50代からホンダ・N360で始めた旧車ライフ
小さくてコロコロした見た目から「Nっころ」の愛称で親しまれてきたN360。当時にはめずらしかった、赤や黄色などの豊富なカラーバリエーションは、当時クルマに関心の薄かった女性達からも人気だったそうです。
そんなNっころに乗るのは「まさるさん」。お父様が乗っていたそうで、どんなクルマなのか自分でも愛車として迎え入れたそうです。
今回は、まさるさん×N360 のお話をお届けします。
―――お父様とNっころとの思い出を教えてください。
父がNっころに乗っていたのは僕が産まれる前の話なので、思い出は特にないんです(笑)。こんなクルマに乗っていたんだよ〜と話に聞いていたくらいで。
―――勝手に勘違いしておりました……。それなら、なぜ乗ろうと思ったのですか?
もともと旧車に興味があって、どうせなら自分のヒストリーに引っ掛けた旧車に乗ろうと思っていたんです。
Nっころは、父が1番最初に乗ったクルマということだったので購入を決意しました。
初めて実車を見たときには、フロントライトが丸くてポコっと出ていて、カエルみたいですごく可愛いなと♪ もちろん全部好きなんですけど、1番気に入っているのは、赤いテールレンズです。
今のクルマって、ウインカーは両サイドのオレンジ、ブレーキランプは真ん中の赤いランプというように、それぞれ光る箇所が違うでしょ?でも、Nっころは、両サイドの赤いテールランプの光り方が変わるだけなんです。
ブレーキを踏むと光る、その状態でウインカーを出すと点滅するという感じ。なんか、それが良いんです。
父にもすぐに見せに行ったんですけど、目をまんまるにして驚いていましたよ。「なつかしー!確か、写真がどこかにあったかも!探してみようか。」なんて言っていました。
―――可愛い♡旧車ならではってことですね♪ちなみに、旧車に乗ろうと思ったのはなぜですか?
手間がかかるところが面白そうだなと思ったからです。壊れたり、古くなった部分をリフレッシュしたり。
今のクルマは電子制御とかがあるから、自分でいじれないじゃないですか。かといって、僕はクルマ関係の仕事をしているわけじゃないから知識もないし、見様見真似でやっているという感じなんですけどね(笑)。
やっていることといえば、出発前にエンジンオイル、ブレーキフルードの残量を確認して、消耗品が壊れてないか確認するくらいです。
でも、実際にやってみると、やっぱり面白いですよ。これまでは仕事に捧げてきたから、50代は絶対に自分の人生を楽しもうと思っていたんです。今まさに、それが実行出来ているなと感じています。
―――大変だなと思ったこともあるのでは?
それが、大変に思ったことは1度もなくて、良いことだらけなんですよ。
Nっころって、最近の軽自動車より一回り小さいから、家の周りの狭い道もスイスイ行けるし、360ccで非力なイメージがあるけど、キビキビ走って、ブレーキもよく効くから高速道路を走るのが楽しいんです。休みの日は、大黒PAまでドライブすることが多いですよ。
―――えっ!?そうなんですか? 前にNっころオーナーさんを取材した時に、高速道路は常に1番左を走っていますということだったから、速くはないと思っていました。
う〜ん。僕のは前のオーナーさんがチューニングして乗っていたから、ノーマルとは少し違うかもしれません。
当時のメーカーオプションのレーシングキャブレターなどを付けて、足周りも少しいじっているから、もたつくなどは一切ないんです。
むしろ、アクセルのレスポンスが良くてキビキビ走ってくれるし、車重が軽いから出だしも良く、ゴーカートのような独特の走り味で、癖になっちゃいます。
―――気になる燃費は?
なんと、15km /ℓ!
―――なんて経済的なんだ…。本当に、大変なところが見つからない……。
まだまだありますよ〜!スーパーの駐車場に停めると、軽自動車に埋もれるくらい小さいんですけど、車内は割と広いんです。
タイヤを出来るだけ前後に持っていって、エンジンはFFで横置きで、さらにミッションをエンジンの下にもっていくなどして、車内のスペースを広く取れるように工夫がしてあるんです。
体格の良い人はキツイかもしれないけど、女性なら狭いと感じずにいけるんじゃないかな。
―――ますます素敵なクルマに感じますね。
でしょ?あとは、色々な人と交流することが出来る、というのもNっころならではの良さですかね。
買い物して車に戻ると、人がたかってるなんてしょっちゅうです(笑)。とくに、おじさま方に人気があって、「昔乗ってたよ」とか「昔整備してたよー」なんていう方もいらっしゃいます。
クルマをカスタムしてるから、足は何を入れてるの?と聞かれることも多いです。僕は結構それが好きで、色々な人と他愛もない話しをするのが楽しいですね。
休日の日は、大抵ドライブに出かけるという まさるさん。その時間は至福の時で、人生において大事な時間だと語ってくれました。クルマは、時に人生を豊かにしてくれるアイテムなのです。
(文:矢田部明子)
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