[S耐向上委員会Vol.15]浅野真吾監督がST-4クラスを盛り上げるために考える規則とコストの関係
スーパー耐久をもっと盛り上げるために、いろいろな方がお持ちの想いやアイデアをお届けするGAZOO.comのコンテンツ「S耐向上委員会」。
第15弾はST-4クラスに参戦する浅野レーシングサービスの浅野真吾監督です。
生粋のレース屋さんに生まれた浅野真吾監督。専門学校を出てそのまま浅野レーシングサービスに入りキャリアを積んでいらっしゃいますが、実はクルマのことがちょっと嫌いになった時期もあったそう。
でも今ではもちろんクルマが大好きで、スーパー耐久では代表、監督、そしてエンジニアとしてチーム全体を支え、スーパーGTではコンドーレーシングのほか、いろいろなカテゴリーで助っ人メカニックとしてその腕を振るっています。
そんな浅野真吾監督に、スーパー耐久が盛り上がるためのアイデアを伺いました!
自分たちでクルマを作って走らせることが楽しい
浅野レーシングサービスは、スーパー耐久の前身のN1耐久から参戦しているので、スーパー耐久には1年目から参戦を続けています。
スーパーGTはプロが集まった“仕事”っていう感じなんですが、スーパー耐久はプロドライバーとアマチュアドライバーが楽しく競えるレースだと思います。
FIA-GT3とかFIA-GT4はメンテナンスフリーなクルマが多いですが、クルマをいじるのが大好きな僕としては、いろいろ「ああしたほうがいい」「こうしたほうがいい」と自分たちでクルマを作って走らせることが楽しいですし、それができるのがスーパー耐久ですね。
一からクルマを作るレース屋さんもなかなかいなくなってきていて、それがスーパー耐久のプライベーターの数の少なさにつながっているのかなと思います。
でもメーカーさんのチームが増えている中で、トヨタさんとかスバルさんとかマツダさんが開発車両でテストしている水素やバイオ燃料などは、僕も興味があって今後どうなっていくのかワクワクして見ています。スーパー耐久にとっても一つのいい方向性なんじゃないかと思います。
以前やっていたファンサービスを復活したい
ファンサービスが昔と違って無くなってきているのかなと感じています。
グリッドウォークの時は、チームごとにプレゼントみたいなのを用意して、観客席に投げ込むみたいなこともやっていたんですね。
各チームの協力も必要ですが、、そういったプレゼントとかファンサービスをしていったらもっと盛り上がるんじゃないかなと思います。せっかく台数もこれだけ参戦していますし、新しいことばかりじゃなくても、昔やっていたことをやってみるのもいいんじゃないかなと思います。
最近はコロナウイルスの問題もあってファンサービスもあまりできていませんでしたが、世の中的にも緩和してきているので、そろそろいいタイミングなんじゃないかなと思います。
レース面でいうと、ある程度レギュレーションで改造の範囲を絞った方が参戦台数は増えると思います。
旧型の86の時はコンピュータも各チームでセッティングできましたし、軽量化のパーツもいろいろ使えたりと、自由な分コストがかかったんですよね。
ST-4クラスは以前は20台くらい参戦してたんですが、そういうコストの問題で減ってしまったのではないかと思っています。
そういった現状をスーパー耐久機構にも話をさせてもらっていて、実際に新型86になるタイミングでコンピュータはワンメイク、軽量パーツもあまり使えないようなレギュレーションに変更されました。
そうするとランニングコストは確実に下がりましたし、そこにメーカーさんの協力もあれば、GR86やBRZは話題のクルマなので、戻ってきてくれたり新規に参戦するプライベーターチームも増えるんじゃないかなと思います。
もちろんコストはかかるのは仕方ないんですけと、1年、2年単発で参戦するんじゃなくて継続していくためには、なるべく下げる必要があると思います。
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先日のスーパー耐久第5戦の際に、TOYOTA GAZOO Racingが開催した会見で、ST-4クラスを盛り上げたいということを課題として挙げていました。実際に各チームに話を聞いている姿をピットでよく見かけますしスタッフを各チームに派遣して一緒にレースを戦う活動もしているといいます。
スーパー耐久とメーカー、そして参戦するチームが『前向きな妥協点』を見つけることで、参戦台数が増えレースが盛り上がっていく可能性は大いにあるのではないかと改めて考えさせられる取材となりました。
現在、このクラスには86だけが走行しているため、どのようにすればコストダウンが図れST-4クラスが盛り上がっていくかなど、TOYOTA様ともお話する機会が増えております。スーパー耐久はいつの時代も参加型レースであり、これからもご参加いただく皆様の気持ちを考え力を注いでまいりたいと存じます。
それもこれも、スーパー耐久の変遷、チームの出入りを長く見続け、一貫してプライベーターとして参戦し続ける浅野レーシングサービスの言葉だからこそ、説得力があるのは間違いないでしょう。
(文:GAZOO編集部 山崎 写真:折原弘之、GAZOO編集部)
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