フェアレディZ Z34バージョンニスモは、所有欲と親娘の大切な時間を叶える最高の愛車
愛車に一番求めるものは、速さや乗り心地、見た目のカッコ良さなどなど人それぞれ。その中でも、「所有欲を満たす一台」を最重要視し、日産フェアレディZ34バージョンニスモを11年間大事に乗り続けている方がいる。
スーパー耐久第4戦オートポリスで取材させていただいた宮崎県在住の北島さん(68歳)だ。
「子供の頃からクルマが好きで、20歳の頃からカートやオフロード、ダートラなどいろんなレースをやってきました。その中でもスポーティーでカッコよかった日産のフェアレディZが好きで、若い頃はS30に乗っていたこともありまして。
だから子供が大きくなって、そろそろファミリーカーのオデッセイから好きなクルマに乗り替えようとなったとき、やっぱりZに乗りたいと思ったんですよ」
北島さんが50代半ばだったその当時に発売されていたフェアレディZは、2008年に発売を開始したZ34型。その中でも「これが一番カッコいいから」と2010年式のバージョンニスモを2年落ちで中古購入する。
「バージョンニスモは、本当は新車で欲しかったんですがその当時は金銭的に厳しくて……。でも当時のZの中で一番かっこいいし、乗っている人も少なかったのでそこはこだわって購入しました」
Z34バージョンニスモは、2009年に日産ワークスチームであるニスモ(NISMO)とオーテックが手を組んで開発した、日産のモータースポーツを象徴するハイパフォーマンスモデルだ。
エンジンパフォーマンスやボディ剛性、足まわりセッティングなどの性能面の強化はもちろん、フロントバンパーやリヤスポイラー、リヤバンパーやサイドシルプロテクターなどバージョンニスモ専用のスポーティーかつグラマラスなスタイリングも魅力で、いまだ多くのファンを持つ。
そして北島さんもまた、そんなZ34バージョンニスモに魅了されたひとりだったというわけだ。
2012年にこのZ34を購入した後、北島さんはご自身好みにするためにいくつかのカスタムを行った。
「購入時はノーマルだったんですが、スポーティーな感じが好きなのでリヤバンパーとマフラーをアミューズ製にしています。マフラーはフルチタンでとても気に入っていますね。あとはホイールも純正からアドバンレーシングにしています」
また、内装面での北島さん1番のこだわりがステアリングだ。オーダーしてカーボンで巻き直してもらったというだけあり、4点シートベルトと共に車内のレーシーな雰囲気作りに一役買っている。
ちなみに、そのタカタの4点式シートベルトは、このクルマでサーキットを走らせる時に購入したものだという。
「ガチガチで走るというよりかは、この状態でどのくらい走ってタイムが出るものなのか性能を知りたくて数回走ったんです。でも自分が思っていたタイムは出なくて、もうサーキットはいいかなって(苦笑)」
ともあれ、昔から好きなフェアレディZの後継であり、所有欲を刺激するバージョンニスモ仕様、そしてお気に入りのカスタムが施され一際美しくカッコよくなったZ34。
「今まで乗ったクルマの中では最高ですね。荷物があまり載らないのは何ですけど…(苦笑)」
とレース活動などを通していろいろなスタイルのクルマを乗ってきた北島さんの中でも、1番のお気に入りに。
現在北島さんは、Zが集まるミーティングなどのイベントやレース観戦、リフレッシュドライブなどの機会に、月2回ほどのペースでこのクルマに乗って出掛けることを楽しんでいるそうだ。
「Zミーティングはこのオートポリスでもよくありますし、山口県の秋吉台などでもやるのでよく行きます。あとは先日この車で北海道に行ってきました。フェリーは半分、自走半分という感じです。乗り心地は正直そんなに良くないですけど、息抜きになって楽しかったですよ!」
また、取材させていただいたスーパー耐久第4戦オートポリスには、娘のまなみさん、さらに同じZ34オーナーのご友人と一緒に観戦しに来られていた。
「娘は小さい頃から『一緒に行くか?』と聞くと『行くー!』という感じでよくついてきてくれるんです。このクルマを買いに岡山まで買いにいくときもついてきてくれたんですよ。でも嫁に行ってしまうのでこういうのは今日が最後ですね。最後の記念にいい思い出になりました」
そう少し寂しげに話された。まなみさんと愛車Z34でレースやイベントに出掛ける時間は、北島さんにとってはとても大切なひとときだったのだろう。
それならば…と、まなみさんにお話を伺うと、北島さんにとっては予想外のうれしい返答が。
「小さい頃から自分が中学校くらいまでは、家族5人でお父さんのレースのサポートや応援によく一緒に行っていました。お兄ちゃんもクルマ好きですけど、こうやって今でもサーキットやイベントにくっついていくのは私だけですね(笑)。私から見るお父さんはすごく優しいです。それと確かに来月嫁いじゃいますけど、旦那さんもクルマ好きですしこれからもこうやって一緒についていくと思うので、全然心配しなくても大丈夫なんですよ!」
なんでもまなみさんの旦那様は、この日ご一緒されていたZ34オーナーのご友人の会社の部下的立場な方なのだとか。この日も北島さんのクルマにまなみさん、そしてご友人のおクルマにまなみさんの旦那さんが乗って4人で向かう予定だったのだそうだ。
つまり北島さんは、まなみさんとの大切なひとときがこれでラストになることもなく、今後はクルマ好きな旦那さんやご友人などと、これまで以上に充実したカーライフを送れるようになるのではないかと思う。
そしてそんな北島さんは、つい最近まで週末はオートポリスのオフィシャルスタッフもしていたほどのモータースポーツ好きだ。ご自身で参戦したレースの中でも一番楽しかったのは軽耐久、いわゆる軽自動車のみで行われる耐久レースとのこと。
普通、耐久レースというと数人でドライバー交換をしながら決められた時間を走り切るものだが、北島さんの場合はちょっと違う。なんと、たったひとりで耐久レースを走り切るというから驚きだ。
「ここに来るまでに3時間かかって3時間半走り、3時間かけて帰るんです。その全てが楽しいのですよ」
そう目を細めて話す北島さんを、「かっこいいです」とまなみさん。なんとも素敵な親子関係だ。
「のんびりイベントに行ったり街乗りしたりとプライベートの場で楽しく乗ろうと決めて買って、10年以上経ちました。これからも変わらず大事に乗っていきたいですね」
北島さんにとって速さや乗り心地は一番ではなくとも、スポーティーで美しいスタイリングで十分に所有欲を満たしてくれる存在である、Z34ニスモバージョン。
これからもまなみさんを始めクルマ好きなご家族やお友達と共に、様々な思い出を紡いでくれる存在でいつ続ける。
(文:西本 尚恵 写真:中村レオ)
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