半世紀前のトヨタ カローラ(TE20)と楽しむ「第二のカーライフ」
4年ほど前に72年生産のTE20を購入されたkunsouさん。50代を過ぎて「昔の懐かしいクルマ」に触れあう日々。購入時のお話や故障のリスク、仲間と触れ合う楽しさなどをお聞きしました。
――現在のカローラにはいつごろから乗っていらっしゃいますか?
2020年の年末に契約し、21年の年明けに私が住んでいる高知に運んでもらいました。高知のネッツトヨタ販売店に「古い車輛ですが取り扱ってもらえますか?」と聞くと「大丈夫ですよ」と快く返事をしてもらえました。
古すぎるのでみてもらえないかと思っていましたが、「車検に受かる車輛ならばやります」と言われたので、すぐさま契約をしました。
――購入時の走行距離はどれぐらいでしたか?
72年式で、購入時は8万キロぐらいだったと思います。購入価格は車輛本体90万円でした。
当時、いろいろな旧車がネット上で売られていて探していました。私は昔、37レビンに乗っていましたが、レビンやトレノは価格が高かったので、トヨタ系のカローラを探していたときに、買える価格で出ていたので手付金を支払いました。
本体は見ず、「ここはどうなっていますか?」と聞くと、販売店が質問に関する画像を送ってくれました。私自身、昔から古いクルマに乗っており、「ある程度は仕方ない」と覚悟をしていたところ「普通に乗れます」と言われたので、即座に決めました。
車輛を送ってもらうと配線などの不備でウインカーがつかない、またオイル漏れなどもあり、ネッツトヨタ販売店にもっていくと「責任もってやります」と不備を修正してもらいました。
担当の方が全国からパーツを取り寄せてくれ、2ヶ月ほど整備をしてもらって路上復帰できるようになり、そこからは近所の工場に頼むようになりました。
――購入後、不備や故障はしましたか?
クラッチのリリースを交換したぐらいです。あとはキャブレターの調整などをショップにみてもらった程度で、故障などは一度もありません。
修理部品がないときに備えるため、同じ型の古いクルマを1台所有し、そこからパーツを抜き取っています。同じ車をもっている友人とも1台ずつ共有しています。
――カローラ以外に所有されているお車は?
2010年式のトヨタRAV4を持っており、このクルマでもちょくちょく遊んでいます。普段のメインはRAV4で、趣味で遊ぶときはカローラですね。ほかにKAWASAKIの250SSとHONDAのCB350などバイクを5台所有しています。
僕が若いころ、トヨタのソアラやレビンが新車で出てきましたが買えず、安い37レビンなどに乗って遊んでいました。
――昨今、旧車のブームが起きていますね
一番有名なハコスカのGTRなども、30年前は100万円前後の価格でしたが、今や何千万円もするように、旧いクルマの価格は軒並み上がっています。
自分たちの若いころは旧車という呼び方はなく、お金のない若い人が旧いクルマに乗っていましたが、今はお金持ちの道楽になっています。高級車と一緒ですね。昔は10年を超したクルマの車検は1年ごとでしたが、今は2年になっています。
――現在のカローラに乗りたくなった理由は何でしょうか?
若いころ乗っていたクルマやバイクに乗りたい、という気持ちは昔からあったのですが、家庭をもち、仕事でも起業をしたので、クルマに関する思いから一度遠ざかりました。
その時は趣味に使える時間がなかったのですが、最近は落ち着いて余裕が出てきたので、若いころの気持ちに火がつき、古いクルマやバイクを購入し始めました。
――旧車オーナーが集まる旧車会にも積極的に参加されていますね
私が住む高知には旧車に乗られている方が多く、毎月一度集まって楽しい話をしたり、メンバーと一緒にツーリングをしたりしています。情報交換の場としても最適ですし、何より月に一度は旧車を動かしたいじゃないですか。仕事が忙しい方も、メンバーとの集まりに向けて車をキレイにしたり整備に励んでいます。
そういう意味でも、いい気分転換になります。
――50代以上の方だと、マニュアル車に懐かしさを感じます
マニュアル車の運転は実に楽しいです。昔のクルマのエンジンは非力で最近のクルマのテクノロジーとは比較になりませんが、マニュアル車を運転すると、自分で操作をしているという実感がもてます。
普通の道路では50キロ、高速道路では100キロまでのスピードの加速が非常に楽しいです。あとは排気音も懐かしさを感じますし、クルマの中で音楽が聴けない点も昭和の時代を感じます。
前のオーナーがカーステレオを取り付けましたが、僕はほとんど使わないです。タコメーターを備えたぐらいです。
――旧車会で目にしたクルマで「このクルマいいなぁ」と感じるクルマなどありますか?
たくさんありますね。自分のクルマも好きですが、ほかのクルマを見ても魅力的なクルマはたくさんあります。宝くじにでも当たれば欲しいなぁ、と、目にするたびに感じます(笑)。
たとえばハコスカは「ザ・旧車」という代表的なクルマですし「乗ってみたい」と感じますが、私自身はどちらかといえばマイナーなクルマが好きなので、台数も少な目のクルマのほうが好みです。
――確かに、カローラあまり目にしませんね。当時は街にあふれていたファミリーカーでしたけど
そうなんです。高速道路は63年の名神高速の区間が最初で、69年に東名高速が全線開通しました。私が所持するカローラが生産された翌年以降、中央自動車道や関越自動車道などが次々と全線開通し、クルマの需要が一気に高まりモデルが細分化されていきました。
当時のクルマである僕のカローラはファミリー向けですが2ドアで、ちょっとスポーティな面もあります。どうやら当時の販売台数も少なかったようです。ネット上で検索しても、同じボディでも4ドアのほうが多く、僕と同じ2ドアセダンはほぼ見ないです。
――燃費はどれぐらいですか?
カスタムをしてから落ちましたが、リッターあたり12〜13キロです。1400CCの大衆車エンジンですので、それほど悪くはないです。
――街を走っていて眺められたり、声をかけられることも多いのではないですか?
年配の方の視線をすごく感じますね。信号待ちで止まっているときに、対向車から声をかけられることも結構あります。ガソリンを給油しているときも、スタンドの方やお客さんから「懐かしいクルマだ」などと話しかけられます。
――ロングドライブをする際に、故障などの不安は感じますか?
若干ありますが、今のクルマってボンネットを開けて点検しても、カバーがついていてわかりづらいんです。その点、古いクルマだとボンネットを開けての目視で「ここがおかしい」などすぐにわかります。
購入時、ディーラーさんに預けて悪い箇所はすべて交換しており、電気系統なども新しいパーツに換えました。構造が単純な分、故障はさほど気にしなくていいよう形にしました。
――これからもずっと乗りたいですか?
そうですね。手離したくないです。マフラーを換えるなどいろいろと手を加えているのも、一生付き合っていこうと思うからです。
お話をうかがいながら、当時のイメージが頭の中に湧いてきて、助手席に乗りたくなりました。マニュアル車を知る世代の方も、同じように思う。そんな気がしました。
【Instagram】
kunsouさん
(文・小川隆行)
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