ドライバーの専属コンシェルジュ? クルマがネットにつながる「コネクティッド」の進化―クルマのトレンドワード④
自動で走ったり、電気で動いたり、インターネットにつながったりと、クルマを取り巻くトレンドは今、めまぐるしく変化を続けている。この連載では、なんとなく分かった気になってしまいがちな最新キーワードを整理して、現在進行形のクルマのトレンドに迫っていく。第4回のキーワードは「コネクティッド」だ。
- クルマが24時間365日ネットにつながる「コネクティッド」
ドライブ中にお腹が減って、急にその土地の名物が食べたくなったら、まずはクルマを路肩に停めて、スマートフォンで近くのお店を検索するはず。でももし、走り続けながら誰かが相談に乗ってくれて、席の予約までしてくれたら?まるで「クルマのなかにコンシェルジュがいる」ような話だが、このサービスはもう存在している。
クルマがインターネットに常時接続する「コネクティッド」
車載の専用通信ユニットでクルマをインターネットにつなげる技術を「コネクティッド」と呼び、自動車メーカー各社が独自のサービスを提供している。
例えばトヨタは、すべてのクルマに専用通信機DCM(Data Communication Module)を搭載してコネクティッド化すると宣言しており、すでに「T-Connect」というコネクティッドサービスを展開している。
- トヨタはコネクティッドカー向けに各種サービスを展開中
T-Connectには、ボタンを押すだけで専門のスタッフにつながって、電話で話す感覚でナビのルート設定や目的地の周辺情報、レストラン予約などを行なってくれる「オペレーターサービス」や、事故発生などを検知し緊急を要する場合には自動で緊急車両の手配まで行なわれる「ヘルプネット」、離れたところにあるクルマの異常を知らせてくれる「マイカーSecurity」、クルマの駐車位置、ウィンドウの閉め忘れ、エンジンオイルの量などをスマートフォンに知らせてくれる「My TOYOTA for T-connect」などの、多種多様なサービスが提供されている。
- もしもの事故では緊急車両の手配も行なう「ヘルプネット」。車両から読み取った状況次第ではドクターヘリが出動する
コネクティッドカーから集まった情報が新しいサービスに
自動車メーカー各社の取り組みについては次回以降で詳しく説明していくが、コネクティッドサービスのもとになったのはクルマと道路の間で通信を行なう仕組みで、渋滞や交通規制などの情報をクルマに伝えてカーナビを高精度化するVICS(道路交通情報通信システム)や、有料道路をチケットレスで通過・支払いできるETC(電子料金収受システム)は、クルマに乗る人ならおなじみの機能だ。
2000年代に入ってGPS(全地球測位システム)が高精度化すると、クルマの現在地が正確に把握できるようになり、さらに携帯電話の通信エリアの広がりを受けて、クルマに通信機能を持たせる取り組みが始まる。
GPSと車載通信機を組み合わせると、「いまクルマがどこをどのくらいの速さで走っているか」が分かるようになる。
その結果を日本中から集めれば、「この道はクルマが流れている」「この道は急にペースダウンした」といった情報がリアルタイムで地図上に反映できるようになり、それを見たドライバーがルート選びの参考にできる。
もちろんカーナビのルート設定にも役立つ情報だ。
- コネクティッドカーから得られた道路情報をもとに路面の補修計画を立てることが可能だ
- コネクティッドカーのワイパーの動きを集めて地図上に反映すれば、局所的な雨の強さなども視覚化(見える化)できる
ハードウェアの進化によるデータ処理の高速化や通信速度自体の高速化などで、クルマの通信機能はカーナビや渋滞回避以外にも活用されはじめ、これが前述のT-Connectのようなコネクティッドサービスにつながっていった。
いずれにしても、コネクティッドサービスはクルマ1台では成立しない。ネットを介してクルマとクルマがつながることで、サービスの範囲が広がったり情報の信頼性が高まったりする。
1台1台のクルマがつながることで、「ここが通れた」「この道は通れない」といった情報を集めて地図に反映するサービスも実施されており、コネクティッドの技術は普段使いの便利さだけでなく、災害発生時の緊急対応にも役立っている。
今後、より高速・広帯域の次世代通信サービスや自動運転技術が確立すれば、さらにコネクティッドサービスが本格化するはずだ。
次回からは、各自動車メーカーが独自に展開しているコネクティッドサービスの特徴を紹介していこう。
[ガズー編集部]
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