2代目ソアラ VX、不人気なお陰で人と全く被らない最高の愛車
「僕のクルマは、全く人気のないグレードだったんですよ。」と話してくれたのは、15年前にトヨタ ソアラVXを愛車として迎え入れたシルバさん。
ソアラが登場した1981年、免許なんてまだまだ取れない子供だったというシルバさんは、街中がこのクルマで埋め尽くされるのではないか?と思うほど人気があった、と教えてくれました。そんなソアラの中でも、人気が無かったというVXグレードに乗り続ける良さとは?
今回は、シルバさん×ソアラ のお話をお届けします。
――発売当時、ソアラはどんな位置付けだったんですか?
スポーティーな高級クーペと言われていて、いわゆるハイソカーブームの火つけ役に一躍買っていました。
僕はまだ子供でしたが、街中の至る所でソアラを見かけるくらい人気のクルマだったんですよ。デートカーとしても人気があったから、カップルが乗っているイメージがありましたね。
――シルバさんから見て、高級クーペだなと感じる箇所はどこですか?
バブルの頃に販売されていたということもあって、そう感じる部分は多いですよ。
例えば、ドアが長くて重く、かなり大きいだけではなく、自重を支えるドアヒンジの形が複雑で、手の込んだ設計になっていること。
ほかには、グリルについたグリフォンのマークがワインレッドで、七宝焼になっていることですかね。時間とお金をかけて、こだわり抜いて作ったんだろうな〜と思います。
――なんといっても、高級クーペですものね!
う〜ん。とかいいつつ、僕のソアラはVXグレードだから何とも言えないところはあるんですけどね。
――と、いいますと?
おそらく、皆さんがソアラと聞いてイメージするのが、7M-GTEUエンジンを搭載した3.0GTリミテッド とか、1G-GTEU エンジンを搭載した2.0GTツインターボのあたりだと思うんですけど、僕のはVXで「そんなグレードあったっけ?」と言われるくらい影の薄いグレードとなっているんです(笑)。
ソアラはGから始まるグレードしかない!と言われたこともありましたから。
――ということは、人気が無かったということですか?
ズバリ言うと、そういうことになります……。でも、物は考えようで、購入した人が少ないからタマ数が少なく、逆に希少価値が高い個体になっちゃったという点では、これで良かったのかも? (笑)
――あはは(笑)。確かにそうですよね!でも……、なぜ人気がないグレードだったのでしょうか。
先ほど、高級クーペとして人気があったと言ったでしょ?このグレードはVZの次に廉価 グレードで、当時の人たちからすると「高級車を買うのに、なぜわざわざこのグレードを?」というのがあったんだと思います。
実際、ホイールはアルミではなく鉄チンで、デジパネのスペースビジョンメーターはTEMSモード表記の機能が無い分、とてもシンプルですしね。
「これって、ソアラのスペースビジョンメーター?」なんて言われたこともありますよ(笑)。
ちなみに、僕の愛車は昭和61年式で車体番号が8000番台なので、初期の中でもかなり最初の方に製造された個体で、全く同じグレードの個体は2年間くらいしか製造されず、カタログ落ちしたんです。
――だから、みんな知らないんですね!
そうそう!105馬力でシングルカムなんですけど、後期から、ツインカムになるんですよ。
――ここまでくると、逆にすごいですね。
でしょ!?幻のソアラ……なんて呼んでもいいくらいじゃないかなと(笑)。それでいくと、ボディーカラーもすごく貴重なんですよ。当時流行っていたボディーカラーはスーパーホワイトというやつで、僕のシルバーは、ほぼ売れなかったらしいんですよ。だから個体数が少ない!
――なんか……、ここまでくるとすごい……!
当時売れていなくても、今僕が目一杯愛情を注いでいるから良いんです。
逆に、こんな最高のグレードが売れなかったなんて!と思っています。野太い1Gのエンジン音や、燃費も12Km/Lでターボのソアラより走るし、37、8年前のクルマにしては上出来でしょ?
――今後、ソアラとどのようなカーライフを送りたいですか?
日本全国をソアラで回ろうと思っています。というのも、日本人に生まれたのに、自分の国について知らないことが沢山あるなと気付いたんです。
例えば、クルマがギリギリ通れる道の先に、知る人ぞ知る温泉があったり、北海道に行った時は、テレビや雑誌ではあまり注目されない島でウニを食べたり、とかね。僕が知らない素敵な場所に訪れたかったんです。
――そういう場所は、どうやって見つけているんでしょうか?
実際に、そこに住んでいる現地の友達に教えてもらうんです。その友達というのは、SNSで知り合ったソアラ乗りの方や、旧車乗りの方です。ソアラが繋いでくれたご縁というやつですね。
このクルマに乗っていたからこそ出来た友達は、これからの人生でかけがえのない友達になるはずだと話してくれたシルバさん。こう考えると、全部ひっくるめてソアラが大好きだ! と、改めて気付かされたそうです。
次はどこの県に行こうか?とワクワクした声が、とても印象的でした。
(文:矢田部明子)
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