手に入れて19年、S2000は生涯の伴侶やたくさんの仲間との縁も繋いでくれた大切な愛車
漫画「オーバーレブ!」の影響でクルマ好きになったという野鶴みわさんが乗る愛車は、1999年式のホンダS2000。乗り始めて19年が経ち、走行距離は33万kmを超えていますが、普段の通勤から仲間とのドライブまで、ともに人生を歩んでいます。
S2000に乗ったことで仲間が増え人生が変わった野鶴さんは、旦那さんもS2000乗りの方で、夫婦1台ずつ所有しているのだとか。
そんな野鶴とS2000の出会いから、S2000に注ぐ深い愛情をお届けします。
――まずは、野鶴さんがクルマ好きになった「原体験」について聞かせてください
18歳の時に、「グランツーリスモ(シリーズ初代)」と漫画「オーバーレブ!」を見てクルマ好きになりましたね。
「オーバーレブ!」の主人公・涼子が愛車MR2を「ミスター」と名付けているのに憧れて、自分もいつか愛車に名前をつけたいと思うようになったんです。愛車であるS2000は、白くてかわいかったので「シロ」と名付けましたが、今は夫のS2000もあるので。「シロ」と「キイロ」と、色で呼び分けて呼んでいます。
――現在の愛車の存在を知ったきっかけを教えてください
運転免許取得後、ホンダ シビッククーペに乗っていて「ホンダ」というメーカーに愛着を抱きはじめました。ホンダについて少しずつ知りはじめたところにS2000がデビューしたんです。
当時、オフィシャルサイトの特設サイトを見たり、公式サイトの「ユーザーズボイス」でS2000オーナーのカーライフを見たりするうちに興味が湧いていました。
1999年当時放送していた「たけしの万物創世記」というテレビ番組で自動車を特集する回があり、デビューしたばかりのS2000がスタジオに飾られ、番組内でもかなりピックアップされていたのも印象に残っています。
――現在の愛車が納車された日のことを覚えていますか?
2006年1月29日、購入した中古車店で納車しました。最初はこのクルマに自分が乗る実感があまりなかったんです。最初はリバースギアの入れ方がわからず、スタッフの方に教えてもらったほどです。そのとき「旧車みたいでしょ(笑)」と言われたことが印象的でしたね。
実感が出てきたのはその年の4月にオープンカーの集いに参加してからですね。
――現在の愛車を手に入れてから、ご自身のカーライフにどのような変化がありましたか?
それまでは周りにいなかったんですが、クルマ好きな仲間が増えましたね。そのうち「S2000に乗っている人(白いオープンカーの人)」と認識されるようになっていきました。
それから、どこかに出かけるときや遠出の予定を立てるとき、自然と愛車のことを気にかけているようになりましたね。例えば、出発前に暖機時間を確保したり、洗車したり、遠出する日までにオイル交換を済ませるとか。「愛車込み」の予定を立てるようになりました。
それとご縁あって、愛車との出逢いを大好きな漫画「オーバーレブ! 90's -音速の美少女たち-」のストーリーにアレンジしていただき、愛車とともに出演できたことも忘れられない思い出です。
それと・・・同じS2000に乗る方と縁があり、2008年に結婚。現在は夫婦でそれぞれ、2台のS2000ととも暮らしています。
――すごいエピソード満載ですね! Xを拝見するとCHAGE and ASKAもお好きなんですか?
はい、長年CHAGEandASKAのファンで、ドライブ中には彼らの曲を聴くことが多いです。そのなかでも、特にドライブ中に聴きたい曲があるんです。
「なぜに君は帰らない」は、初代インプレッサ(GC系)のWRXスポーツワゴンのCMソングでした。アップテンポで疾走感があって、ドライブに欠かせません。昨年行ったASKAさんのライブで聴くことができてうれしかったです。
「パラシュートの部屋で」も爽やかな曲調で、ドライブ中に聴くとテンションが上がります。官能的な歌詞なんですが、「クルマとオーナー」にも置き換えられる気がします。
オープンで走るときには「天気予報の恋人」をよく聴いています。曲調がオープンドライブにぴったりなんです。
――現在の愛車を手に入れてから、ご自身でモディファイされた箇所を教えてください
車高を下げていたダウンサスをモデューロの足回りに、運転席側だけBRIDEのセミバケットシートに交換、マフラーはFUJITSUBO レガリスRに交換しています。あとは、友人が紹介してくれたショップでエンジンをオーバーホール、ボンネットも塗り直してもらっています。
――ご自身の愛車で、自慢できるポイントはありますか?
自分の愛車だと思いつかないですね。でもS2000という車種でいうと、同じS2000オーナー同士の結びつきが強い点が自慢できるポイントかもしれません。
――愛車とのカーライフで一番の思い出をぜひ聞かせてください
先ほどS2000オーナー同士の結びつきが強いとお話しましたが、昨年クルマ仲間の友人が他界したんです……。その友人が主催していたジムカーナイベントに参加していたことなど、楽しい思い出がたくさんよみがえります。
――そうなんですね。そのご友人の方も、きっとS2000仲間との楽しい思い出とともに旅だったんでしょうね。では愛車で「もっともこだわっているポイント」はどこですか?
オープンドライブですね。意識してこだわっているわけではありませんが、仕事でも乗っているので、現場に行くときは緊張もあるし集中したいのでクローズの状態で走ります。
その代わり、帰りは余韻を感じながらオープンということが多いですね。ツーリングなどの遊びでは終日オープンですが、用事や仕事の帰り道で良い余韻があるときは、いつもオープンにして走っています。
――愛車で「もっとも気に入っているポイント」はどこですか?
模範解答だと「9000回転まで許容する超高回転型エンジン」と書かなければならないような気もします(笑)が、S2000の存在自体が気に入っていますね。
――今後、愛車に対して手を加えたいポイントや、愛車を維持するうえで気をつけていること、意識していることはありますか?
シートを新調したり、駆動系、外装、ヘッドライトなどを自分好みにしてみたいです。
あと、最近教えてもらった「シリコン洗車」を試したいです。
意識していることは、整備履歴をファイリングしたり、文章にしたりして記録を残すようにしています。普段の運転中では、異音や匂いなど異変がないかどうか気にするようにしています。音楽を流さないで窓を開けて走ることもありますね。
お世話になっているショップの方がレースでの経験が豊富で、トラブルを未然に防ぐためにこまかくチェックしていただけて非常に助かっています。
――野鶴さんが愛車であるS2000に「伝えたいメッセージ」をぜひ聞かせてください
「君は私を『乗り手』として認めてくれているのだろうか」と聞いてみたいですね。
「乗り手に選ばれる」には限界付近での駆け引きができるような、高い運転技術が必要なのはわかっているつもりです。でもそれだけじゃなくて、技量をわきまえ、音や匂いで変化に気づき、いち早く故障に気づけるかどうか……。クルマと周囲にやさしい運転ができるかどうか。そういうオーナーも選ばれる基準にあるんじゃないかと思っています。
「乗り手に選ばれる」オーナーにいつかなりたいですし、もちろん運転もうまくなりたい。ひとことで表現するなら「S2000にしっくりくるオーナー」になりたい。そう伝えたいです。
――それでは最後に、野鶴さんにとって愛車であるS2000は「どのような存在」ですか?
「伴侶動物」のような存在でもあり、分身のようでもあり、自分を写す鏡のようでもあります。
多忙で生活が荒れると、愛車も汚れるんです。そこではたと気づいて洗車をしたり、生活を立て直したりすることがあります。
野鶴さんにとって、ある意味人生を決定づけた存在ともいえるS2000。大切な存在だけど、過保護ではなく、クルマ本来の接し方に徹している姿がステキです。同じクルマ好きとして、オンリーワンの愛車に出会えたこと、とても羨ましく思いました。
【X】
野鶴みわさん
(文: 松村透<株式会社キズナノート>)
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