「じつは車体価格以上の維持費をかけてます(笑)」。愛車歴1年半でも伝わる、人一倍のロードスター愛が溢れる20代女性オーナー
こちらの95年式NA型ロードスターを所有するのは、オーナー歴約1年半の『ちゃんなる』さん(twitterアカウントネーム)。彼女が“しろころ”と愛称で可愛がっているロードスターは、はじめての記念すべき愛車でもある。
ちゃんなるさんが普通免許を取得したのは、今から6年前の21歳のころ。関東の大学に通っていたこともあり、日常でクルマに乗る必要のない生活を送っていた。
トヨタ自動車のお膝元でもある愛知県豊田市で育ち、家族全員が自動車関係の仕事をしている環境と、クルマはとても身近な存在だったという。免許を取得する際も「AT限定ではなく、絶対にマニュアルを選ぶ!」という考え方で育ったそうだ。
「子供のころから家族の影響でジゴロ次五郎(週刊少年マガジン連載の加瀬あつし作の漫画)が好きだったし、もちろん頭文字Dも結構読んでいたので、免許を取った翌日にレンタカーの86を借りて、そのまま榛名山へドライブに出かけました。シートからすべて教習車とは全然違う感覚のスポーツカーだったので、正直運転してこわかった!って思い出しかないんですけど(笑)」。
はじめてのスポーツカーには、ちょっとほろ苦い思い出が残っているようだが、クルマ好きになった理由はもうひとつあった。大学時代、仲の良かった友人がロードスター海外モデルで左ハンドル仕様のMX-5ミアータに乗っていて、よくナビシートに乗せてもらう経験があったそうだ。
「友人の影響もあってロードスターに少し興味が沸いて、自分で画面上のクルマをカスタマイズできるスマホのアプリで遊んでいた時期があったんです。それで気に入ったカスタムができたらスマホに画像を保存する感じで楽しんでいました」。
大学を卒業するとIT関係の職場に就職し、その友人とも縁がなくなってしまったちゃんなるさん。そのまま日常も趣味もクルマと無縁な生活を数年間続けていたそうだが、昨年ふとスマホに保存されている過去の写真を眺めていたところ、当時自分がカスタムしたアプリの写真を発見。
そこから「自分もこんなロードスターに乗ってみたい!」という気持ちが急にわきあがってきたという。
「それが去年のことでした。居ても立っても居られなくて、久しぶりに友人に連絡を取って、ロードスターのお店に連れて行ってほしいとお願いしたんです」と、とても行動派の一面が覗く。
じつは昔、ちゃんなるさんがアプリで作ったロードスターというのは、青いボディに黒いボンネットを組み合わせた、現在とはまったくカラーリングの異なる仕様だった。
しかし、連れて行ってもらったロードスター専門店で並んでいる実車を見ると印象が一変し、白いボディのNAロードスターを見た瞬間に、その可愛らしさにひと目惚れ。
「今日にでもこのロードスターを買わないと!」と購入を即決したそうだ。
「白くてころころしている丸いボディが大好きで、このロドには”しろころ”って名前を付けました。ナンバーも”しろころ(46-56)”なんですよ♪」とちゃんなるさん。
ちなみにボディのほかに、自分の好きな厚木名物の焼き肉『シロコロホルモン』や、ロックバンドの『マキシマム ザ ホルモン』も名前のモチーフになっているとのこと。
愛称を付けるだけではなく、95年製という年式的に旧車にあたるロードスターをコンディションよく保ち、普段から乗っているところも、ちゃんなるさんがロードスターにかけている愛情の深さがうかがえるポイントだ。
「正直なところ、クルマについてはまだまだ詳しくないので、わからないところはちゃんと“わからない”と言って、プロにお任せするように心がけています。ボディもメンテナンスというよりは、ほとんどレストアみたいな作業が必要だったみたいで、買ったときの車体価格以上の費用が今までにかかっています。合わせればNDロードスターも買えたんじゃないかってくらい(笑)」。
メンテナンスガレージは、神奈川県のロードスター専門店『ジョイファスト』。ちゃんなるさんは、神奈川県で開催されるオーナーズミーティングの『カナロド』に参加することが多く、そこで知り合ったオーナーが揃って評価しているお店だったというのが決め手になった。
いっぽうで、購入後はホイールを自分好みにカスタム。高性能な鍛造ホイールとして有名なレイズ・ボルクレーシングTE37は、友人が装着している姿がカッコよく自分もマネしたいと思って手に入れたもの。かなりシブさを感じるチョイスだが、性能については着けたあとで知ったというちょっと意外な答えが返ってきた。
インテリアは、シートポジションを調整するための可愛らしい柄のクッションや、ディープコーンハンドルでも操作しやすいように後付けウインカーレバーなど、小柄な女性でも快適に運転できる工夫がいっぱい!
サイドミラーのリボンは、中国のおまじないがモチーフ。購入の決め手にもなった、ワインレッドのソフトトップのカラーリングと合わせたコーディネイトでもあるそうだ。
ロードスターオーナーとしての楽しみは、「ドライブやミーティングで気に入った姿の写真を撮ってSNSに上げること」というちゃんなるさん。思いのほか費用のかかったボディのレストア作業がひと段落したこともあり、今後はブレーキやクラッチといった走行性能のリフレッシュをしながら、長く大事にロードスターに乗り続けたいという心意気も話してくれた。
20代の女性が95年製のNAロードスターというと以外な組み合わせだが、その愛は本物だった。そんな若いオーナーが増えれば、ロードスターはもちろん、スポーツカーの人気も高まるだろう。
(⽂: 長谷川実路 / 撮影: 市 健治)
[ガズー編集部]
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