ファッションアイテムとして選んだ1967年式のブルーバードで、息子とともにロカビリー文化を愉しむ
トヨタ・コロナと人気を競う『BC戦争』を繰り広げるなど、大衆車としてのポジションを着実に築き上げてきた日産・ブルーバード。
その2代目モデルはブルーバードの象徴とも言える『SSS』がはじめて設定され、北米から欧州まで輸出される世界戦略車としてサファリラリーやモンテカルロラリーにも参戦するなど、スポーツ性能をアピールしたモデルでもあった。
長屋さんの愛車である1967年式の日産・ブルーバード デラックス(P411)は、1965年のマイナーチェンジで誕生した後期モデル。8年ほど前に、それまで乗っていた三菱・デボネア(A30)から乗り替えを考えていた時に出会ったという。
「デボネアと比べるとブルーバードはコンパクトで可愛いクルマだなっていうのが第一印象でしたね。コンディションも良さそうで、何よりもフルノーマルだったことは購入の決め手になりました。ここから自分好みのスタイリングにカスタムしていく過程も楽しめるなって思ったワケです」
若い頃から日本のロカビリー文化にハマり、自らも50'sミッドセンチュリーファッションに身を包んでいたことから、クルマに関してもヴィンテージ志向の強い旧車が好みだったという長屋さん。デボネアやブルーバードは年代的にもドストライクだったというわけだ。
「エンジンは購入時から調子が良かったんですが、メンテナンスを兼ねて手を加えているという感じですね。でもブレーキはノーマルだと効きが今ひとつだったため、P510ブルーバード用のマスターバックに変更しています。パワー的には軽自動車並みですけど、安心して乗るならちゃんと止まれるようにするのは基本ですからね」
ファッション的な要素も兼ねた旧車選びとはいえ、やはりポイントを熟知したカスタムも欠かせないのはクルマ好きのサガ!?
前期モデルの410ブルーバードに搭載されていたのは1200㏄のE型だったが、後期モデルでは1300㏄のJ型に変更され、排気量の拡大とともに62psまでパワーアップされている。
そんなエンジン自体はノーマルのままながら、点火系をMSD製イグニッションシステムで強化。キャブレターはオーバーホールキットを調達したものの、一部のガスケットが合わなかったため手切りで製作したという。
そんな長屋さんの息子さんである光起さんは19才。お父さんの影響もあり、ファッションはもちろんブルーバードでのドライブなども一緒に楽しみはじめているという。
父と息子を繋ぐ架け橋にもなっているというブルーバード。そのエクステリアを見ていくと、ヘッドライトやフォグランプには1950年代のフォルクスワーゲン純正アクセサリーパーツなどとして人気を博した『アイブロー』を装着。さらにホットロッドなどでも愛用されるブルードットも追加されている。
足まわりに関してはショートスプリングにベレット用のショートショックを組み合わせることでマイルドにローダウン。リアに関してはリーフスプリング式のため、ローダウンブロックを組み合わせて理想的な車高をキープしているという。
また、絶版品のハブキャップをプラスしたホイールに、ホワイトリボンタイヤと合わせることで、クラシカルかつ往年のアメリカンカー風のイメージを作り上げているのも特徴だ。
スタイリングを特徴付けるアクセサリーのひとつが、リアのサイドウインドウに取り付けられたUHFアンテナ。機能はしていないものの、リプロダクト品が発売された当時に入手し、デボネアの頃から取り付けていたものを移植したという。
さらにスタイリングの特徴として取り入れているのが、昔からアメ車のカスタムパーツとして人気のグラスパックマフラー。ホットロッドでも使用されるアメリカ製サイレンサーを使ってマフラーを引き直すことで、エキゾーストサウンドに迫力をプラスしているという。
インテリアに目を移すと、コラム式シフトノブにはヴィンテージタイプのクリスタルをセット。また、ダッシュボード下にはCDデッキを追加しているので、ロカビリーをバックミュージックに親子2人でのドライブも楽しめるというわけだ。
普段乗りには別のクルマを活用しているため、週末ドライブなどでブルーバードを走らせる時間は、まさに特別なひと時。クルマを介してできた仲間と一緒に過ごすイベントなども楽しみのひとつだ。
光起さんもこういったコミュニティに慣れ親しむことで、クルマの楽しみがどんどん広がってきたという。
「P411ブルーバードはカスタムに使えるパーツはほとんどないんですが、限られた中で考えながら工夫して仕上げるのも楽しいんですよね。派手に作り込んで原型がわからなくなってしまわないように、パーツを厳選して徐々に組み立ていく感覚を楽しんでいます」
音楽やファッションを軸にしたロカビリーは、カーカスタムも表現方法のひとつである。そんなカルチャーを親から子へと受け継ぐキッカケのひとつとなったブルーバードは、長屋さん親子にとってかけがえのない存在といえるだろう。文化もクルマも、こうして次世代へと引き継がれていくのだ。
取材協力:ジャストマイテイストミーティング
(⽂: 渡辺大輔/ 撮影: 土屋勇人 編集:GAZOO 編集部)
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