬉しくて3日間くらい車内で寝泊まりしていたから、今なんか感動を通り越して、呪われちゃったわけです(笑)。
シルビアは“そこにあるだけで”というキャッチコピーが使われていたんですけど、まさにそれです。いてくれるだけで、充分かな。
呪われたシルビアを保管するために、もう1台全く同じシルビアを購入し乗っているという一三@S13さん。
呪われているというのは、産まれて間もなくして憧れ、今はその憧れのS13シルビアに乗っているということに、はかり知れないくらい幸せを感じているということのようです。
(文:矢田部明子)
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