コネクティッドサービスの欧州車の動向 メルセデス・ベンツとBMWークルマのトレンドワード⑦
自動で走ったり、電気で動いたり、インターネットにつながったりと、クルマを取り巻くトレンドは今、めまぐるしく変化を続けている。この連載では、なんとなく分かった気になってしまいがちな最新キーワードを整理して、現在進行形のクルマのトレンドに迫っていく。
コネクティッドサービスについて、第5~6回では国内メーカーの取り組みを紹介したが、ここからは海外メーカーを紹介しよう。今回は、特にコネクティッドサービスを全方位的に提供しているメルセデス・ベンツとBMWだ。
- MBUXを搭載したメルセデス・ベンツAクラス
スマホの操作で無人のクルマを駐車できるメルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツといえば、「ハイ、メルセデス」と呼びかければ音声認識機能が起動し、音声でカーナビの目的地設定、エアコンやオーディオ、電話などを操作できる「MBUX(Mercedes Benz User Experience)」をアピールしたテレビCMが記憶に新しい。
2019年デビュー(日本仕様)のAクラスから採用しているMBUXは、毎日の行動履歴からドライバーの好みを解析し、先回りして音楽などをリコメンドしてくれるAI機能も充実。
各国の言語への適合も高精度で、普段の会話と変わらないしゃべり方で操作できる。
そんなMBUXを含めてシームレスに機能を利用できるのが、メルセデス・ベンツのコネクティッドサービス「Mercedes me connect」だ。
Mercedes me connectは、スマートフォンにインストールしたアプリから愛車の施錠を確認・開閉できる「リモートドア&アンロック」や、スマホからナビ設定を行える「センドトゥカー」といった基本機能を押さえつつ、DCM(車載通信モジュール)ではアクシデントがあったときにボタンひとつでオペレーターにつながる24時間対応の「緊急通報」「故障通報」サービスに対応。さらに有人のコンシェルジュサービスも24時間対応と、充実している。
- オペレーターは24時間対応。ボタンひとつでつながる
そしてMercedes me connectの大きな特徴として挙げられるのが「リモートパーキングアシスト」。Bluetoothで車両とスマートフォンを接続し、ドライバーは車外からアプリで無人の車両を操作して、並列・縦列駐車を行なえる便利機能だ。
ドアの開閉スペースに余裕がない狭小スペースへの駐車も、この機能があれば簡単。前進・後退の直進的な動きはもちろん、切り返しが必要なシチュエーションでもスマホで駐車できる。
- スマートフォンから愛車の状態を確認できるほか、車外からの操作で駐車も行なえる
コネクティッドサービスの先駆者であるBMW
BMWは世の中に「コネクティッド」の名が一般化する前から「BMWコネクティッド・ドライブ」としてDCMを全車標準化し、日本導入した先駆けだ。
スマートフォンでは、iOS向けの「BMW Connected」をインストールすることで、カーナビの目的地設定や施錠・解錠、空調のオンオフといったコネクティッドサービスの一般的な機能を利用できる(Android端末の場合はWebアプリ経由となる)。
DCMでもオペレーターによるサポート機能や緊急時のSOSコールなどコネクティッドとしてのサービスは過不足なくそろっている。
各機能は使い勝手をよく練ったインターフェイスで、たとえば駐車位置探索機能は、クルマを停めた場所を表示するだけでなく、そこまでの最短ルートも表示してくれる。
BMWでも「リモート・コントロール・パーキング」の名称で、車外からのコントロールで駐車できる機能を提供している。
ただし、こちらはローンチ年次が2016年(日本仕様)ということもあり、BMWディスプレイ・キーを使い操作し、直線的な動きでの入出庫になる。
- BMWディスプレイ・キーを使い車外から駐車ができる
音声でさまざまな操作ができるAIアシスタントシステムは、2019年に国内導入した新型3シリーズから大きく進化した。
「BMW Intelligent Personal Assistant」と呼ばれ、ボタン操作不要で「OK、BMW」で起動し、自然な会話でコントロールができるようになった。
- 「OK、BMW」で起動するコネクティッドサービス
「BMW、私は疲れている」など、ドライバーが疲れやストレスがあるというメッセージを発すると、自動的に「ケアリングカープログラム」を起動。音楽の種類・音量やエアコン・室内照明などを最適に調整し、ドライバーをリラックスモードへと導いてくれる。
AIも進化し、ドライバーのコンディション管理まで踏み込んでいる。
第8回ではそのほかの欧米メーカーについて紹介していく。
[ガズー編集部]
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