人気のオートキャンプを無理なく楽しむコツを達人たちから聞く

一大アウトドアブームの今、家族や友達とキャンプに挑戦したいと思っていても、まったくの初めてだと、どこから手をつければよいのか……。キャンプ用品は多種多様。季節で使い分けたり、本格的な雪山向けがあったりと専門性の高い部分もあって、凝り出すとキリがありません。初心者に優しく、しかも長く愛用できるものを初見で選ぶのは難しいでしょう。

今回はアウトドアショップ「WILD-1(ワイルドワン)」厚木店を訪ねて、アウトドア初心者がクルマを使ったオートキャンプで揃えるとよいオススメの用品を教えてもらうことにしました。

「WILD-1」は、初心者にも優しいアウトドアライフストア。コスパ抜群のオリジナルブランドも展開しているのも期待できます。厚木店キャンプ売場担当の紫芝みどりさんに、頑張らずに気軽に行けるキャンプ用品選びを指南していただきました。

まずは楽しめそうなところから手を付ける。「最初に全部買わなくてもいい」

最初の一泊までに知っておきたいこと

  • 用品の最低予算:約7~8万円
  • 最低限必要な用品:テント(3万円)、シュラフ(1.3万円)、2口バーナー(2.3万円)、調理器具
  • 食器(家庭の流用もOK)
  • 時期:春・秋(気温がちょうどよい。夏は暑すぎることも多く虫が多い)
  • 地域:平地(気温差が予想しやすい)、車でアクセスしやすいオートキャンプ場(車をサイトに横付け可能。荷物運搬が楽)
  • キャンプ場の選び方:設備が整っている(水場、炊事場、トイレ、シャワーなどの設備があれば快適)、スーパーかコンビニが近くにある(食料や忘れ物の買い出しに対応できる)、広大な敷地もしくは予約可能(満員で入れないことを防ぐ)、初心者はテントを張らずにバンガローやグランピング場もアリ。用品もレンタルで試して慣れてみる。

さらに今回は、アウトドア・コーディネーターとして活躍するキャンプの達人・小雀陣二さんにも応援に来てもらいました。
小雀さんはアウトドアメーカー勤務の経歴を持ち、アウトドア誌「BE-PAL」でページを担当したあとフリーに転身、キャンプ飯のレシピ本を執筆したり、カヤックのツアーを行なったりと、まさにアウトドアの達人。この布陣なら、しっかりしたアドバイスがもらえるはず。

小雀陣二さん
「最初から全部を揃える必要はまったくないんです。テントはレンタルするとか、バンガローを借りてもいいし、家庭用の調理器具をそのまま持ち込んでOKです。まずはできそうなところから徐々に手をつけていってください」。

GAZOO編集部
「慣れないうちは、あまり気負わないことが一番だそう。泊まる場所にバンガローやグランピング場を選んで、料理だけをアウトドアで楽しむというのも、ぜんぜんアリですよね。」

実際にキャンプギア選んでみた

キャンプのギアと言うと、まず思い浮かぶのが「テント」でしょうか。これがまた、マイベストを見つけるのが難しいアイテムです。

  • さっそくテント選びから。テント選びはけっこう難しいんですよね

小雀陣二さん
「テントはさまざまなスタイルがあるんです。例えば地面を覆わないでそのままにしておくフロアレスなんかも実は便利です。また人数によっても大きく変わります」

WILD-1 芝さん
「そこでお勧めするのが、ワンポールタイプの4人向けのテント。中央に1本のポールを立てるだけで設営できる三角すい形をしたテントです。」

WILD-1オリジナルブランド「tent-Mark DESIGNS(テンマクデザイン)」の4人向けテント「サーカスST」(価格:26,400円)と、合体しても使えるタープ「サーカスSTコネクトヘキサ」(価格:19,800円)という組み合わせ。別売りで専用のメッシュインナーやグランドシート、マットなどもあるので、必要を感じたら追加していけばいいのです。

WILD-1 芝さん
「4人向けくらいが一番使いやすい大きさです。中央のポールを1本立てて、周囲を押さえるだけなので設営は簡単です。必要に応じて、グランドシートも揃えたり、インナーで蚊帳などを付けることができ、内側のアレンジでバリエーションが出せるので、慣れてきてからも長く使えると思います」

小雀陣二さん
「ワンポールテントは、設営がしやすいのと風に強いのが特徴です。周囲にペグをしっかり打っておけば、強風にも耐えられます。テントはベッドルーム。タープはリビングだと思ってください。極端な話、タープは無くても寝られますが、あると食事や団らんがしやりやすくなります。突然の雨風で慌てることもありません」

小雀陣二さん
「実は下に敷くマットやパッド類の方が重要なんです。オートキャンプであれば、荷物の重さは心配ないので、なるべく厚めのものを選んでください」

GAZOO編集部
「寝具はやはり寝袋(シュラフ)が必須ですが、寝袋だけでなく、実際に寝るときにはマット類をしっかり選んだ方がよいとのことですね」

WILD-1紫芝さん
「コットという折りたたみのベッドにすることもできます。こちらはテントをフロアレスにしたときに便利ですよ。椅子代わりにもなります」

快適な夜を過ごすには、どうやら寝袋の下に敷くものにこだわった方がいいみたい。地面からの熱や冷気の影響を受けなくなるし、地面が固くて眠れないという苦痛もなくなります。

こちらもWILD-1オリジナルブランド「Qualz」の「SCインフレーティングマット シングル」(価格:7,700円)を選択しました。エアバルブを開けるとふくらむオートキャンパー向けの半自動膨張式マット。5cmと十分な厚みのウレタンフォーム入りです。

なお、寝袋は対応温度が設定されているので、季節によって合わせる必要があります。

WILD-1 紫芝さん
「シュラフ選択は初心者が悩みがちです。3層構造になっていて、増減でさまざまな温度に対応できるコールマンの『マルチレイヤースリーピングバッグ』(WILD-1厚木店価格:13,200円)が、最初の1つとしてお勧めです」

GAZOO編集部
「なるほど! これなら悩まず現地の気温に合わせられますね。寝ているときに寒過ぎるとどうしようもないので、暑かったら減らしていく使い方はありがたいですね。」

  • シュラフの種類はたくさんありすぎて選ぶのは大変

調理は頑張り過ぎて薪を使わずに、2口タイプのガス調理台をサクっと用意しちゃうといいみたいです。

意外と忘れがちですが、調理台もあると便利。このセットで、普段の台所と変わらない感覚で料理できます。薪は想像以上に火力の調整が難しく、調理に使うなら扱いにかなり慣れてからがよいようです。そのため、焚き火は暖をとったり火の灯りを楽しむために使うのがよいとのこと。

WILD-1 紫芝さん
「机と椅子は大きいので、折りたたんだ際の収納のしやすさが重要です。購入時には収納サイズを確認してください。クルマといっても、コンパクトになれば、それだけたくさん詰むことができますので、なるべく小さく収まる方がよいでしょう。椅子は人数分用意しましょう」

小雀陣二さん
「Qualz リーンチェア(価格:9,680円)は、リクライニング体勢と(食事などの)前屈み体勢を体重移動で切り替えることができる優れモノですよ。」

  • Qualz「リーンチェア」

    Qualz「リーンチェア」リクライニング時はゆったりくつろげる

小雀陣二さん
「暗くなったら、ぜひ灯りや焚き火を取り入れて楽しんで欲しいですね。焚き火はこれぞキャンプという醍醐味が味わえますし、慣れてきたらお湯を沸かしたりBBQなど料理にも活用できたりしますが、最初は純粋に火を愛でることを楽しんでみてください。けっこうハマりますよ!」

小雀陣二さん
「薪で火を焚けば、「これぞキャンプの夜」という感覚を味わえます。でも、焚き火をする場合には、必ず焚き火台を用意しましょう。直火は禁止されていることが多いんです」

  • キャンプでは日が暮れると真っ暗。さまざまな灯りを積極的に取り入れて楽しんでみて

初めてならコテージやグランピングもあり。「最初から頑張りすぎない」

ここまで揃えれば、快適なオートキャンプが楽しめそうな予感。

はじめてなら整備の行き届いているオートキャンプ場がいいですね。キャンプサイトにクルマで乗り入れて、クルマの横にテントを張ることができます。

たとえば首都圏からなら、富士山麓の「ふもとっぱら(https://fumotoppara.net)」とか「成田ゆめ牧場ファミリーオートキャンプ場(https://www.yumebokujo.com/camp.html)」などが代表的な存在です。

寒さを乗り切るには工夫が要るので、慣れないうちの冬季は避けましょう。平地でも日が沈んだあとは氷点下になる場合がありますし、知らずに夏用の寝袋を持って出かけてしまうと寒くて眠れないとか、凍えて危険な状態になることも考えられます(前述のとおり、寝袋には使用温度の目安が設定されています)。慣れないうちは、春か秋がベストです。夏も悪くないですが、意外とテント内の暑さ対策は難しいですし、虫も多いので悩まされます。

キャンプサイトでは、マナーよく過ごしてください。隣のサイトまで聞こえるような大声を出したり音楽を流したりしない、夜間・早朝は大きな音を出さない、ゴミは基本持ち帰る(ゴミ捨て場がある場合は分別などの指示に従う)、直火が禁止されているところでは焚き火台を使う、日が暮れてから騒がないとか、ゴミの扱い、施設の利用方法、夜間のクルマ出し入れなど、キャンプ場のルールも確認して従ってください。

繰り返しますが、最初は足りない用品をレンタルしたり、グランピング場を利用したりしてもいいんです。できる範囲で、アウトドアを楽しんでみましょう。今回選んだギアでさっそく、キャンプに行ってみたいと思います。

小雀陣二さん
「とにかく最初から頑張り過ぎないこと。できそうな部分だけ揃えて楽しんでみてください。テントを張るだけにして、料理はお湯を沸かすだけでカップラーメンとかレトルト食品でも、アウトドアで食べてみると楽しいことに気がつくはずです。そこから、自然のなかでやってみたいことを増やしてみるとよいでしょう。キャンプが気持ちよく楽しめるシーズンは春と秋です。まずはこのシーズンを選んでチャレンジしてみてください」

WILD-1紫芝さん
「用品選びは経験がないと迷って当然なので、どんどん店員に聞いてみてください。テントの張り方など使い方のコツなんかも聞いてください。また、コロナ禍も収まってきたら、定期的に使い方の講座や体験イベントも開催していきますので、ぜひ参加してキャンプ仲間と交流してみてください」

 

アウトドア・コーディネーター小雀陣二さん

近著の「焚き火料理の本」(山と渓谷社)では、56の絶品焚き火料理のレシピを執筆。他にも、沢山の書籍を執筆し、メディアにも登場する。アウトドアの達人として、ランクルを相棒にアウトドアコーディネータというお仕事をしている。クルマに求めることは、信頼性と荷物がしっかり搭載できることと、パワー。神奈川県の三崎で週末オープンする小さなカフェ雀家で料理をふるまっている。

小雀さんが絶対に各個人で揃えておいて欲しいというのがヘッドランプ。お勧めは国産ブランド「マイルストーン」のLEDヘッドランプ。暗くなってからの作業が格段にはかどる。なかでも「MS-B5」は、手をかざすことでオンオフができる

「WILD-1」厚木店キャンプ売場担当・紫芝みどりさん

どういったキャンプをしたいかお教えいただければ、お勧めの商品をアドバイスできます。ぜひ声をかけてください

MORIZO on the Road