こんな「自分だけの部屋」がほしかった! ホンダ N-VANを車中泊仕様に仕上げていく楽しみ
「何でも好きにできる自分だけの部屋」。車中泊も快適さを求めて
深田さんは開口一番、「子供のころ、自分専用の部屋がなくて、なんでも好きにできる部屋を持つのが夢だったんですよ。それを大人になって、自分のクルマで実現している感覚なんです」とつぶやき、子供のように目をキラキラさせながら愛車のリアゲートを開けて、積んでいた荷物を出し始めました。
深田さんのお仕事は、フリーランスのライターです。八重洲出版がかつて出版していた「CARBOY」というクルマ趣味系雑誌の編集長をしていた経験から、メインはクルマの記事を執筆しているのですが、自身がおもしろそうと感じたコトであれば、なんでも好奇心旺盛に首を突っ込んでいくスタイル。主に趣味系の分野ですが、おもしろくてハマっていくと、どんどん突き詰めていってしまうそうで、その1つが車中泊です。
「車中泊って基本的には専用のギアはないんですよ。クルマ用とかキャンプ用、アウトドア用あたりを工夫して使ったり、たまには自作してしまったり。既製品がピタリとうまくはまるとうれしくなりますよね。そんな感じで揃えてたら、どんどん楽しくなってしまって……」
愛車のホンダ「N-VAN +STYLE FAN・ターボ Honda SENSING」は、ハイルーフタイプで四輪駆動、そしてターボ。特にターボであることは譲れなかったそう。マニュアル(6MT)にはターボの設定がなかったのでCVTを選択したとのことでした。2018年の発表時に「俺の理想のクルマはコレだ!」と予告サイトを見て即ディーラーで予約を入れたとか。ボディカラーの「ガーデングリーン・メタリック」は、新車発表会で展示されていて気に入ってしまったと、購入当時を振り返ります。
N-VANを選んだ大きな理由は、ミニバイクを乗せて運びたいというのがきっかけでした。レースとかではなく、旅先の足として使いたかったから。それが、今は健康志向もあってMTBタイプのe-bike(電動アシスト自転車)に切り替わったとのこと。
サンダーバード2号のように、コンテナを載せ替えることでさまざまなタイプに変化できるのがコンセプトだそうで、用途に合わせたギアを入れたボックスを自宅にたくさん用意しておいて、その日の目的によって載せ替えるという運用をしています。取材当日は、炊事道具関連とカーサイドシェルター関連を入れた2つで、オートキャンプ向けの組み合わせ。確かに、ボックスの中身を都度入れ替えるよりも断然ラクですよね。スキー用とか釣り用とか、ボックスの構成を考えるだけでも楽しそう。
市販品もDIYも取り入れて、工夫できるポイントは随所に
カーゴ部の上に吊しているのは、軽トラの運手席頭上で使う物入れの網を流用。ハードカーゴの「ルーフネット」という商品です。純正オプションで棚も用意されているのですが、こちらの方が簡単に取り外しできて、形状が不定形なので頭をぶつけても痛くないのがお気に入りポイント。
カーゴ部にはもともとオプション取り付け用のネジ穴があるのですが、ここにボートの係留用フックを縦にびっしり付けています。これでツールボックスなど、さまざまなモノが簡単にかけられるようになりました。また、カーゴ部には、折りたたみ式の机を取り付けています。これは、N-VAN専用としてDIY製作されたものをネットオークションで購入したそうで、専用を謳うだけあってピッタリサイズです。
「N-VANはモノを載せまくるので、フラットにするために床板を敷くのは基本です。N-VAN用に切り出された板が売っています。バイクや自転車を乗せるので、発着をイメージして、航空母艦の飛行甲板に似せた塗装をしてもらっているのがこだわりですね」
ほかにも、クルマの内側からラゲッジドアの電磁ロックを解除するスイッチを、DIYで装着しています。車中泊していると、車内側からロックを解除することが多々あるそうで、荷物が当たらないドアの最上部にスイッチを取り付けています。
オートキャンプ場ではタープやシェルターで居住空間を拡張
クルマ周辺のスペースに広く展開できるRVパークやキャンプサイトでは、N-VANの側面にオガワ(小川テント)の「カーサイドシェルター」を取り付けて、同じくオガワの「タフメッシュテーブル」と「ローチェア」の組み合わせでリラックスするのが、お気に入りだそう。
「テントでいうと、カーサイドシェルターが前室でリビング、N-VAN車内が寝室という使い方になりますね。寝るときにジャマになるモノはシェルター部分に置いておきます。PCでの執筆作業も快適です」
カーサイドシェルターのなかに入ってみましたが、一般的なテントやタープよりも高さがあるので、使い勝手がよさそうです。これで大自然のなかでリモートワークなんて、気分転換に最適ですよね。自分もやってみたくなりました。筆者の自宅にはウッドデッキがあって、気分転換で外に出てPC仕事をしたりするんですが、いかんせん住宅街なので、どうも盛り上がりません。キャンプ場なら、開放感もあって大自然を感じることができそう。
「でも実は、自然のなかが好きとか、キャンプがしたいとか、そういう趣味はまったくないんです。仕事で全国を飛び回っているので、その移動中も車中泊で思いっきり楽しんじゃおう、というノリですね。なんせラクですし」
なんというか、お金をかけないDIY一辺倒ではなく、かけるべきところにはしっかりとコストを割いて、心底カスタムと車中泊を楽しんでいることが伝わります。車内に敷く板に空母風グラフィックを入れたり、カーサイドシェルターまわりを老舗ブランドのオガワで統一したりと、個性とこだわりが感じられますね。
「専用カスタマイズパーツを使わないでも、これだけ楽しめるんだ、というのを見せたいという思いもあったりするんですよ」と、まだまだN-VAN車中泊カスタムは未完成とのこと、最終的にどんな仕上がりになるのか楽しみです。
ライター 深田昌之さん
八重洲出版がかつて出版していた「CARBOY」というクルマ趣味系雑誌の編集長をしていた。その経験から、メインはクルマの記事を執筆しているが、自身がおもしろそうと感じたコトであれば、なんでも好奇心旺盛に首を突っ込んでいく性格。主に趣味系の分野ですが、おもしろくてハマっていくと、どんどん突き詰めていってしまうそうだ。
(文:村上俊一 写真:堤 晋一)
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