情報ともオペレーターともつながるトヨタの「T-Connect」―クルマのトレンドワード⑤
自動で走ったり、電気で動いたり、インターネットにつながったりと、クルマを取り巻くトレンドは今、めまぐるしく変化を続けている。この連載では、なんとなく分かった気になってしまいがちな最新キーワードを整理して、現在進行形のクルマのトレンドに迫っていく。
前回はクルマがインターネットとつながることで、安心・安全、快適・便利なカーライフを実現するコネクティッドの概要を説明したが、ここではトヨタのコネクティッドサービス「T-Connect」について紹介する。
- トヨタの「カローラスポーツ」
T-Connectを利用できるDCM(Data Communication Module:車載通信モジュール)の全車標準装備化を、2018年登場の「新型クラウン」「カローラスポーツ」から宣言したトヨタ(ちなみにレクサスでは一足先に2005年から「G-LINK」としてDCM標準化を達成している)。
現在のT-Connectとその周辺のサービスは、使いやすさを追求しながら、できることを着々と増やしている。
サービスの核が、これまでもおなじみだったオペレーターと直接通話して知りたい情報を教えてもらえるコンシェルジュ的機能。ナビの目的地設定をはじめ「こんなものが食べたい」といったあいまいな要望を伝えても真摯に飲食店を探してくれるといった、有人ならではのキメ細かい対応は、愛車を所有する満足度に大きく貢献している。
- オペレーターによる直接通話のサポートを核にサービスの幅を広げる「T-Connect」
クルマを「使う」ために役立つオペレーターサービスだが、「見守り」的な内容も拡充が進んでいる。
「ヘルプネット」では、事故などによりドライバーが危険な状況だと判断したら、緊急車両やドクターヘリの手配。近年騒がれている、あおり運転に遭遇した場合でも、警察への通報を依頼できる。
出番がない方がいい機能だが、守られている安心感は何ものにも代えがたい。
- ヘルプネットではエアバッグの作動で自動的に通報も
車両にトラブルがあったとき、ドアのこじ開けなどクルマに異常が発生したときに、直接オペレーターが電話、メールで知らせてくれるサービスは、緊急事態のアラートはもちろん、早期解決への糸口になってくれる。車両位置の追跡や警備員の派遣などで、車両盗難の犯人など得体の知れない相手に直接対峙するリスクも減らすことができる。
また、エンジンチェックランプが点灯するなど重篤なトラブルが予測されるような場合は、ハードに精通した専門のコールセンターを経由し、すみやかに販売店へトラブル情報を送信。オペレーターが状況に対処した走り方を教えてくれると同時に、点検修理のための入庫の段取りも速やかに行なう「eケア」という機能もある。
- クルマの不調に迅速に備える「eケア」
T-Connectでは、有人オペレーターのほかに「AIエージェント」もサポートしてくれる。
スマホに備わる音声検索に似た機能で、ナビの目的地や好みに合わせたスポット検索など、よほど複雑な条件でなければほぼ解決できる充実ぶりと操作性だ。
今後さらにデータ蓄積が進めば、使い勝手はより向上していくと思われる。
クルマから離れても、アプリを介しての「つながる」が強化されている。
車載ナビの技術をスマホアプリに落とし込んだ「TCスマホナビ」というアプリがあり、ナビとして優秀なのはもちろんのこと、クルマから降りて目的地に向かうまでを車載ナビとスマホで連携しながらシームレスにフォローしてくれる。
駐車場シェアリングサービスとも連携し、別のアプリを立ち上げる手間も不要。有料プランになれば、前述したような車両盗難時における位置追跡や警備員の派遣サービスも選択できる。
日本でユーザーの多い「LINE」と連携できるのもポイント。LINEで愛車と「友だち」になることで、手軽にナビの目的地設定などが行なえる。
- LINEとの連携が可能で、LINEからカーナビの設定も行なえる
これまで親しんできたサービスの延長といった内容もあるが、コネクティッドの本当のところはこれからの発展性にある。
DCM標準装備が進むことで収集が可能な膨大なプローブ(軌跡)情報。これを解析、車両にフィードバックするのはもちろん、さらにV2V(Vehicle-to-Vehicle:車車間通信)へとイノベーションを進め、最終的に社会システムと「コネクティッド」できる。
劇的に交通がスマート化するのはそれほど遠い未来ではないかもしれない。
次回は日産、ホンダ、マツダのコネクティッドサービスについて紹介する。
[ガズー編集部]
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