車中泊で全国を巡る絶景写真家が選んだオレンジ色の秘密基地・スバル フォレスター
オレンジのボディカラーの「フォレスター」に一目惚れ
「自然相手の撮影には、どんな悪路でも走破できる四輪駆動のマイカーが、必要不可欠の相棒なんです」と、早朝の雪が積もる湖畔に来てくれたのは、風景写真家として活躍する「今浦友喜」さん。
2016年からフリーランスのカメラマンとして風景写真撮影の活動を本格的にはじめ、富士フイルムのカメラスクール「アカデミーX」の講師としても活躍しています。風景写真家として全国を飛び回る愛車と、そのフィールド撮影の現場を見せていただきました。
今回お話をうかがうために、絶景写真向けの撮影ポイントとして選んだのは、富士五湖のひとつとして知られる精進湖(しょうじこ)。富士山と湖、朝日、桜、紅葉などを絡め、季節を通じて富士山の絶景を見ることができるポイントです。富士五湖では一番小さい湖で、少し高台となる周遊道路側から、湖全体を見渡せる点でも人気があります。
湖畔の公園は、前日に降った雪で一面の銀世界。
そんな状況でも、愛車のスバル「フォレスター X-BREAK アドバンスドセイフティパッケージ」は、四輪駆動ということもあり、雪の坂道でも不安なく安定してグングン進んでいきます。
「前に乗っていたクルマは四輪駆動じゃなかったので、冬季に雪国に向かうには不安があったんです。このクルマに乗り換えてから、雪でも安心して向かえます」
2015年から販売された、アイサイト バージョン3とレーダーシステムを使った後側方警戒支援機能も搭載しているモデル。特徴的なボディカラーの「タンジェリンオレンジ・パール」が目をひきます。
「この色に一目惚れしちゃったんですよ! このタンジェリンオレンジ以外ならグレー系かな……、とも思っていたのですが、やはりオレンジ色に惹かれて、見つけたら速攻でショップに買いにいってました」
なんとなくフォレスターに買い換えようかなと、日々夢想していたところ、インターネットの検索で偶然発見して、ショップに直行して即購入してしまったのだとか。なかなか素早い行動力です。購入は2019年のことだそう。
「これまでスバルというメーカーが雪道に強いことは、友人などから聞いていました。冬に雪国に行くとスバル率が高いことも肌で感じていたんです。やはり道を選ばない四輪駆動であることは、選ぶときの大きなポイントになりました」
またスバルのクルマといえば、運転支援システムの「アイサイト」が搭載されていることで選ぶ人も多いと聞きます。前車に追従する、クルーズコントロールは長距離走行時に便利そうな機能ですよね。
「もちろん『アイサイト』が搭載されているモデルだということも、大きなポイントになっています。ネイチャー系カメラマンとしては走行距離が少ない方ではあるんですが、長距離運転が格段にラクになりました。ホントに選んでよかったと思っています」と、フォレスターに移動手段としてかなり満足している様子。
写真機材は取り出しやすさ優先で、とにかく背負って歩き回る
「カメラなど撮影用の機材は、ラゲッジではなくすべて助手席に置くようにしています。基本的に車中泊をしながら移動をしているので、ラゲッジはベッドや生活用品を置くスペースになっているんです」
カメラ機材は、使う機材を背負って歩くカメラザックと、予備のレンズなどを入れるカメラバックに分けて載せているそうです。
「予備レンズと分けて積載して、その日の撮影で使う分をセレクトして持ち歩くようにしています。カメラザックは撮影中に立ったままでもレンズをすぐに取り出せるものを使ってます。基本的にめんどうくさがりなんですね」
インスピレーションがわいたときに、すぐにレンズが交換できることが重要だそう。このロープロ「フリップサイド500AWII」は腰のハーネスを起点に前に持ってくることで、ザックを地面に下ろさずに内部の機材にアクセスできます。使用しているカメラは、富士フイルムのミラーレスカメラと交換レンズ一式です。
「風景写真は、意外と時間との戦いというか、思っているより早く刻一刻と状況が変わり、光の状態で見え方が変化してしていくんです」
そう言いながらカメラを構え、雪の林を散策するように歩いていきます。精進湖の湖面に昇ってきた太陽が反射してキラキラと光りだしました。湖面の光はどんどん増していき、少しずつ空に青みがかかってきました。凛とした早朝の湖畔で、静かなシャッター音が響いています。
今浦カメラマン撮影の作例
撮影中はほとんどが車中泊。車内は生活のためにさまざまな工夫が
「撮影旅行中は、車中泊が大好きなので、冬でもクルマの中で寝泊まりしています。子供の頃の秘密基地みたいな感覚がとにかく好きなんですよ。なるべく撮影地に近い場所にいたいということが第一にあります。天気や光の様子が、ホテル内にいるよりもダイレクトに分かりますし、何にせよ移動や撮影時間の自由度が高まります。移動を迅速にしたいのでテントを張ることもないです」
車中泊がしやすいように、いろいろと工夫が見られます。前席と後席の間を埋める板を渡してフラットな空間を作るなど、DIYも得意な様子。窓はフォレスター用のシェードを全面に張っているとのこと。
「最初は寝袋を使っていましたが、寒さ対策で結局は布団を複数枚かけています。ポータブル電源と電気毛布もあるので、今日みたいな雪の降る真冬でもなんとかなってしまいます。好きなことをやっているので、苦労とは感じていないですね」
雪の中での車中泊はなかなか想像つかないのですが、ウレタンマットを敷き詰めたり、布団を重ねたりしてしのげているようです。ポータブル電源+電気毛布も効いているようです。
車中泊のフットワークが軽いというのは、とてもよく分かります。筆者はカメラマンの助手をやっていた頃もあって、風景写真のストックフォトや野生動物の撮影などの同行経験もあるのですが、そのときもだいぶ似た状況でした。クルマであれば、自然のなかで臨機応変に動けるし、待機するのにも便利なんですよね。
乗鞍岳の駐車場(現在はマイカーでは直接行けませんが)にて、悪天候で当日の撮影に失敗した夕刻に疲れてぼや~としていたら、急に目前で雲海が真っ赤に染まりだし、カメラマンと無言でお互い目を合わせて、慌ててトランクにしまってしまった4×5のビューカメラを組み立て、興奮しながら撮影した記憶がよみがえりました。
あのときの景色以上の赤く染まった雲海は、以後何度か乗鞍岳に行っていますが、お目にかかったことはありません。
ガンガン歩き回って、時にはしゃがんだりして、さまざまな視点からのカットを撮影していきます。実際に歩き回って視点を変えて見てみることが、とても重要だといいます。
「風景写真を撮るようになったのは、自然と触れあうのが好きだったからです。自然のちょっとした営みや変化でも、見つけるとうれしくなりますね。美しい自然は一期一会で、以前あった風景にはもう会えないかもしれません。そういったシーンを残せるというのが、風景写真をやっていてよかったと思う部分です」
「最初はスマホで撮影をしても、まったく問題ありません。手持ちのカメラで自然に向かっていって、写してみてください。きっとさらに山や川、雲、植物がもっと好きになるハズです。機材を揃えていくのは、自分なりに限界が見えてからでいいです。望遠やマクロなどレンズによって撮影できる風景が変わりますから、そういった欲求が出てきてからでも構いません。まずは、とにかくクルマで出かけて外の自然の美しさを体感してみてほしいです」
これからオレンジ色のフォレスターでどんな景色に出合い、美しい作品を見せてくれるのでしょうか。今浦さんは、さまざまな媒体で活躍中です。ぜひ今後の作品に注目してみましょう。
次回は、今浦さんと一緒にデジタルカメラマガジンの編集長をまじえて、風景写真の魅力についてもっと深く語ってもらいます。
風景写真家 今浦友喜 (いまうらゆうき)さん
Instagram「yukima_photograph」
Twitter 「@yukimaphoto」
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