輝きを放つスポーツモデルのイルムシャーで「日本中をまわってピアッツァの魅力を伝えたい」
いすゞ車、FR、MT。ドライビングシューズを履いて颯爽と現れた清田さんは、妥協なしのクルマ選びをしている“こだわり屋さん”だ。
「乗りたいと思える日本車は“いすゞ"のクルマだけだったんです。大学生から社会人になったばかりの頃はジェミニに乗っていて、PF60とPF50の2台を乗り継ぎました。PF60の方は、大学当時に“いすゞスポーツカークラブのサーキット走行会”で潰してしまってね。まぁ、今となっては良い思い出?になりました(笑)。田舎のワインディングをシビックやレビン乗りの友人と走ったりもしていたなぁ」
青春時代をジェミニと共に過ごしたという清田さんは、その思い出を懐かしむように語ってくれた。
そんな清田さんの現在の愛車は、大学時代からずっと乗りたかったという、いすゞ・ピアッツァ イルムシャー(JR120)だ。
「その当時もらったカタログを、今でも持っているくらい乗りたかったんだけど、ジェミニの後はずっと欧州車に乗っていて、そろそろ探そうかと思った頃には海外での仕事が決まってしまったので、結局乗れずじまいになってしまいました。
でも、どうしても諦めきれなくてね。海外赴任時代から、程度の良い個体をゆっくりネットで探していたんですが、なかなか納得のいく個体は見つからなくて…」
そんな清田さんに転機となる出会いが訪れたのは、帰国後にとあるショップを訪れたときのことだった。走行距離3万9000kmで、オリジナルをほぼキープしていたその個体は、1989年製とは思えないほど綺麗だったという。
「前の2人のオーナーに恵まれていたというのが大きいでしょうね。2人目のオーナーはエアコン付きの車庫に保管していたということでしたから。
それまでに何度かピアッツァを見てきましたが、人が乗り降りする際の摩擦で、オリジナルのバケットシートは端がボロボロになっている個体がほとんどだったんです。そんななか、このピアッツァはそれも無く本当に綺麗で新車のようでした。こんなの、放っておくわけにはいきませんよ」
こうして念願だったピアッツァ、しかもドイツのイルムシャー社といすゞの共同開発によってチューニングされたスポーツモデルを手に入れた清田さん。
セミリトラクタブルヘッドライトと角目4灯を組み合わせた特徴的なフロントフェイスをはじめ、フロントエアダム、ウイングなどでモデファイされ、よりスタイリッシュでスポーティーになったイルムシャーのデザインに惚れ込んでいるという。
「この時代にフラッシュサーフェス化を図りCD値0.36を達成した機能的デザイン、スーパーカーのように手前に開くフロントボンネット、今はなきセミリトラクタブルヘッドライト、スマートな2本足リアウイングなど、カッコ良すぎて販売していたいすゞにも敬意を表したいくらいです」と、口調に熱がこもった。
また、チューニングされた逞しくしなやかな足回り、ホールド性の良いレカロのバケットシート、さりげなく『irmscher』のロゴが入ったMOMOの4本スポークステアリングなど、見た目も走りも清田さん好みだったという。
ほかにも、走行中にステアリングから手を離さずに操作が可能な先進的サテライトスイッチは、機能的かつドライバーのことがよく考えられていて、他車にはないお気に入りだという。
イコライザー付き純正オーディオとシフト周り、ダッシュボードは近未来的なデザインで、サテライトスイッチを含めてまさに戦闘機のコックピットのようだ。
「スポーティーグレードとなるので、乗り味はややハードです。港北ジャンクションから第三京浜上りに入る合流カーブを2速、3速と後輪にトラクションを感じながら加速していく時なんかは最高の気分ですね。
トヨタのレビンなどとは少し路線が違って、ピアッツァは大人の『Fun to drive』なクルマという感じでしょうか。僕のピアッツァはアナログメーターなんですけど、アナログメーターとサテライトスイッチの向こう側の景色を見ながら走らせるのは至福のときですね。アクセルを踏み込めば、キーンというサウンドと共にターボが効き始め、MTとFRの楽しさを教えてくれますよ」
これまでも愛車として迎え入れるのは後輪駆動のクルマばかりだったという清田さん。
トラクションのかかり具合、カーブでの踏ん張り、テールスライド感をダイレクトに体全体で感じられるところなど、“クルマを操っている”という感覚を1度味わってしまったら、虜になってしまうこと必至だという。
「僕がこうなったのは、父の影響が大きいのかな。子供の頃に、スーパーカーのプラモデルを一緒に作ったり、見に行ったりしたんですよ。
FRはエンジンからプロペラシャフトを介して後輪を駆動するので、運転席と助手席の間のセンターコンソールが高く盛り上がりますよね。その高い位置に短いシフトがあるのが、デザイン的にも機械的にもカッコいいと子供ながらに思っていました。
あとは、高校生の頃に私有地でMTの運転を教えてもらったこともありました。砂利の路面で父のカローラHT(TE37)の後輪を滑らせながら運転した楽しい記憶は、今でも鮮明に覚えています。この時、クルマは後輪駆動に限る!と感じたからこそ、FRを選んでしまうのかもしれないですね」
そんなピアッツァのコンディションを保つために『SOP(Slave Of Piazza : ピアッツァの奴隷)』というオーナーズクラブに所属してメンテナンス情報などを交換しているという。
また、少なくとも2週間に1度は高速を走らせて乗った後の目視点検と洗車、そして走行距離3000kmごとのオイル交換も欠かさずに行うなど、まさに主君に忠義を尽くすかのような献身ぶりだ。
「徹底的に綺麗にしながら、どこか変な箇所がないかも確認するようにしています。BBSホイールのメッシュにタオルと指を突っ込んで綺麗にしていたら、そこまでやるのはすごいと驚かれたこともあるくらいです(笑)。いすゞプラザを訪問した時には、展示しているアッソ・デ・フィオーリ(ピアッツァのプロトタイプ)よりキレイだと言われ、とても嬉しかったのを覚えています。
結論として言えるのは、外観・内装の美しさは言うことなし!ということですかね。当然走りも(笑)。磨いて大事にしているから、僕の想いが伝わっているのでしょう。今まで大きく機嫌を損ねたことはありません」
そう話す清田さんを見ていると、このピアッツァは本当にオーナーに恵まれていると感じる。そして逆も然りで、オーナーにそうさせるほどの魅力を持っているクルマなのだ。
「仕事をリタイアしたら、妻とゆっくりカーイベントや温泉巡りをしたいですね。リアシートも広く、以外と実用性も高いんですよ。コロナが落ち着いたら家族4人でグランピングもいいかな。いずれにせよ、日本中の色々な場所を訪れ、ピアッツァの魅力をアピールしたいですね」
そう答えながら、清田さんはタオルでピアッツァのボディを拭いている。海岸沿いでの撮影だったため、細かい砂が付着していたのが気になったのだろう。
ピアッツァの美しさは、今後もこうして保たれるのだ。清田さんの柔らかな愛情に包まれて。
『GAZOO愛車広場 出張撮影会 in 千葉市』
取材協力:フェスティバルウォーク蘇我
(⽂: 矢田部明子/ 撮影: 平野 陽)
[GAZOO編集部]
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