30年ぶりの再会、若いころとは違うスカイラインGT-Rとの付き合い方

子供のころからクルマ好きで、クルマ関係のお仕事に就いた むろたにてつや さん。19歳のころに乗っていた日産 スカイラインGT-Rにもう一度乗りたい、という思いに駆られ十数年ぶりに手にすると、当時を思い出してノスタルジーに浸ったり、そしてオフ会などで出会った新しい仲間との交流があったりと様々な楽しみがあったようです。

そんな、むろたにてつやさん×スカイラインGT-Rのお話です。

――むろたにさんは現在、スカイラインGT-R R32型に乗られていますが、以前はどんなクルマに?

今、私は50歳なんですが、19歳の時に今と同じスカイラインGT-Rに乗っていたんです。その後は仕事の関係でラルゴ、シーマ、ヴィッツ、フィットと乗り継いでE46のM3に乗っていて、今のGT-Rという感じです。

――バラエティに富んだ遍歴ですが、クルマは好きだったんですか?

そうですね。よくあるパターンですが、父の影響で昔からクルマ好きでした(笑)。

――ということは初めてのクルマがスカイラインGT-R?

いえ、免許取りたてのころは軽自動車でしたね。それですぐに買い替えた感じです。

――以前乗っていたスカイラインGT-Rにもう一度乗ろうと考えたキッカケは?

前から乗りたいなという思いはずっとあったんですが、なかなか実現しなかったんですよね。それがこの年になってきたので、経済的にも落ち着いてきて手に入れられるようになったし、今手に入れないともう手に入らない価格になってしまう…という思いがあったので今買おうと決心しました。

あと、私ずっと心残りにしていたことがあって……。実は若い頃、父親をスカイラインGT-Rに乗せることがなかったんですよ。なので元気なうちに乗せてあげたいなという思いもあったんです。

――素敵なお話ですね。ただ、だいぶ前のクルマになるので探すのは大変だったかなと思ったんですが……?

希望としては私が若いころに乗っていたのと同じ、赤のスカイラインGT-Rを探していたんですが……なかなか見つからなくて。その中で希望した状態のクルマが奈良県にあるガレージヨシダというお店でたまたま見つけて。

予算よりも少し高かったんですが、スカイラインGT-Rの世界ではかなり有名なショップだったので、信頼して購入しました。もともと修復歴のあるクルマは置かないという主義を貫いているということだったので信頼できたし、実物を見てもマフラー以外はすべて純正に戻していて、エンジン類の消耗品も新しいモノに替えてくれていたのでイケるだろうと。

――19歳以来のスカイラインGT-Rだったので、納車した時はなつかしさが蘇ったのでは?

蘇りましたね! 青春時代に戻った感じで。そのころ、3年くらい禁酒していた時期だったんですが、納車した日は一杯飲んじゃいましたね(笑)。

――久しぶりに乗ってみての感想はどうでしたか?

今乗ってみると「速いけれど古いクルマだな」とは思いましたね。ただ、感想云々というよりもただ懐かしくて、若いころに戻った感じで、昔のことを思い出しちゃってノスタルジーに浸っていましたね。

前はかなりカスタムをして乗っていたこともあったので、ほぼノーマルな状態でこのクルマに乗って改めてノーマルの良さを感じたし、大事にしたいと思いましたね。

――このクルマに替えてから、お出かけの頻度は増えましたか?

増えましたね。富士山へ撮影に行きますし、関西在住の仲間たちと一緒にいろんなところへツーリングにも行くようになりました。

――色も珍しいのもあって、周りからの反響はすごいんじゃないですか?

そうですね。オフ会やオーナーズミーティングがある時には「名古屋ナンバーで赤いスカイラインGT-R」といえば僕、みたいな感じで見てもらえるからうれしいですね。

近い関係だと職場の人たちは私がクルマ好きなのを知っているので、「“らしいクルマ”を選んだね」とは言われます(笑)。

――オフ会やミーティングにもよく行かれるんですか?

はい。関西で開催されているものにはよく行くのですが、周りからそれで覚えてもらったので、お声がけいただくことが増えましたね。SNSを始めてから知り合った方に誘ってもらうこともありますし。

――では、初めてオフ会に行ったはどうでしたか?

「世の中にはいろんなお金持ちがいるんだな」って思ったのが率直な感想ですね(笑)。NISMO仕様のものもあれば、ケンメリのGT-Rもあって、時代を問わずクルマ好きが興奮するようなところだったし、自分のはまだまだだなって思いましたね。参加している方から勉強させていただくいい機会になりました。

――そこでクルマ仲間ができたことによって、ツーリングに行くのも増えた感じですか?

そうです。多い時は10台くらい。小規模なドライブになっちゃうけどあちこち行くようにはなりました。

――かなり走っているのかな?と思ったんですが、故障は?

いろいろありましたね。ABSセンサーが原因で四駆のシステムが壊れてしまったのですが、そこのパーツがないということで、自分でヤフオクなど探してやっと見つけて、直してもらったことがありました。

――走行に関わる重要な部分の故障だから大変だったと思いますが、こういうことが続くと所有すること自体が嫌になるかなとも思ったのですが……?

それはないですね。「出来が悪い子ほどかわいい」みたいな感じで(笑)。そもそもこのクルマを買った時にある程度のことは覚悟していたから、問題ないです。予想以上にお金か掛かっちゃいましたけどね(笑)。

――このクルマを買う理由として「父を乗せてあげたい」という思いもあったということでしたが、それは実現しましたか?

助手席に乗せるとかはしていないですが、私の実家(富山)に帰った時に見せて一緒に写真を撮りました。父はセダン派だったからか「いい年こいて何やっているんだ」と言われちゃいましたけどね(笑)。

父からしたら当時のスカイラインGT-Rを見ても、価値があるとは思えなかったみたいで「わざわざこんな昔のクルマを買って」みたいなリアクションでしたよ(苦笑)。

――思っていたリアクションではなかったんですね(笑)。では、このクルマでの1番の思い出は?

SNSで知り合った方たちと富士山までドライブに行ったことですね。その中の1人がGT-R界隈で有名な方で、その方とお会いできたのも私にとっては良い思い出です。

また、SNSを通じてクルマ好きの高校生たちと知り合い、R’sミーティングなどで直接会えたのもいい思い出です。

――このボディカラーはやはり一番の自慢ですか?

そうですね。このボディカラーは大好きだし自慢ですね。だから洗車の頻度も増えましたよ(笑)。週末は絶対洗うし、土曜日に洗車してその後に雨が降ったりしたら、日曜日にもう一回洗車します。

あと、スカイラインGT-Rオーナーのほとんどはチューンしたエンジンが自慢だと思いますが、僕の場合はキレイに新車状態に塗り直したエンジンが自慢です(笑)。

――オフ会などに参加するとカスタムしているクルマが多いので、カスタムしたいという欲は出てきませんか?

正直「いいな」と思うんですが……私自身は普通のサラリーマンなので、予算的に厳しいだろうということで自分を律して、そこの沼にはハマらないようにという風にしています。カスタムするよりも維持していくことが大事ですからね。

――今後行ってみたいところとかはありますか?

クルマ好きの定番スポットとも言われる赤城山などの峠には行ってみたいなって思っています。

若いころは一生懸命走ったのですが(笑)、今はワインディングをゆっくり走ってみたいです。

――ではこのスカイラインGT-Rって、むろたにさんにとってはどんな存在ですか?

「かけがいのない存在」と言うとカッコつけすぎですかね?(笑) 友人であり、仲間ですね。19歳のころはただ速くして乗りたいという思いばかりでしたが、今は大切に乗りたいし、事故なくずっと乗っていきたい、ずっと付き合っていたいという思いが強くなってきたんです。そういう点でも仲間や友人という感じなのかなって思います。

昔からこのクルマは好きだったんですが、今の方がこのクルマへの思いが強くなったと思います。

若いころに乗っていた(乗りたかった)クルマに乗りたい……クルマ好きなら誰もがそう願うでしょう。むろたにさんはそんな夢を叶え、19歳の頃とは異なる思いでこのクルマに向き合っているみたいです。

かけがえのない存在とともにこれからも新しい思い出の1ページを築いていってください!

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むろたにてつやさん

(文:福嶌弘)

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