【LAND CRUISER’S MEETING 愛車紹介】オーナーの一生に寄り添うランドクルーザーFJ56。息子へと受け継がれていく特別な存在へ

ランドクルーザーは誕生から67年という長い歴史の中で、数々の名車を残してきた。その中で守り続けてきたことが『あらゆる条件下での確かな走行性』だ。最新技術を取り入れ、その時代のニーズに応えながら『タフな日本の四駆』であり続けるために進化を遂げてきたのだ。
1960年後半、北米では大型で快適なステーションワゴンのような4WDが求められるようになった。ランドクルーザーFJ55Vは、そんな市場のニーズを感じ取り、快適で乗用車的な性能を備えつつ、ランドクルーザーの真骨頂である過酷な条件下でもしっかり使える基本性能を備えたモデルとして1967年に登場した。その国内仕様がランドクルーザーFJ56だ。

北米では人気があったのに対し、当時の国産民間車としては脅威の大排気量ガソリンエンジン。ディーゼルエンジンの設定はなく、燃費も悪かったことなどが原因で、日本国内での販売は振るわなかった。
そういった理由から、現存しているFJ56は少なく絶滅危惧種のようなクルマだ。いっぽうでFJ55・56は、現在の200系やレクサスLXなどのステーションワゴン系ランクルのルーツとなっている。

今年で32回目を迎える『LAND CRUISER'S MEETING 2018』に、ランドクルーザー50系のFJ56で参加していた小林さん。
2F型ガソリンエンジンはツインキャブレターを採用。エンジン回転の上昇によりセカンダリーポートが開くと味わえる強靭な加速感は、マニアたちの間では伝説となっている。後期モデルになると、内装はステアリング周りのデザインも変更され、よりスマートで快適に過ごせるようになっている。

20才の頃から31年間もの間、FJ56と人生を歩んでいる小林さん。このクルマとどんな時間を過ごしてきたのだろうか?
「人生長いと、節目ってのが必ずあるんです。良い時も悪い時も、僕の人生の歩みをコイツは全部知ってるんですよ」とのこと。

実は、小林さんは1度FJ56を手放している。なんでも、10年間交際していた彼女(現在は奥様)と別れてしまったのが原因だという。思い出のいっぱい詰まったFJ56に乗ることが耐えられなかったそうだ。
ところが、1年後にひょんなことから寄りを戻して結婚。そのタイミングで、FJ56にもう一度乗ろうと思ったそうだ。
「1度売却したんですけど、もう一度買い戻しましたよ。売った値段よりも数倍の値段がついていましたけどね。だけど、FJ56とも寄りを戻さなくちゃ!っていう気持ちがあって。もちろん、手放した1年間は他のクルマに浮気はしていませんよ。僕は、FJ56一筋です」

空白の1年間を除いて30年が経過しているが、所持する上で苦労していることはあるのだろうか?
「やっぱり部品が無いのが辛い!もう、ワンオフ部品を作ってもらうしかないんですよ。たまたま後輩がそういう仕事をしているので、無理を言って安くお願いしています。ただ、部品代よりも、お礼の夜ご飯代のほうが高くつきますが(笑)」と苦笑いしていた。
大きなボディに不細工で愛嬌のある顔、加速の力強さはいくつになってもワクワクさせてくれるそうだ。「サビや泥汚れが似合うコイツは、新しいクルマが世の中に出れば出るほど魅力がでるのさ」と語ってくれた。

そんな小林さんだが、最近膝が痛くなってきたこともあって息子であるだいすけ君にランドクルーザーFJ56を引き継ごうと考えているらしい。
「もう僕とは十分走ったから、世代交代ですよ。コイツもまだまだいけるし、若い奴の方が良いと思ってね」
このミーティングにも一緒に参加し、FJ56で車中泊を一緒に楽しんでいた息子のだいすけ君は18才。現在、仮免許取得に向けて奮闘中のようだ。

「コイツと出会った頃は、僕も仲間も若かった。それが今じゃ、子供や孫のいる奴もいるんですよ。そして、コイツに息子が乗ろうとしているわけで。出来の悪い息子だけど、コイツと一緒に息子を見守りますよ。乗るっていうもんだからしょうがないんですよ、まったく」と笑顔で語る小林さんは、ランドクルーザーFJ56を“家族”だという。一緒に時間を過ごすことで苦楽を共にし、強い絆で結ばれたのだ、と。
小林さんとランドクルーザーFJ56を見ていると、クルマは単なる移動手段じゃないと強く感じる。友達・恋人・家族……それらと変わらないかけがえのない存在だ。

(テキスト:矢田部明子 / 写真:平野 陽)

[ガズー編集部]

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