[S耐向上委員会Vol.12]中山雄一選手「スーパー耐久はプロとアマチュアが互角に戦えるレース」

  • 38号車 TRACY SPORTS 中山雄一選手

    38号車 TRACY SPORTS 中山雄一選手

スーパー耐久をもっと盛り上げるために、いろいろな方がお持ちの想いやアイデアをお届けするGAZOO.comのコンテンツ「S耐向上委員会」。
第12弾はST-1クラス 38号車muta Racing GR SUPRAの中山雄一選手です。

ご実家が東京都足立区にあるゴーカート場「シティカート」を経営されているという恵まれた環境の中、幼少の頃からレーシングカートでその才能を開花させてきた中山選手。
フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン(FCJ)から全日本F3を経て、スーパーフォーミュラ、そしてスーパーGTでもGT300からステップアップしGT500に参戦している国内のトップドライバーの一人です。

そんな中山選手はスーパー耐久にも複数のクラスをまたぎながら継続して参戦していて、それぞれのクラスの様子を交えながらスーパー耐久の魅力や、盛り上げるアイデアについて伺いました。

ジェントルマンドライバーとプロドライバーが互角に戦えるレース

プロドライバーが出ても緊張感があるレースフォーマットだと思いますし、自分の思う走りができると達成感のあるレースですね。
僕が一番最初にスーパー耐久に参戦した時はまだ全日本F3に参戦している時でしたが、格上のドライバーの方たちと同じ舞台で戦えたことはすごくいい経験になりました。

スーパー耐久はタイヤがワンメイクですが、扱いやすくてアマチュアドライバーの方もいいタイムを出せるタイヤが選ばれていると思います。
スーパーGTで使われているタイヤはプロドライバーしか扱うことができないようなタイヤなんですが、スーパー耐久のタイヤは扱いやすく設定されていて道具としての差はないので、ジェントルマンドライバーやアマチュアドライバーもプロドライバーと互角で戦えるレースだと思います。

スーパー耐久は各クラスごとの面白さがある

  • 38号車muta Racing GR SUPRA

    38号車muta Racing GR SUPRA

中山選手はこれまで、ST-Xクラス、ST-1クラス、ST-3クラス、ST-4クラスと4つのクラスに出場しています。それぞれのクラスの特徴を参戦当時を振り返りながら語っていただきました。

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ST-XはGT3マシンという完成されたクルマ戦うクラスで、チームも総合優勝を目指していたチームでした。ジェントルマンドライバー同士の戦いもありますし、僕たちプロドライバーとしても他のチームに負けられない思いが強くて、純粋に速さを競うクラスというのがST-Xクラスの印象です。

今年ST-1クラスに参戦しているmuta racingではアドヴィックスさんのブレーキ開発を主に行っています。
スーパー耐久はレース時間やサーキットによってブレーキへの負荷のかかり方が変わってきますので、それに合わせてABSだったり、キャリパー、ディスク、パッドなどクルマの大切なブレーキシステムを開発していくことは、速さを追及する以外の楽しみもありますし、ドライバーとしてのいい経験にもなります。

ST-3クラスは、市販車ベースのマシンで純粋なレーシングカーとはまた違った走らせ方が必要です。フォーミュラ上がりの僕が初めて参戦した時、最初は速さを見せられる自信があったのですが、そのクラスの猛者の方たちのタイムが出せないという苦悩があって、すごく勉強になったクラスです。

ST-4クラスは、チームメイトが同じ若手ドライバーだったので、チームメイトよりもどれだけ速く走るかというチーム内のバチバチのバトルがありましたね。

各クラスやチームによっていろいろな課題や目的があったりして、その中でいろいろな戦いがあって、どれもスーパー耐久というレースではありますが、一括りにはできない面白さがあると思います。

ファンと一緒にクルマ遊びができたら楽しい

以前はもてぎのオーバルコースでレースをやったこともありましたが、オーバルコースを一部に使ったようなコースの変則的なレースもスーパー耐久では可能なんじゃないかなと思います。
特にST-1クラス以下の市販車ベースのレーシングカーなら段差を乗り越えることも可能ですので面白そうですよね。

あと、スーパー耐久はスーパーGTとかよりも休んでいる時間は和気あいあいと楽しんでいる部分もあったりするので、そういう時こそもっとファンサービスできるできるんじゃないかと思います。

ドライバーと一緒に楽しめるアクティビティみたいなものが今後できるといいかなと思います。
ゴーカートとかもっと遅いクルマでもいいと思うんですけど何かしらのクルマ遊びを、ファンの方と一緒にイベント広場などでやってみたいですね。そういったファンサービスがスーパー耐久の一つの特徴になっていったら、ファンの方ともっと距離の近いレースになっていくと思います。

メーカーさんにスーパーカーとかを用意してもらえたら、同乗走行などもできるといいですよね。

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『時代は変わっても「楽しい気持ち」をいつまでも クルマといっしょに』。これは、スーパー耐久の2022年のテーマです。
参加者にとってはレースへの参戦を通じてクルマを楽しみ、人生を輝かせて欲しいという想いが込められています。

一方で、ファンや観に来た方にとってクルマを使って楽しむことは、この中山選手のアイデアが通ずるものがあると思いました。
特にお子さんにとってはドライバーと一緒にクルマで遊んだ楽しい気持ちはずっと忘れないと思いますし、ぜひともこうしたファンサービスが実現して欲しいですよね。

そんな中山選手のファンサービスへの想いについて、スーパー耐久機構の桑山晴美事務局長からコメントをいただきました。

おっしゃっていただきましたように、ファンの方々が楽しくレースに触れ合うことができるイベントは機会があれば是非実施したいと思います。
ご来場いただく皆様には、観戦だけではないレースとの一体感を感じていただきたい、つまり立場は違えど主役はそこに集まるすべての人々。
そんなモータースポーツで創り上げていけていけると良いですね。

そんなファンサービスを取材できることを、編集部も楽しみにしています!

(文:GAZOO編集部 山崎 写真:折原弘之、GAZOO編集部)

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