[S耐向上委員会Vol.7]平木湧也、玲次選手が大切にする「地元密着」とレースの普及への想いとは?
スーパー耐久をもっと盛り上げるために、いろいろな方がお持ちの想いやアイデアをお届けするGAZOO.comのコンテンツ「S耐向上委員会」。
第7弾はST-Xクラスに参戦する62号車HELM MOTORSPORTSの平木湧也選手と平木玲次選手です。
幼少の頃からカートで実力を発揮し、ジュニアフォーミュラで活躍、その後スーパーGT(GT300クラス)にもステップアップし2021年には史上初となる兄弟でコンビを組むなど、今注目の若手ドライバーです。
そのお二人自らが、2020年にHELM MOTORSPORTSを立ち上げた経緯と、ドライバーとして活動している時から変わらぬモータースポーツ普及への想いを伺いました。
平木湧也選手「まずはスーパー耐久でしっかり結果を残したい」
僕たちもお世話になっていたル・ボーセモータースポーツがレース活動を辞めてしまうということで、その施設とマシンを引き継いでHELM MOTORSPORTSを立ち上げました。
僕たちの目標は、最終的にはスーパーGTやスーパーフォーミュラに参戦することです。
なかなか新規のチームを立ち上げるのは難しいですが、僕たち若い世代がチームを作って、いろいろなことにチャレンジしていきたいんです。
また、ドライバーとして活動している時から地域密着というのを大切にしてきたんですが、その活動の幅をチームを持つことによってかなり広げられるようになりました。それも、応援していただける方たちのおかげだと思っています。
2020年2月にチームを立ち上げて、そのタイミングでコロナ禍になってしまったことで、スポンサー様への営業活動などもできなくて最初の年はスポット参戦しかできませんでした。それでもスーパー耐久の第2戦もてぎで優勝できたことはうれしかったですね。
2021年のスーパー耐久にはチャンピオンの獲得を目指してフル参戦しましたが、チャンピオンは獲得できなかったものの、富士24時間で優勝することができたことで、チームとしても弾みがついたように思います。
スーパー耐久はいろいろな車種があって、レース時間も長いので、チームワークがすごく大事になってくると思います。
僕たちはフォーミュラレースにも力を入れていますが、こういったクルマの形をしたレーシングカーでレースをやることは、スポンサー様や一般の方に、「あのクルマでレースをやっているんだ」と認識してもらいやすいカテゴリーだと思います。
その中でいろいろなクラスがあって、観ている方もたくさんの車種が走っていることが楽しいと思いますし、僕たちとしては最終目標でもあるスーパーGTへのステップアップの位置づけとしても考えています。まずはスーパー耐久でしっかり結果を残さなければ次には行けないと思っています。
平木玲次選手「スーパー耐久はよりチームで喜びを分かち合える」
スーパー耐久は、耐久レースであることでドライバーもメカニックさんもクルマと触れ合う時間がすごく長いですよね。ジェントルマンドライバーも長い時間乗ることができるので、その中で経験できることはすごく多いと思います。
そして長い時間のレースということはトラブルとかいろいろなことが起こるので、いろいろな経験値を得られますし、チームとしてもドライバーとしてすごく勉強になる、人が育つレースだなと思います。まだチームを立ち上げたばかりですので、その基盤を作るためにはすごく最適なレースだと思います。
スプリントレースも優勝したらすごくうれしいですけど、耐久レース、特に24時間レースで勝つともっとうれしい気がしますし、よりチームで喜びを共有できることが素晴らしいですよね。
そういう意味でも、目標であるスーパーGTに参戦できたとしても、スーパー耐久には参戦し続けたいと思います。
各チームが地元で応援してもらえるレースに
僕たちは地域密着型ということで活動させていただいていて、チームを立ち上げたときから毎年、幼稚園児や小学生向けに交通安全教室を開催しているんです。
お子さんたちは、レーシングカーを目の前にして、その迫力とか音とかを体感してもらえるのですごい興味を持ってもらえるし、レースをやっているからこそ伝えられることがたくさんあると思っています。
そうした場でお話していると、レースって観に行くことができるってことを知らない人がほとんどなんですよね。一般の人はいけないんじゃないかという思い違いもあるんですよね。
そうした方をレースに招待したりしていて、やっぱり実際に観に来てもらえば面白いと言ってもらえるので、まずは観に来てもらえるようにハードルを下げていきたいですね。
上記の交通安全教室もそうですが、僕たちは地元で応援してもらえるチームを目指していますので、クルマ業界の企業様からのスポンサード以外にも、あえて異業種の企業様に応援してもらえるように活動しています。
そうした企業様やクルマに興味のない人たちにもサーキットに来てもらえるような体制を作ることは、これは僕たちのチームに限ったことではなく、たくさんのチーム、またレース業界全体として取り組んでいきたいテーマだと思ってます。
例えば、サッカーやバスケットボールを観に行っている人たちも、やったことがない人もたくさんいるでしょうし、みなさんルールを全部分かっているわけではないけど、地元のチームだし盛り上がれるから応援に行くっていう人も多いと思います。
ですので、各チームがそれぞれ地元でファンを増やしたり観戦してもらえるような普及活動をすることは、本当に地道なことかもしれませんが、レースのファンを増やすためには大切だと思います。
実際にサーキットに来れなくても、スーパー耐久であればYouTubeがあるので、まずは観てもらいやすいですしね。
あとは、レースやクルマが好きな人だけでなく、いろいろな人にとって魅力的な新しい入口をたくさん作っていくことも大切かと思います。
今でもレースクイーンが好きでサーキットに来ている人もたくさんいますが、例えば実際にお金がかかっていないとしても順位予想的な企画等をやったりすると面白いかもしれないですね。
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いかがだったでしょうか。
この平木ご兄弟、本当にさわやかで、気さくで、そして「勢いでやっている面もありますけどね」とは言いながらも、自分たちが目指すチームのあり方に向かって、着実に活動を続けているといった印象を受けました。
平木湧也選手、玲次選手のご意見について、スーパー耐久機構の桑山晴美事務局長からコメントをいただきました。
人と人とのつながりが、かけがえのない財産になっていくこともモータースポーツの魅力のひとつ。「地元」をキーワードに多くのチーム様と協力して、現地で応援いただけるような流れを作っていけると良いですね。
桑山さんのコメントにもあるように、実際不安定な業界ですが、メカニックさんもフリーランスの方に頼るのではなくHELM MOTORSPORTSとしてメカニック(現在は7人)を雇っているそうです。
「もちろんちゃんと給料もお支払いしないとフリーランスの方がいいとなってしまいますし、ドライバーだけじゃなくて、メカニックさん、スタッフさん、そしてスポンサー様からも「ヘルムっていいよね」って言ってもらえるチームにしていきたいと思います」とも語ってくれました。
国内のみならず、アジアも含めたもう少しグローバルな展開もしていきたいなあと、夢が膨らんでいるHELM MOTORSPORTS。
「思ったこと言っているだけなんで」と謙遜してはいましたが、この二人なら本当に叶えてくれそうだなと感じました。
S耐向上委員会
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