運転する楽しさも自分らしさを表現する面白さも教えてくれたロードスターとの歩み
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マツダ・ロードスター(ND5RC型)
クルマ好きの両親の影響から、自身も学生の頃からクルマに興味を持つようになったという『Nao』さん。運転免許を取得してからしばらくの間は、運転の練習用にと軽自動車に乗っていたというが、スキルが向上していくつれ、物足りなさを感じ始めてきたそうだ。
「もう少しスポーティなモデルに乗りたくなったんです。その後、家族会議をした時に父親から“こんなクルマがあるよ”って、勧められたのがマツダのロードスター(ND5RC)でした。2ドアで2人しか乗れないし、屋根はソフトトップ。荷物もあまり載せられないけど、クルマの形がキレイだなと思いました」
「父は私が生まれるずっと前にフェアレディZに乗っていたこともあってか、私がスポーツカー好きになったことを喜んでくれました。以前からロードスターは運転が楽しいクルマだという話を聞いていましたが、数日後にディーラーで試乗したところ想像以上の楽しさで、コレだ! と即決したんです」
ちなみに購入した車両のボディカラーはブラック。これは『カワイさより、カッコイイ雰囲気を持ったクルマに乗りたかった』というNaoさんの好みで選ばれたもの。2015年にND型が発売開始となった当初は、ブラックのロードスターに女性が乗っている姿はまだ珍しかったためか、信号待ちで停まっている時など「ジロジロ見られて恥ずかしかったです」とのこと。
とは言え、ロードスターの美点とされているナチュラルかつ軽快な操作フィーリングは、そんなささやかな悩みを忘れさせるほどの魅力に溢れ、通勤の道中さえ快適な時間に。
さらに、SNSを通じて知り合ったロードスター仲間と共に北九州や熊本、山口と主に県外各地で行われるオフ会やミーティグにも出掛けるようになるなど、行動範囲は一気に拡大。購入から5年の時間が過ぎるも、途中で飽きを感じたり、他車に目移りしてしまうことも無く、自分流のロードスターライフを謳歌していたという。
そんな中、SNS上でちょっと気になる投稿を目にする。
「近々、マツダの創立100周年を記念した限定車が出るらしい、という内容でした。何だろう? と、その日のうちにディーラーに行って詳しく話を聞くと、ホントに出ることが分かりました。1台目のロードスターにはまだまだ愛着があったので、どうするか2日間ほど悩みましたが、白と深紅という色の組み合わせが斬新だったし、受注期間を過ぎたら買えなくなっちゃうと思い『よし、買い換えよう!』と決めました」
思い立ったら即断、即決という行動派のNaoさん。2020年4月に発売されたマツダ100周年記念車はマツダ2からCX-8まで、同社の主力全車種に設定。このうち、ロードスターには同社初の乗用車として1960年に発売されたR360クーペのイメージカラーである白/赤の2トーンカラーをモチーフとした、スノーフレイクホワイトパールマイカの車体にダークチェリーのソフトトップを採用。さらにホイールのセンターやサイドシルには100周年のロゴ入りプレートが備わる他、内装も特別仕様のバーガンディカラーのシートやフロアマットでコーディネイトされているなど、魂がこもったものであった。
ノーマルの状態でも、限定車としてのプレミアム感と存在感は絶大で、しばらくは何の不満も感じることなく乗り続けていたというNaoさん。しかしながら日が経つにつれ、ブラックのロードスターに乗り始めた5年前には全く意識をしていなかった、街角の風景の“ある変化”に気付くことに。
「1台目の時にはそこまで感じることは無かったけど、限定車に買い替えた頃くらいから急に街中でNDロードスターを見掛ける機会が増えたように思い始めたんです。私のクルマも、色の組み合わせは通常モデルと多少違っていても、見た目は同じロードスター。だんだん『一緒じゃつまんないナ』と思うようになって、自分流にカスタマイズを始めました」
「まずフロントはリップとかハーフスポイラーじゃなく、フルバンパータイプのエアロパーツでガラっと雰囲気を変えて、リヤにもダックテールスポイラーを取り付けました。メーカーはどちらもウェーバースポーツ製です。ホイールは1台目のNDに付けていたものを移植して、赤いブレーキキャリパーは父と一緒にDIYで塗装したんですよ。父はジャッキアップやホイールの脱着などの他、洗車の時も、頼んでもないのに色々手を貸してくれるので助かっています(笑)」
その他、ブリッツ製の車高調整式サスペンションによるローダウンや、柿本改製のスポーツマフラーを装着。インテリアも限定車の色調を活かしつつ、スイッチや空調用のダクト周りにラインストーンを加えることで、メリハリを演出。狙い通り、ひと目でNaoさんのクルマと判別できるほどアグレッシブかつ個性的なスタイルへと一新されている。
「同じ100周年車に乗っている方からは『せっかくの100周年限定車なのにもったいない』といった感じに言われることもありますが、エヘヘと笑うだけで特に気にしていません。人それぞれ、いろんな乗り方ができるのがこのクルマの魅力。あえて100周年車をイジるという乗り方も、アリですよネ? 外した純正バンパーは私の部屋に置いています。ちょっと邪魔ですが(笑)」
おだやかな口調の中にも、自身にとって『譲れない部分』については、その姿勢をしっかり貫く芯の強さを持つNaoさん。一方、1台目と合わせて通算で10年という時間を共に歩んできた実績の持ち主ゆえに、このクルマの開発陣に対するリスペクトの気持ちも忘れていない。
ボンネットの裏側にはNB、NCロードスターの開発主査として知られる貴島孝雄氏のサインが。これは2022年にオートポリスで行われた『マツダファンミーティング』の会場で出会った際に書いてもらったもの。エアロパーツの取り付けや各部メンテナンスについても、その時に貴島氏から直々に紹介を受けた大分市内にある同氏の後輩が営むショップで行われるなど、根底において“人馬一体”というロードスターの基本思想はしっかり守られていることも付け加えておきたい。
「ルーフは県外に行く時には割と開けていますが、普段はおとなしくしています。地元だと知り合いに見つかりそうで…(笑)。今後の予定としては、ホイールが以前の黒NDからの流用なので、もう少しスポーティなデザインにしようかな? と検討中です。最初はまさか10年も乗り続けるとは想像もしていなかったけど、ロードスターというクルマと出会うことができて本当に良かったと思っています」
「強いて後悔している点があるとすれば、免許をAT限定で取っていたため、マニュアルに乗れないということかな? きっとマニュアルだと走りはもっと気持ち良いのかなって。とはいえ、これからも各地に出掛けて、仲間の輪を広げて行きたいですね」
クルマからの乗り降りやルーフの開閉操作など、何気ない動作の中にもロードスターを長年相棒としてきたベテランならではの絶妙な間合いが感じられるNaoさん。道ゆく人々がつい視線を送ってしまう立ち居振る舞いは、乗り手が女性だからということだけでなく、そこに漂う凛とした空気感に理由があるのかも知れない。
(文: 高橋陽介 / 撮影: 西野キヨシ)
※許可を得て取材を行っています
取材場所: 大分大学 旦野原キャンパス(大分県大分市旦野原700)
[GAZOO編集部]
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