父が運転していた三菱ふそう キャンター。小学校の頃に憧れた、あの風景、あの音、あの姿を今ここに
大型トラックに乗って仕事に出掛けるお父様が大好きだったというimaiさん。土埃をあげて、ブルブルと体を揺らしながら、毎日誰かのために走っていると思うと誇らしかったと、きっと少年の頃から変わらないであろう様子でインタビューに答えてくれました。
それから何十年の時が経ち、現在imaiさんは、お父様が乗っていたのと同じトラックを愛車として迎え入れました。
今回は、imaiさん×キャンターのお話をお届けします。
―――私もトラックが大好きです。幼い頃、ゴツゴツした石を乗せて働くトラックを何時間も見ていた記憶があります
分かります。僕の場合は親父が運送会社に勤めていてトラックを運転していたので、トラックがとても“身近な存在”だったということと、一生懸命働いている父の姿を思い出すから好きだったというのがあります。
当時、“トラック野郎”という映画が流行っていたんですけど、親父が主人公と同じトラックに乗っていたからものすごく自慢だったのと、それで迎えに来てくれるのがとてつもなくうれしかったのを覚えています(笑)。
でもね、クラスメイトはスポーツカー好きしかいなかったから、みんなと違うのが恥ずかしくて……僕は“トラックが好き”と言い出せなかったんです。
―――私もそうでした。もちろん、スポーツカーも大好きなんですけどね♪
子供の頃って、何となく色々と気にしちゃうことがあるんですよね。だから、こっそりトラックの本を買って読んだり、父の乗る大型トラックを眺めたり、会社に内緒で助手席に乗せてもらったりしていました(笑)。
ちなみに、父がトラック野郎の主人公と同じトラックに乗って家に帰ってきた時は、カッコ良すぎて直視出来ないくらい感動したのを覚えています。エンジン音も大きくて、これがまたカッコよかったんだなぁ。
―――ほかには、当時トラックがカッコいいと感じていた箇所はありますか?
車両の運行状況を記録する“タコグラフ”ですかね。今で言うところの、運行管理システムってやつで、スピードメーターの横にあったんです。中に時計が付いていたんだけど、ゼンマイ仕掛けになっていて「カチカチ」という音が鳴るんですよ。
僕はね、サイドミラーで父が荷下ろしする姿を見ながら、このカチカチいっているのを聞くのが最高に好きでした。なんというか、時間に追われながら働くというのが“男の職場”って感じがしたんですよね(笑)。
ちなみに、今僕が乗っているキャンターにも当時のタコグラフを付けています。やっぱり、トラックといえばこれがなくちゃね。
―――写真を拝見しましたが、これもお父様が乗っていたモデルですか?
そうです。昭和57年式の、全く一緒のモデルになります。小学4年の頃だったかな?職場に新車が入ってくることになったらしいんですけど、なんと親父が乗ることになりましてね。で、運転することになったのが、この2トンのキャンターだったというわけです。
―――トラックって基本的に消耗品だから やれている個体が多いのに、こんなに綺麗なのがよく見つかりましたね。
それがですね、メルカリを見ていたら北海道の旭川から偶然出てきたんですよ。
―――メ、メルカリ!?
そうなんですよ。僕も大丈夫かなとは思ったんですけど(笑)、走行距離4万km、夏のみ使用で状態がすごく良さそうだったから、これを逃したら出会えないと感じて直ぐに飛行機で実車を見に行きました。
実際、穴も空いていないし、サビもちょびっとだけで、何も手を施さなくてもすぐに公道を走れるくらいの大当たりの個体でした。
話を聞くと、ストーブの業者さんが軽トラとトラックを間違えて購入したらしく、使わないから売りに出したということでした。元々のオーナーは、おそらく趣味の車として乗っていたのでは?と仰っていましたね。
―――メルカリで出品やら、軽トラとトラックを間違えて購入とか……何だかエピソードが渋滞してます(笑)
そこがまた面白いでしょう。船で送ってもらって、そこから1番最初に向かったのは実家でした。なぜなら、親父に1番先に見せたかったから。
―――お父様の反応は?
「お前は何やってんだよ〜!いやぁ、懐かしいなぁ!」って、すごく喜んでいました。ぶっちゃけ、キャンターを購入して1番うれしかったのは、この瞬間でしたね。自己満足かもしれませんが、小さい頃の僕と親父の思い出がたくさん詰まったクルマを親父に見せられたということに幸せを感じたんです。
クルマに求めるものは人それぞれだと思いますが、僕の場合は“大切な思い出”を求めているのかもしれません。だからこそ、あの頃のオリジナルのまま乗りたくて、塗装をしたり、ペダルゴムやオイル交換など消耗品を換えるくらいにしています。
もちろんデコトラなどのトラックも好き何ですが、このキャンターに関しては、親父が運転して、僕が助手席に座っていた、あの頃のキャンターのままが良いなと思っているんです。
これからも、思い出を大切に乗っていきます。走行距離が増えれば増えるほど、思い出が増えていくような気がしますから。
そう話してくれたimaiさんは、キャンターで走ると気分が落ち着くと話してくれました。“何のためにクルマに乗るのか?”は、人それぞれ。それこそ、自分のライフスタイルによってどんどん変わっていくだろうし、クルマ好きにとっては永遠のテーマになりそうです。これからの時代は特に。
(文:矢田部明子 写真:imaiさん提供)
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