ライドシェアに先駆けて普及したカーシェアリング~Car Clubを使ってみた
三井物産の子会社であるCar Club Pte Ltdは、シンガポールで最大のカーシェアリングサービス。三井物産の発表によれば2018年8月現在で車両数が約270台、会員数が約8,000人という規模で運営されている。
Car Clubがターゲットしているのはシンガポールの住民ということになるので、日本からの旅行者が利用することはできないが、今回はシンガポールのHR企業にお勤めでシンガポール在住歴28年という渡部尚氏にその利用感などについてお話しを伺ってきたので、紹介していきたい。
COEに代表される私有のコストが高いことが、カーシェアが伸びてきた背景
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- 渡部尚氏
渡部氏がCar Clubに加入したのは、やはりCOE(Certificate Of Entitlement、新車購入権)に代表されるような、シンガポールでの私有車のコストがあまりにも高かったからだという。「COEによっても変わってきますが、カローラクラスでも日本円で800万円程度かかる。なかなかすっと出せる金額でもないので、使いたい時に使えるカーシェアリングに加入した」と説明する。
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- Car Clubのパーキング
Car Clubの料金はどのプランを契約するかにもよるそうだが、Car ClubのWebサイトによれば、最も安価なValue planでエコノミーカークラスで最初の1時間(8kmまで、以降1kmあたり0.3SGD)で9SGD(1SGD=81円で729円)という価格設定になっている。
渡部氏によれば、Car Clubのカーシェアでクルマを借りるには、まず契約を行ない、その後Webサイトから近くのポートと呼ばれるCar Clubの車両が停められている駐車場を探す。このポートはマンションに隣接した駐車場だったり、スーパーマーケットの駐車場だったりと様々ということだが、そこに何のクルマがあるかは決まっているので、自分にとって便利かどうかは自宅から近いところにポートがあって、かつ自分が使いたいクルマが置いてあるかどうかで決まってくるということだった。ライドシェアでは乗りたいクルマを選択できないが、カーシェアなら選択できる、その点はメリットだ。
Car Clubの使い方は簡単、Webで予約して専用キーでドアを開けるだけ
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- ドアを開ける専用鍵、予約がされていればドアが解錠される
渡部氏によればCar Clubでは契約すると専用のキーが送られてくるとのこと。そのキーはインターネットで予約したクルマのドアを解錠するためのキーになっており、ドアを開けて車内に入ると専用のボックスの中にクルマのキーが入っており、それを利用してエンジンの始動が可能になる。そして、運行前に車両にダメージがないかを一通り確認して、無ければ使っていいという仕組みだという。
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- 予約サイト
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- スマートフォンからも操作が可能
あとは予約した時間内に戻ってくればよいのだが、場合によっては渋滞していて返却時刻に間に合わない場合もあるだろう。その時は「車載端末が用意されていて、そこから申告できるようになっている」(渡部氏)とのこと。なお、料金にはガソリン代金も含まれており、ガソリンがなくなりそうな場合には、クルマに搭載されている非接触のトークンを利用して、Car Clubが提携しているガソリンスタンドで給油できる仕組みになっているとのことだった。
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- ガソリンスタンドでの非接触トークン。これでガソリンを給油できる
ライドシェアが便利なところと、カーシェアリングが便利なところは違う
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- 駐車場にはこの表示が
現在ではライドシェアの普及も著しく、こうしたカーシェアリングの必要性もこれまでより減っていると思われるが、渡部氏によれば「使い方次第で、例えば港湾地区のお客さまのところに行くときには、郊外になるのでタクシーもライドシェアもいない場合もある(見つけるのに時間がかかる)。また、私はゴルフが趣味なのですが、ゴルフ場は結構へんぴな場所にあるのでやはりタクシーやライドシェアを捕まえるのが難しい。そうした用途であればカーシェアリングが便利だ」と説明してくれた。
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- パーキングがあったのは普通のマンションだった
また、複数のショッピングモールを巡って大きなモノを購入するときなどにも、タクシーだとなかなか難しいが、カーシェアリングであれば、自家用車と同じように使えるのがやはり便利だと渡部氏は説明した。
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- Car Clubのウィッシュと渡部氏
渡部氏の話をうかがって分かったことは、カーシェアリングとライドシェアは補完関係にあるということだ。ライドシェアは普段の足には便利だが、長距離を利用しようと思ったとき、あるいは買い物の時など、依然として自家用車が便利だが、シンガポールでは税金の関係から私有は難しい。そのような場面において、好きなときに数時間使えるカーシェアリングは便利だということだろう。
[ガズー編集部]
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