ラリーの魅力を女性の視点で伝える! ラリーナビゲーター、栗田佳織さん
J SPORTSの「WRC世界ラリー選手権」に番組ナビゲーターとして出演する栗田佳織さん。J SPORTSのオーディションをきっかけにラリーの魅力を知り、ラリー三昧の日々を過ごしています。今回、全日本ラリー選手権第9戦(新城ラリー)の取材に同行し、インタビューをお願いしました。出演者の枠を超え、仕事内容はどんどん広がっているようです。
プロフィール
栗田佳織(くりたかおり)
昭和63年1月29日新潟県生まれ。日本体育大学体育学部武道学科卒(少林寺拳法専攻)。J SPORTSのオーディションに合格し、「WRC世界ラリー選手権」の番組ナビゲーターを6年間務めている。また番組制作に関連し、全日本ラリーも全戦取材。少林寺拳法4段。
――現在の仕事内容について教えてください。
J SPORTSの「WRC世界ラリー選手権」のナビゲーターとして番組に出演しています。事前に映像が来るので、台本づくりやドライバーのコメントを翻訳しテロップを用意するのも私の仕事です。また同番組内で全日本ラリーの模様をハイライトで放送しているのですが、その映像の制作全般も行っています。
- J SPORTSの収録風景。隣の男性はラリージャーナリストの川田輝さん
――コメンテーターとしてのイメージが強いので、制作までしているのは意外に感じました。
WRCではタイムや順位の変動、選手がリタイアした場所、原因などの情報を自分で集めています。また、全日本ではナレーション(原稿制作を含む)はもちろん、撮影、編集なども行い、尺に合わせて番組を作っています。だから(新城ラリーが終わる)これからが忙しくなります。
- 取材中の眼差しは真剣そのもの。カメラの知識や撮影技術のノウハウも日々吸収しています
――ラリーの仕事をするようになったきっかけは何ですか?
番組のオーディションがあるという話を当時所属していた事務所から聞き、受けました。もともと頭文字D(マンガ)が好きでドリフトに憧れていたのですが、当時ラリーのことはまったくの素人。今はWRCと全日本につきっきりで、少林寺拳法以外のスポーツでビビっときたのは初めてです。
――ラリーのどんなところに魅力を感じたのですか?
ドロドロ、ボロボロになってやるところが好きです(笑)。自動車評論家の国沢光宏さんもおっしゃっていましたが、ラリーは今のまぐれでしょという走りがずっと続きます。芸術的で感動します。これはやばいと思いました。
WRCは世界選手権で、お金をもらっているプロが乗っていますが、全日本ラリーは本当に好きな人たちが出場しています。目立ちたいとか有名になりたいとかではなく。そういう部分も良いなと思いました。
それとサーキットではなく汚れるラリーを選んだのも私らしいなと。有名な空手ではなく少林寺拳法を選んだのと同じで。分かってくれます?(笑) ただ好きだからというのはすごく良いことだと思っています。
- 取材は主にサービスパーク(車両のメンテナンスや修理を行うところ)で行います。走っているクルマが戻ってくる前にチーム関係者にヒアリング
- ラリーはスケジュールが変わることも多いので、情報が命。取材仲間と積極的に情報交換を行います
――現在の課題は何ですか? それをどのように克服していますか?
自分の色を出すこと。ただ結果や出来事を伝えるのではなく、私はどう見たのか? どう思ったのか? をしっかりコメントできるように模索中です。知ったかぶりはしたくないので、常にきちんとした情報を集めながら自分の意見を少しずつ言うように努力しています。
あとは映像を見ながらコメントを入れている時に一緒に楽しむこと。伝える側が楽しまないと、観ている人たちにも伝わらないと思うので。
- 取材に不可欠な“6つ道具”。外での取材がほとんどのためサングラスも必需品です
――この仕事の大変なところはどんなことですか?
撮影した動画の編集。動画のプロとは言い切れず、苦労しています。0.5秒短い方が気持ちいい構成とかあるじゃないですか? 毎戦ストーリーを作らないといけないのが大変です。例えば今回の新城ラリー。普通は奴田原vs勝田のチャンピオン決戦ということになりますが、そこだけにフォーカスしてしまうと、何十台と出ている他の選手がかすんでしまいます。しかも、新城は全日本ラリーの中でも一番規模が大きいので、お客がいて、クルマがたくさんあって、こんな絵を撮らないといけないとか……。撮る絵がなければないで何かしなければなりません。
- 悪天候時の取材もラリーにはつきもの。第6戦(モントレー2016in嬬恋)は、2年連続で悪天候に見舞われました
――仕事を通じて感じるやりがいや、仕事の魅力を教えてください。
今日本でWRCを伝えているのはJ SPORTSの番組だけなので、しっかりとした情報を伝えながら、見ている人に楽しんでもらいたいです。「テレビ見ているよ。あのラリー凄かったね!」と声をかけてもらえるのが何より。ラリーにどっぷり浸かっている今が楽しくて仕方ないですね。
- 写真の求めにも気さくに応じます。ラリーファンの間ですっかりおなじみの存在です
――この職業に就いて、ご自身にどのような変化を感じますか?
人と話をするのが好きになりました。人によっていろいろな感じ方があるんだなと勉強になりますし、番組で活かせそうなネタを探しています。
――今後の目標を教えてください。
若い世代が引っ張り、若い世代にラリーの魅力を伝えていくことです。私のまわりにいるラリーに詳しい人たちは50~60代が中心ですが、勝田貴元選手、新井大樹選手という私と同じ20代のラリードライバーが出てきました。来年からトヨタもWRCに復帰します。若い人ならではの意見をどんどん言って主張していきたいですね。
――お休みの日はどのように過ごしていますか?
特に決まっていません。友だちとゴハンを食べに行ったり、ドライブしたり、家でゆっくり過ごしたり。その時の体調に合わせます(笑)。
- 日体大の同級生(プロボクサー)のデビュー戦をみんなで応援。拳を握るポーズもさまになっています
――愛車は86のマニュアルだそうですね。
はい。頭文字Dの流れでAE86トレノが好きです。ハチロクという名前への憧れが強かったので、(FT)86を買いました。運転は好きで、雪が降っていなければ実家(新潟)までクルマで帰ります。300kmぐらいでちょうどいい距離です。
- 86のグレードはGT。ボディカラーは赤で、女性の乗っている86が珍しいのか、信号待ちでドライバーに二度見されるそう
――理想のドライブデートを教えてください。
少し遠出して美味しいものを食べに行きたいですね。交通手段がクルマというだけでいいです。もちろん運転は交代しながら。いや、できれば私が運転したいかな(笑)。
男性だらけのサービスパークで物怖じもせず、積極的に取材を行う栗田さん。その姿は番組のナビゲーターというより、“ラリー界のナビゲーター”。関係者がみな快く取材を受けているのは、彼女に対する信頼、期待の表れでもあるのでしょう。ますますの盛り上がりを見せるラリー界で、栗田さんは注目の存在です!
(フリーライター:ゴリ奥野)
[ガズー編集部]
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